「城下町の市場調査-巡礼編ⅩⅥ 家政婦体験篇Ⅳー」
(どういたしましょうか……)
私は指に髪を絡ませながら、考え込む。
邸宅のエントランスホール──玄関正面の横にある通路の前で、私たち三人は手を拱いた。
私は通路の様子をうかがう。ちょうど顔に陽が差し込み、明るく照らされる位置だ。
(このままでは、他の者に見られてしまいますわ……)
【お嬢さん? おはいんなさい。】
私はその声に、思わず身をすくめた。
(男の人の声……?)
お父様の声──ではない。
声質が高く、どこか間延びしていて、聞き慣れない。
【おひいさま、こちらです。こちらですよ?】
声はゆっくりと、しかし、確かに私の方へ誘導してくる。思わず、目が通路の奥へ吸い寄せられる。
(おりました……!)
通路の奥、左に曲がる角。
そこに、知らない男が壁にもたれかかって立っていた。
私の隣で、二人も息を詰めているのがわかる。
肩がわずかに震えて、指先が少しずつ拳に変わっていく。
誰も声を出さず、ただ互いの動きを目で確かめ合う。
男はゆっくりと体を起こし、
こちらを見た──目が合う。
その瞬間、空気が一層重くなる。
鼓動が耳の奥で響き、息を飲む音さえも大きく感じられる。
私は指に絡めていた髪をぎゅっと握りしめ、
(どう動くべき……?)と心の中で問いかけた。
【御嬢さんたち? おはいんなさい】
男の声が、通路の奥から低く響く。
その一言だけで、空気が一層重くなった。
三人の肩がいっせいに強張る。
視線が互いに交わり、無言の確認──誰も先に動こうとしない。
胸の奥で、鼓動が速まるのを感じる。
「駄目だぜ、アヴェーラ?
あいつの声を聴いちゃだめだ。」
私は思わず振り向く──フィーネの声だ。
耳元で囁かれるように言われると、余計に胸がざわつく。
「知っている殿方ですの? フィーネ?」
思わず問い返す。心臓が速く打つ。
声の主の姿は通路の奥にあるが、その正体はまだはっきりしない。
フィーネは小さく息を整え、私を見据える。
(……何か知っている。けれど、今は言えない?)
その目の奥に、わずかに迷いと覚悟が混ざっているのを感じた。
三人の間に、一瞬、緊張の静寂が落ちる。
通路の奥の男は、相変わらず壁にもたれかかり、じっとこちらを見つめている。
【酷いなぁ。フィーネ嬢。
先程のやりとりが、そうも、尾を引いているのかい?】
男の声は、どこか軽やかで余裕がある──だけど、その余裕が余計に緊張感を煽る。
私は思わず身を強張らせ、視線を逸らすこともできず、通路の奥を見つめた。
フィーネは唇をわずかに噛み、眉をひそめる。
その目には、先ほどのやり取りを引きずる困惑と、覚悟の入り混じった光があった。
「おじさま? それともお兄さんというべき?
殿方様、何か御用で?」
私は声を少し震わせながらも、通路の奥にいる男を睨む。
視線は逃さない──けれど、心臓の鼓動が耳にまで響く。
フィーネは肩越しに私をチラリと見やり、
唇を固く結んでいた。
男は壁にもたれたまま、軽く首をかしげ、にやりと笑う。
「ふむ、そうかい? 御嬢さん、礼儀正しいんだね……
でも、おじさまで十二分だ。私はそこまで若くないよ」
その笑みは決して優しくはなく、むしろこちらの動揺を楽しむかのようだった。
胸の奥で、鼓動が速まる。
三人とも、息をひそめ、男の一挙手一投足を見逃さないように身を固める。
私は指に絡めた髪を握りしめ、心の中で問いかける。
(この人、本当に信用できるの……?)
通路の奥と私たちの間に、重い沈黙がゆっくりと落ちる。
次の瞬間、どちらが一歩を踏み出すのか──
その空気に全員が身を委ねていた。
【そこに、ナーレ嬢は居られるかな?
彼女に伝言をして欲しい。アヴェーラ嬢】
私は思わず息を呑む。
(……伝言? それに、どうして私……?)
指に絡めた髪をぎゅっと握りしめ、通路の奥の男を見据える。
男は壁にもたれたまま、こちらをじっと見つめ、微かに笑みを浮かべる。
その視線は、私たちの動揺を楽しむかのようでありながら、同時に“試している”ようにも感じられる。
【ほら──。先程まで、
嫉妬でイライラしていただろう?その仲人をしてあげ ようと思ったんだ。
君はナーレを奪われたくないんだろう?】
その言葉に、胸の奥がぎゅっと締め付けられる。
(……なんで、わかるの……?)
指に絡めた髪をさらに強く握りしめ、思わず目を逸らす。
【あはっ! 僕は何でも知っているのさ?
