表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/117

第112話 「支える者」

 空は戦場だった。



 王都上空。


 黒い円環の前で、レインとミラが停止する。



 その内部から現れた“総司令体”。



 城塞ほど巨大な頭部。


 表面を埋め尽くす無数の眼。


 裂けた口から黒霧を吐き出している。



【侵略補助個体 排除開始】



「補助個体って誰よ」


 ミラが顔をしかめる。



「お前」



「殺すわよ」



「共有してる相手に?」



「なおさらよ」



 総司令体の眼が一斉に開く。



 次の瞬間。



 黒い光線が数百本、空を裂いた。



「散れ!」



 二人は別方向へ跳ぶ。


 光の足場を連続生成しながら高速回避。



 光線が雲を焼き、遠方の山を消し飛ばす。



「威力おかしいでしょ!」


 ミラが叫ぶ。



「口よりマシだ」


 レインが返す。



 その間にも地上では戦況が悪化していた。



 量産観測者軍団が城壁へ到達。


 再生しながら波状攻撃を繰り返す。



「西壁、亀裂拡大!」


「北門突破寸前!」


「第三結界、消失!」



 指揮塔が怒号に包まれる。



 グラムは血まみれのまま大剣を振るう。



「押し返せぇぇぇ!!」



 砂漠騎兵が倒れ。


 海洋槍兵が飲み込まれ。


 戦線がずるずる下がっていく。



「……まずい」


 エルミナが青ざめる。



「このままでは市街戦になります」



 ノアが短剣の血を払う。



「総司令、なんか指示ある?」



 その視線の先。



 レインはいない。


 空だ。



「現場主義、ここで困るわね」


 ミラがぼやく。



 その時。



 指揮塔中央で、リリアが立ち上がった。



「地図、全部出してください」



 全員が止まる。



「……は?」


 砂漠将軍。



「補給線、避難路、負傷者搬送路、弾薬残数、全部です!」



 エルミナが即座に魔法地図を展開する。



 リリアの目が走る。



「西壁は捨てます」



「何だと!?」


 将軍が怒鳴る。



「崩れる壁を守る人員が無駄です!」



「北門兵力を半分下げて東区画へ回してください!」


「市街地の細路地に敵を誘導します!」



 海洋女王が目を細める。



「民間区画よ?」



「だからです!」



 リリアが叫ぶ。



「王都の路地は入り組んでる!」


「大軍は入れない!」


「少数ずつ分断して叩けます!」



 ノアが笑った。



「頭回るじゃん」



 グラムへ通信が飛ぶ。



「西壁後退! 北門兵半数転進!」



「誰の命令だ!」



「私です!!」



 一瞬の沈黙。



「……気に入った!」


 グラムが吼えた。



 城壁放棄が始まる。


 敵軍が雪崩れ込む。



 だが市街へ入った瞬間。



 路地上から油壺が落ちる。


 屋根上弓兵が集中射撃。


 狭所で海洋槍兵が串刺しにする。



「うわ……」


 リリアが青ざめる。



「思ったよりエグい」



「君の案だよ」


 ノア。



 戦線が止まった。



 押されていた連合軍が持ち直す。



 エルミナが息を呑む。



「補給線も整理されている……」



 負傷者搬送。


 矢弾供給。


 交代部隊配置。



 すべて噛み合い始めた。



「……支える者か」


 海洋女王が小さく笑う。



 一方、空。



 レインとミラは総司令体へ迫っていた。



「弱点見えた!」


 ミラが叫ぶ。



「中央白眼だ!」



「同感!」



 二人同時に突撃。



 だが総司令体の口が開く。



 内部から、無数の小型円環が射出された。



「まだ増えるの!?」



 空一面に黒い輪が散開する。



 その全てが王都へ照準を合わせた。



【都市殲滅砲列 展開】



「……っ!」


 レインの顔色が変わる。



 地上ではリリアも空を見上げる。



「やばい……」



 王都全域が、一斉砲撃圏内に入った。



――第112話 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