君がナーレとイチャコラして、契りたいってね♪】
その瞬間──
頭の中が、かっと熱くなる。
「……っ!」
言葉にならない息が、喉の奥で詰まった。
指に絡めていた髪を、思わず引きちぎりそうなほど強く握る。
(な、何を……っ。
どうして、そこまで……!)
隣で、フィーネが一歩、前に出た。
その動きは鋭く、明確な“拒絶”だった。
「……そこまで言う権利、あんたにはない」
低く、刃のような声。
さっきまでの迷いは消え、はっきりと敵意だけが滲んでいる。
もはや空気は張り詰めるどころか、
一触即発だった。
それでも男は、壁にもたれたまま、
楽しそうに肩を揺らす。
【はは……図星、かな?】
その笑顔が、決定的に──
不快だった。
【いやぁ、ごめんね?
そういう、描写はないんだ。
君の願いは届かないんだ──
霧散してしまうんだよ。】
その言葉を理解するより先に、
背筋を、冷たいものが走った。
(……描写、が……ない?)
意味が、噛み合わない。
けれど“わからない”という感覚だけが、
異様に鮮明だった。
フィーネが、はっきりと一歩退く。
それは恐怖からではない。
直感的な拒絶だった。
「……あんた、
何を“前提”に、私たちと話してるの?」
声が、わずかに震えている。
怒りではない。
世界そのものを疑うときの、震えだ。
男は、心底楽しそうに笑った。
まるで壊れやすい玩具を前にした子どものように。
【だから言っただろう?
僕は“知っている”ってさ】
通路の空気が、歪む。
音も、距離感も、確かさを失っていく。
私は、思わず自分の胸元に手を当てた。
そこにあるはずの鼓動が、
本当に在るのか、急に不安になったから。
(……この人、
私たちを“人”として見ていない……)
その理解が、
恐怖よりも、深く、静かに沈んだ。
【アヴェーラ嬢。謹んでお悔やみ申し上げます、
大変痛み入ります。】
男は張り付いた笑顔で、恭しい態度を崩さず謝罪した。
その笑顔は、どこか人間らしい温もりを装っている──だけど、心の奥底では、私たちの動揺を楽しむ鋭利な刃を隠している。
私は、指に絡めた髪をぎゅっと握りしめた。
(……何を企んでいるの……?)
フィーネは肩を震わせ、唇をかすかに噛む。
その目には警戒と怒りが同居し、しかし同時に計り知れない不安も浮かんでいた。
息をひそめ──。
男の一挙手一投足に神経を研ぎ澄ませた。
【まぁ、ナーレ嬢は良いでしょう。
彼女には私の姿も、聲も聞こえない筈ですから。
無駄なことでした。】
その言葉が、頭の奥でざわつく。
指に絡めた髪をぎゅっと握りしめ、
心臓が早鐘のように打つ。
フィーネの顔が一瞬、硬直する。
唇は固く結ばれ、眉は険しく寄せられている。
彼女の瞳には、言葉にできない焦燥と恐怖が混ざり合っていた。
「また、遊びに来たのかよ。
もう、いい加減にしてくれ。
アヴェーラ、耳にしない方が良いぞ?」
私は咄嗟に耳をすませるのを止め、指に絡めた髪を握りしめた。
(……聞かない方が……いい……?)
胸の奥で、鼓動が速まる。
不安と怒りが交錯して、息が浅くなる。
フィーネは小さく肩をすくめ、私にちらりと目線を送る。その目には、警告と覚悟が同居していた。
通路の奥で壁にもたれた男は、
軽く肩を揺らし、楽しそうに笑っていた。
【ほら、やっぱり聞きたくなるだろう?】
その笑みは、私たちの焦りと混乱をまるで餌にするかのようで、空気は一層、張り詰めた。
【可哀そうな、可哀そうな。おひいさま。
接吻の一つくらい、欲しかったのですか?】
その言葉が、通路の空気を鋭く切り裂いた。
胸の奥が、ざわつき、頭の中が一瞬で熱くなる。
(……な、何を言って……!)
指に絡めた髪を思わず握りしめ、歯を食いしばった。
言葉にならない怒りと羞恥心が同時に押し寄せる。
フィーネは唇をきゅっと結び、視線を鋭く男に向ける。
小さな震えが、決意の固さを示していた。
三人目も、身を硬直させ、拳を握りしめている。
通路の奥、壁にもたれた男は、楽しげに肩を揺らす。
笑みは軽やかで、だがそれが逆に冷酷さを際立たせていた。
【そうですよね? 特別な特別な純愛の接吻を。
アハハ! 女子同士! こりゃ傑作だ!】
その瞬間、空気が文字通りひりついた。
頭の中が熱く、怒りと羞恥心で胸が押し潰されそうになる。
【ククク──。フヒヒ──
女の子同士、好き。好き。
そんなに好きなんですか、ナーレ嬢は?】
声が耳に入った瞬間、
胸の奥がぎゅっと締め付けられた。
頭の中で、怒りと羞恥心が交錯し、呼吸が浅くなる。
【成程? あの方がそうしたいのも分かる。
真っ赤な薔薇の様ですな? ククク。】
言葉が空気を震わせた瞬間、男の姿が消え──
次の瞬間、目の前に現れた。
私の目の前で、顎に手を置かれ、
クイッと持ち上げられる。
まるで、自分の顔をじっくり鑑賞させるかのような所作だった。
胸が張り裂けそうになり、息が詰まる。
指先に力を入れ、髪をぎゅっと握りしめる。
目の前の距離感──心理的圧迫が、物理的圧迫と完全に重なった瞬間だった。
フィーネは咄嗟に体を寄せ、低い声で警告する。
「……アヴェーラ、動くな……」
しかしその視線には、
男を拒絶する鋭さが宿っていた。
【フィーネ嬢。動くなは、貴女様です。
こんなにぷくっとしているんですよ?
じっくり堪能するのが筋ってもんでしょう?】
その言葉が耳に入った瞬間、
胸がぎゅっと締め付けられた。
怒り、羞恥心、そして恐怖──
すべてが同時に押し寄せ、頭が真っ白になる。
(……な、何を……っ、lこのお方……!)
顔が熱くなり、呼吸が荒くなる。
【ふむ、少し──ひび割れてますね?
この気候では、やはり。】
その言葉に、胸の奥でぞくりと背筋が冷える。
指に絡めた髪を握る手に力が入り、思わずぎゅっと拳も握りしめた。
【乙女がひび割れの唇というのは、如何ともしがたい。
あのお方には、それを伝えておきましょう。】
一拍、間があった。
まるでこちらの反応を味わうかのような沈黙。
【それと──。
あのお方は貴方の願いを聞き入れてくれます。
素晴らしいお方だ。ねぇ、アヴェーラ嬢?】
その言葉が放たれた瞬間、胸の奥がひやりと冷えた。
喉が、きゅっと締め付けられる。
自分が何を願ったのか、
考えようとした途端、思考が拒絶する。
フィーネが一歩、私の前に出る。
「……お前、それ以上──」
しかし言葉は、男の薄い笑みに遮られた。
男の指先が、私の唇にそっと、しかし確実に触れた。
その感触が、思わず身体を強張らせる。
胸の奥がざわつき、鼓動は跳ね上がる。
(……っ、な、何を……!)
唇に触れられる僅かな圧力が、羞恥心と怒りを同時に刺激する。
指先の冷たさ、男の軽薄な笑み……
その両方が、心の奥まで深く突き刺さる。
【おひいさま。願望ですよ。
残念ながら、それは私の唇ではございません──。】
言葉が通路に響いた瞬間、
私の胸の奥に冷たい衝撃が走った。
胸の奥の鼓動が跳ね上がり、息が荒くなる。
【あなたの思い人が、此処に。
フフフ──。それが、貴方が呼んだ目的。】
その言葉が落ちた瞬間、
空気が、はっきりと“変わった”。
(……違う……)
思わず、心の中で否定する。
呼んだ覚えなど、ない。
けれど──胸の奥が、否定しきれずに軋んだ。
フィーネが、はっと息を呑む。
「……呼んだ、だと?」
低い声に、怒りよりも先に困惑が混じる。
それは、彼女自身もまた、言葉の意味を即座に理解してしまった証だった。
男は愉快そうに肩をすくめる。
壁に寄りかかる仕草は変わらないのに、
まるでこちらの内側を覗き込んでいるかのようだった。
【願いは、祈りと違って声に出さなくてもいい。
ましてや──拒もうとすればするほど、強くなる】
私は唇を噛む。
(……違う。違うのに……)
それでも、頭の奥に浮かぶ名を、
完全には押し流せない。
【君の後ろにいるのにね?
言えないんだよね? 知ってる。】
【だから、家政婦体験といって釣ったんだ。
──『工面』してあげたんでしょ?】
アヴェーラの心臓は、一瞬止まったかと思うほど強く打った。
言葉の一つ一つが、冷たい刃のように胸に刺さる。
微かに笑う唇の奥に潜む得意げな気配──それだけで、全身が戦慄に包まれた。
通路の空気は、言葉ひとつで凍った。
「後ろにいるのに言えない」──
その一言が、私たちの内面に深く食い込み、羞恥と恐怖を増幅する。
私は唇を噛みしめ、呼吸を整えようとする。
(……やめて……お願い……)
それでも、頭の奥には否応なしに、あの気配が浮かんでしまう。
【夜空に尾を引く『箒星』。
可哀そうな、可哀そうな。おひいさまの『一等星』】
男は、戯画じみた満面の笑みを張り付けたまま、
手を軽く叩いた。
まるで褒め称えているかのような所作──
だが、胸の奥に沈む恐怖は、笑みとは正反対の感情だった。
【お遊びは、ここまでにしましょう、御婦人方。
──あの方には、必ずお伝えしておきます。
アヴェーラ嬢。フフフ……貴方の思惑に、見事に乗ってくれるよう陳情してあげますよ。】
アヴェーラの視界が一瞬、鋭く揺れた。
言葉の一つ一つが、重く、冷たく、胸を押し潰す。
その笑い──わずかに震える唇の奥に潜む余裕──を感じただけで、体が硬直する。
思考は霧の中に沈み、逃げ場のない現実が全身を締め付けた。
通路には静寂が訪れる。
冬の日差しが細やかにそのぬくもりを差し込む中──
背筋が凍るような静けさが、アヴェーラの肩を重く押さえつけた。
「ねぇ……アヴェーラ? フィーネ?
大丈夫? 早く行かないと、バレちゃうよ」
声は柔らかいのに、胸の奥に針を突き刺すような焦燥感を伴う。
背後から、視線でものでもない何かがじわりと押し寄せてくるようで、息が浅くなる。
遍く『箒星』は、夜空ではなく日常に尾を引こうと、
浮足立つかのように煌めき、まるで時間そのものが歪むかのようだった。
──世界の温もりと、逃げられない気配が、
ぎゅっと重なり合い、身体の奥底に冷たい鉛を落とす。
「えぇ──。行きましょう。
こちらです、ナーレ。フィーネ。」
アヴェーラは微かに肩を震わせながら、硬直した足を一歩前に出す。
静寂と危機が混ざり合った通路を、呼吸を殺して進むしかなかった。
私は、不安になる。
アヴェーラとフィーネの様子が、先ほどからどこかおかしい。
二人とも、先へ進むという選択肢を初めから視界に入れていない。
そんな不穏なまま、じりじりと館内の通路を進んでいる。
目の前に延びる直線の通路には、右手に等間隔で窓が並び、
淡い陽光が静かに通路を照らしていた。
「なぁ? 本当に大丈夫だと思うか……
通路の中ほどまで、足を進めて……」
そう言って、フィーネは背中越しに、アヴェーラへ問いかけた。
「そうね……。いったん、ここで考えましょう」
アヴェーラはネームプレートを確かめるように視線を走らせ、
〈衣裳室〉と記された一室へ、私たちを促した。
〈衣裳室〉の中には、きちんと畳まれた衣服が棚や台の上に並んでいる。
家政婦たちが、着替えに使っている部屋なのだろう。
私は、音を立てないように扉を静かに閉めた。
「で──どうしようっか?」
フィーネは頭を掻きながら、逃げ場を探すように棚へ寄りかかる。
「着替えましょう。
このままじゃ、目立つわ」
それだけ言うと、アヴェーラは迷わず衣服の棚へ向かった。
「ナーレ、フィーネ。家政婦体験が少し早くなるけれど、大丈夫ですわよね?」
「えっ? 着替えるの?」
思わず、私は扉に寄りかかった。
「……映りが悪いですわね」
誰にともなく、アヴェーラがそう呟いた。
迷いなくアヴェーラは外套を脱ぎ、棚から家政婦服を取り出す。
「ナーレ。準備しよう?」
フィーネは覚悟を決めたように、
私にそう促した。
「うん。私は見張り役でいいよ。
誰か着替えたら、代わってほしいな」
「ナーレ、お願いしますわね?」
そう言って、アヴェーラは髪を結い、
家政婦のように後ろへとまとめた。
フィーネも着替えを始める。
脱いだ服をぽいぽいとその場に放り、
あっという間に家政婦姿になった。
「もう……フィーネ?
脱いだ服は、畳みませんと」
アヴェーラは小さく息を吐き、
困ったように言った。
「あぁ! ごめん。
いつもの癖で」
「しっ……音が、漏れちゃう」
私は二人に、そう注意した。
「……今、何か聞こえなかった?」
誰も、すぐには答えなかった。
───。
私は、扉から視線を逸らせずにいた。
静寂、森閑。
私は指先だけを動かし、二人に黙るよう示した。
その奥で、
扉の向こうから、再び音がした。
今度は、はっきりと。
それでも、正体までは掴めない。
重い布を引きずるような、
あるいは、足を揃え直すときの、かすかな擦過音。
近い。
少なくとも、通り過ぎる気配ではない。
私は息を殺し、
扉の向こうを見据えた。
扉越しに、足音が聞こえる。
遅れて、家政婦たちの声も、わずかに届いた。
「……本日、ご当主様は修道士様をお呼びして……」
数刻の遅れ。
一人分の足音が止まり、それを追うように、もう一人分が数歩だけ鳴って止まる。
最後に、衣擦れの音が、かすかに残った。
「……ナーレ様のお父上だと、聞き及んでいますから……」
私の目の前で、取っ手が、わずかに下がり――
止まった。
「シャフェ? 汚れた衣服は、
後回しにいたしましょう。
ご当主様は、応接間に飲み物を用意して欲しいとの
ご要望ではありませんか」
「……それもそうね、ウェルシー。
商談室にも、お持ちしないと。
アヴェーラお嬢様に、もっと家政婦達の枠を増やして頂かないと」
取っ手が、ゆっくりと元に戻っていく──。
二人分の足音が、離れていった。
(……っ)
(はぁ……)
――音にならない溜息。
胸の奥に溜め込んでいた空気を、
私はゆっくりと吐き出した。
私は、扉から背を離さないまま、
ゆっくりと振り返った。
視線が合う。
言葉は、要らなかった。
フィーネは肩をすくめ、
ほんの一瞬だけ口角を上げる。
――助かったな、という顔。
アヴェーラは、結び終えた髪に手を添え、
小さく、深く、息を整えていた。
その眼差しは静かでありながら、
確かに、緊張の名残を宿している。
誰も、何も言わない。
衣裳室には、
布の匂いと、
まだ消えきらない気配だけが残っていた。
「早くしよう……ぜ?」
フィーネは声を潜めたまま、こちらへ歩み寄ってくる。
私は一度だけ、短く頷いた。
そして――名残惜しそうに扉を見やり、
そっと背を離す。
衣裳室に残るのは、
着替えの途中で止まった空気と、
まだ胸の奥で鳴っている鼓動だけ。
「……急ぎましょう」
アヴェーラが小さく促す。
その声を合図に、
私はようやく、次の動きへと移った。
受け取ると、余計なことは考えない。
私は手早く、家政婦服に袖を通した。
≪ナーレも、その髪型を変えなさい。
そのままでは、すぐに見破られる≫
ヴァルは低く、抑えた声でそう告げる。
視線は鏡代わりの、枠に嵌め込まれた金属の姿見へと向けられていた。
その鈍い光に映る私は――
確かに、“いつもの私”のままだった。
私は金属の姿見に映る自分を、もう一度だけ見つめる。
「ナーレ? こちらへ来て?
私が、結んで差し上げますわ」
アヴェーラはそう言って、
私のすぐ後ろに静かに佇んだ。
衣擦れの音が、わずかに近づく。
背後に感じる気配に、私は小さく息を吸い――
素直に、彼女へと身を預けた。
アヴェーラは手慣れた指先で、
私の髪をすくい取り、静かに編み込んでいく。
引かれる感触は不思議と優しく、
緊張で強張っていた肩が、少しずつほどけていった。
金属の姿見に映るのは、
ほどなくして形を変えていく“私”。
それは見慣れた顔でありながら、
今この館に紛れるための、別の私でもあった。
「これなら、大丈夫かしら?
フィーネは、どう思います?」
アヴェーラの問いに、
フィーネは姿見越しに私を一瞥し、首を傾げた。
「うん──?
ナーレにしては……お嬢様すぎないか?」
その一言に、私は思わず眉をひそめる。
鏡の中の私は、確かに整いすぎていて、
“家政婦”というより、
借りてきた役を演じている誰かに見えた。
アヴェーラは小さく考え込むように指を止め、
「……少しだけ、崩しましょうか」と呟いた。」
「ううん。アヴェーラがしてくれたし。
これで良いよ。」
そう言って、私は小さく首を振る。
両側頭部を円を描くように編み込んだ髪は、
そのまま後ろへとまとめられていた。
姿見に映る私は、
少しだけ背伸びをしたようで――
それでも、今はそれで十分だった。
≪そうだな。お嬢様というより――
御伽噺の登場人物みたいだ、ナーレ≫
ヴァルの声は、どこか楽しげだった。
私は思わず、姿見の中の自分に視線を戻す。
確かに。
現実から半歩ずれたような、
物語の頁から抜け出してきた誰かに見えなくもない。
(……それ、褒めてる?)
小さくそう返すと、
胸の奥に、ほんのわずかな照れと、
覚悟に似た感情が灯った。
≪褒めているさ。さぁ、ナーレ嬢。お手を――≫
ヴァルは、わざとらしく芝居がかった調子でそう言った。
(……貴方には、体が無いじゃない?)
心の中でそう突っ込むと、
私は小さく息を吐いて、気持ちを切り替える。
冗談に付き合っている余裕は、
もう、あまり残されていなかった。
――行こう。
舞台は整った。
衣裳室の扉をそっと押し開けると、
先ほどの足音はもう消えていた。
通路には、淡い陽光が窓から差し込み、床に長く影を落としている。
「行こう……」
私は小さく呟き、フィーネとアヴェーラの後に続いた。
家政婦服に包まれた体は、普段よりも少し窮屈で、
それでも、今はこの装いが、私たちを守る鎧だった。
通路を一歩一歩進むたび、床のきしむ音や窓から差す光の揺らぎに、
自然と息を殺す。
背後に誰かが潜んでいるかもしれない、という気配を意識しながら――
目の前に広がるのは、静まり返った館内の一本道。
けれど、どこかでまた、気配が動き始めている予感があった。
「マズイです! 茶葉を用意してません!」
「何をしているの! 陶器蒸らしの時間が経ってしまいます!」
声は怒気と焦りで震え、通路に反響している。
「はっ! はい! 直ぐ持ってきます!!」
一瞬、ドタドタと走る音と供に
再度、怒号が通路を響く。
「バーサービングカートも準備しなさい!
このまま、お盆とティーセットを両手で持っていくつもり!?」
「はい! すみません……」
家政婦たちの声が、通路角から慌ただしく聞こえる。
私たちは身を潜めたまま、互いの目を瞬きもせず見交わす。
幸い、声は角の向こうで聞こえており、
私たちの存在にまだ気づいてはいない。
だが、ドタドタと走る音は段々と近づいてきた。
すると──
「いけない! いけない! 早くしないと!!」
その声と共に、若い家政婦が
通路の角を曲がって、こちらに駆け出してきた。
私はフィーネの肩を軽く押し、アヴェーラに視線を送る。
――まずい、隠れている余裕はもうほとんどない。
屋敷内だというのに、
全力疾走でこちらに向かってくる。
彼女の視線が、まっすぐこちらに向けられている。
しかし、勢いは衰えず、アヴェーラの数十メートル手前でようやく減速した。
「あっ!! ねぇねぇ?
バーサービングカートって、どこにあるか知ってるかしら?」
声は相変わらず慌ただしく、しかし少し余裕を取り戻した様子。
私たちは通路の影で息を殺し、互いに目を合わせる。
私は思わず小さく息をつき、フィーネと顔を見合わせる。
――まさか、この勢いで話しかけてくるなんて。
「実はその──私達も新人なのです。
でも──。以前、エスリン様がパントリー室にあると仰っておりました。」
アヴェーラは落ち着いた声で、若い家政婦にそう答えた。
言葉には微かな柔らかさが含まれつつ、確かな説得力があった。
若い家政婦は少し考え込み、眉をひそめる。
やがて納得した様子で頷く。
通路に漂う緊張が、ほんの少しだけ和らいだ瞬間だった。
――ふぅ、やっと一息つける。
「そうなんだ!?
じゃあ、私って先輩ってことなんだね!?」
若い家政婦は、えへへっと恥ずかしそうに笑った。
頬がわずかに赤く染まり、声の慌ただしさも少し和らいでいる。
アヴェーラは微笑みを浮かべ、静かに頷いた。
その様子を見て、私も肩の力を少しだけ抜く。
通路の緊張はまだ完全には解けないけれど、
この瞬間だけは、ほのかな和みが流れた。
「私っ!! ヴィーウィ、よろしくね!?」
ヴィーウィは腰に手を当て、えへっん!と誇らしげに胸を張った。
その態度は少し大げさで、でも憎めない――
まるで、舞台の上でポーズを決める子役のようだった。
アヴェーラは微かに笑みを浮かべ、
私は心の中で小さく、クスリと笑う。
――少しだけ、通路の緊張が、柔らかくほぐれた瞬間だった。
「私はアッ……アヴィー。
後ろに居る二人は、同じく新人のフィーユとナーリュと言います」
『よ、よろしく』
私とフィーネの声が、わずかに重なった。
二人の緊張が混ざり合った声は、少しぎこちないけれど、
それでも確かに、挨拶として届いた。
ヴィーウィは誇らしげな顔のまま、
小さく頷いて、私たちの新人仲間を受け入れる。
「三人とも、パントリー室って知らないよね!?」
ヴィーウィは両手をぶんぶん振りながら、勢いよく問いかける。
その動きに、ちょっとした元気と落ち着きのなさが同時に伝わってくる。
私とフィーネは互いに視線を交わす。
――もちろん、知らない。
それでも、ヴィーウィの勢いに押されて、
少しだけ笑みがこぼれそうになった。
アヴェーラは静かに私たちを見やり、
「……落ち着いて、ナーレ、フィーネ」と小さく呟く。
通路に漂う緊張をほんの少しだけ緩めながら。
「ヴィーウィ先輩、パントリー室は来た道の反対側ですよ。
私が知っていますので、案内致しましょうか?」
アヴェーラの声は落ち着いていて、自然と周囲の空気が整う。
彼女は、この屋敷の構造を知る唯一の人物。
だから、私たちは安心して後に続けることができる。
ヴィーウィは少し驚いたように目を見開き、
「ほんと!? じゃあお願い!」と元気に応えた。
私とフィーネは、小さく肩を寄せ合った。
アヴェーラとヴィーウィ先輩の二人が並んで、通路を先に進み出す。
淡い陽光が差し込む廊下に、
軽く床を踏む音だけが響く。
後ろから見る二人の背中は頼もしく、
私たちはその影を追いかけるように、慎重に歩を進めた。
通路の先にはまだ、未知の気配が潜んでいる――
それでも、今は、この並びだけで少し心強さを感じる瞬間だった。
「ねぇねぇ? 皆ってどう? 家政婦!?」
ヴィーウィ先輩は、本当に元気で無邪気なタイプのようだった。
通路を軽やかに歩きながら、笑顔を振りまく姿は、まるでこの屋敷の重苦しい空気をひととき忘れさせるかのよう。
「そうですね……まだ短い期間ですから。
感想を言うのは難しいですけれど――
やりがいはあると思います。
ヴィーウィ先輩は、どう思っていらっしゃるんですか?」
アヴェーラの声は落ち着いていて、冷静に状況を制御している。
瀬戸際で完全にガードし、私たち新人の存在を守りながら、ヴィーウィに質問を振るその様子は、まさに“守護者”の風格だった。
ヴィーウィは少し照れたように笑いながら、
「うーん、やっぱり楽しいかな! でもまだまだ覚えることいっぱいだよね!」と、元気いっぱいに返す。
私たちは小さく肩をすくめ、互いに息を整えながら、
この通路を進む先の緊張に備えるのだった。
「そうですよね? 構造を把握するのも大変ですわよね?」
アヴェーラは言葉を紡ぎながら、私たちを誘導するように通路を左折する。
私とフィーネは彼女の後ろで、足音を抑えつつ慎重に続いた。
アヴェーラの背中は緊張に張り詰めていて、冷や汗が滲むのが分かる。
──もし、ここでエスリン本人にばったり出会ったら、一巻の終わりだ。
私も心の中で小さく息を殺す。
屋敷内の静けさが、逆に私たちを試すように重くのしかかる。
ヴィーウィ先輩はまだ元気いっぱいだが、
通路の角を曲がるときだけ、少し慎重になっている様子が伺える。
――油断はできない。
一歩一歩が、緊張の連続だった。
少しづつ進むと、
遊び場──と中央らしき場所に着く。
「そうそう! 此処に来ると、順路が分からなくなるんだぁ!!」
ヴィーウィ先輩は、少しぴょこぴょこと足踏みしながら、はしゃぐように声をあげる。
その無邪気さと裏腹に私達は緊張をより一層深くした。
──遊び場のような、館の中央に位置する広間に出た。
広間の中央には、人が囲むほどの太い柱が一本立っている。
その柱に沿うように、螺旋状の階段が巻き上がっていた。
柱の中央には扉があり、どこかへ通じているらしい。
自然と視線は上へ向かう。
上層はラウンドアバウトのような円形通路になっており、そこから三方向に分かれている。
二階の踊り場の一部は、この位置からは見えない。
地上の道は四方に伸び、
それぞれ先へと続いていた。
私はそっと扉を数える。
十、十五……数える度に、距離感と屋敷の構造が頭の中で整理されていく。
それでも、どの道が安全なのか、まだ確信は持てなかった。
フィーネが私の横で小さく息を呑む。
アヴェーラは前方を睨むように見据え、慎重に進む道を選んでいる。
──ここから先は、さらに慎重さが求められる。
四つの道のどれかが、私たちを安全へ導くか、それとも危険に近づけるか。
「ヴィーウィ先輩は路を覚えきれていないのですね?
右に見える通路は四阿に向かう道です。
そこから、私たちの家政婦住居兼母屋に繋がるじゃないですか?」
アヴェーラの説明に、ヴィーウィ先輩は眉をひそめ、首を傾げる。
「うっ……難しい言葉を並べないでっ!
そうそう! あっちは私たちのお家!」
どうやら、ヴィーウィ先輩にはまだ、屋敷の構造や言葉の意味が完全には理解できていないようだ。
でも、その無邪気さと元気さは、今の私たちには少し心強くもある。
「私だって、わかることはあるんだもん!?
あの階段は二階の踊り場につながってるの!
お屋敷の入り口にある、でっかい階段に繋がるんだから!」
ヴィーウィ先輩は、得意げに胸を張りながら叫ぶように言った。
その無邪気な自信に、思わず私とフィーネは顔を見合わせて苦笑する。
アヴェーラは少し息を吐き、目線を前方の通路に戻した。
「……頼もしいような、怖いようなですね」
小さくそう呟きながらも、彼女の態度はブレず、
私たちはヴィーウィの先導に合わせて、慎重に広間を進む。
通路の四方に伸びる影の中で、私たちの呼吸は、わずかに張り詰めていた。
「ねぇねぇ? 早く!! アヴィー! パントリー室に案内してよ!」
ヴィーウィ先輩は無邪気に急かし、ちょっと困った表情のアヴェーラを先導役に巻き込む。
その様子を見て、私は心の中で小さく溜息をつく。
――ああ、これはこれから先、
ちょっとした珍道中になりそう。
元気すぎる先輩と、冷静すぎるアヴェーラに、
私たちは無事にパントリー室に辿り着けるのだろうか、と未来を予期した。
それでも今は、目の前の通路を慎重に歩むことが最優先。
足音を殺しつつ、私たちはヴィーウィの元気な声に合わせて、
──遊び場のような、館の中央らしき広間に踏み入れた──。
四方に伸びる通路が交差するその空間は、まるで迷路の中心のようだった。
淡い陽光が天井の窓から差し込み、床に長い影を落としている。
例の螺旋状の階段は確かに上階――
二階の踊り場へと続いていた。
下から上部の通路を見上げる。
螺旋階段はぐるぐると円を描き、途中から円形通路に続く出入り口が顔を覗かせている。
円形通路からは三方向に通路が伸びており、そのうち二つは二階の踊り場を経由してつながっている……。
(人の往来を避けるための、回り道なのかしら……?)
残りの一つの通路は、無機質な壁沿いに伸びていた。
通路の先には小さな踊り場があり、そこには扉が一つだけ設けられている。
ヴィーウィ先輩はその広さに目を輝かせ、ぴょんぴょん跳ねながら声を弾ませる。
「わぁー! すごい広いねー!」
しかし、アヴェーラは少し呆れたように、疲労感を滲ませて声を返す。
「ヴィーウィ先輩も、毎日目にしているじゃないですか?」
アヴェーラの声には、少し呆れ混じりの疲労感が滲む。
どうやら、元気すぎるヴィーウィ先輩の扱いに、少し手を焼いているらしい。
私はフィーネと目を合わせて小さく息をつき、
――今は無理に制御するより、この無邪気さに合わせて進む方が安全だ、と判断した。
ヴィーウィ先輩は気にせず、まだぴょこぴょこと跳ねながら広間を見渡す。
その背中を見て、改めて、アヴェーラがいかに頼りになるかを思い知らされた。
私はフィーネと肩を寄せ、通路の分岐を確認する。
──ここから先、どの道を選ぶかが、私たちの安全を左右する。
唯一の水先案内人であるアヴェーラは、前を見据えた。
「ヴィーウィ先輩……こっちですわ」
十五ある扉の中から、アヴェーラは迷わず一つを選ぶ。
<パントリー室>
通路から見て左手、少し柱の陰になった場所にあった。
二階の遊び場へと続く螺旋階段のすぐ近くに位置している。
ヴィーウィ先輩は得意げに顔を輝かせ、
「へぇー! ここだったんだ!」と声をあげる。
私とフィーネは小さく息を整え、
アヴェーラの後ろについて慎重に扉へと近づいた。
そして──
私たちは<パントリー室>に足を踏み入れた。
中は想像以上に整理されており、
カラトリーは種類ごとに棚に収められ、
バーサービングカートが四つ、整然と並んでいる。
「でぇ? どれがバーサービングカートなの?」
ヴィーウィ先輩……。
私たち三人は、ほぼ同時に視線を交わした。
──(駄目だ、この人!!)
アヴェーラはため息混じりに、カートのひとつを指さす。
「これですわ、ヴィーウィ先輩」
ヴィーウィ先輩は目を輝かせ、嬉しそうにそのカートへ駆け寄った。
無邪気さは微笑ましいが、正直、今の状況では手強すぎる。
私はフィーネと肩をすくめ、
──ああ、これからが本当に珍道中になるんだ、と覚悟を決めた。
作者を頭を抱えた。
はぁぁぁ~……。
ヴィーウィ先輩は困ったもんですね?
元気一杯、無邪気だけど。
難しい事は分からない。
彼女はナーレ達よりも二歳年上です。
でも、知能指数低いんです。
多分、小学六年生くらいの知識、
数学と論理頭脳はメタメタってやつ……。
いや、日常生活の殆どを感覚で生きている人
判断するタイプ。
理解してないけど抽象的に物事を理解している。
自分が行ったこと、観たモノは把握しているってやつ。
お姉さんですけど、
本当に困った女性。
まぁ、見た目は凄くいい子で、
可愛らしいです。
身長は167cmくらい、
53kgかな……。
一寸、一部分はわがままな胸部をしてますけどね。
こちユルはR15です。
申し訳ないっ。
ヴィーウィ先輩のわがままな胸部は……おあずけです。
お風呂会、あるかなぁ? どうかなぁ……。
紳士諸君は必要?
いやいや、乙女だからダメっち。
こちユルに女性読者がいるかは分からないけど(笑)
タオルで隠すからね?
アハハっ!
おあずけだよ──?




