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オートセーブは深夜0時に+  作者: 夕凪の鐘
Episode123 勝ち負けを超えた思い出
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626話 勝算がない

 全国一斉体育祭高校三年生の部もいよいよ佳境。Cランク以下対抗戦が決着し、残す競技はあと三つ。

 次はBランク対抗戦。アナウンスが入り、十二校三十人が入場門に集う。


 実行委員から競技用の道具が配布される。同級生と通信したり地図や得点、脱落状況を見られる端末。ゴムボールを射出する銃と、教科書サイズの盾。ボールは十段階で弾速を変えられて残弾無制限だが、速く、何発当てても盾は壊れない。また、盾は”ノーツ“と呼ばれる特殊能力による攻撃を完全に防ぐ。


 裏を返せば、どんなに遅いボールでも当たれば即脱落。当てた人には撃破点を二点、残っている全員に生存点一点を加算し、高校ごとに合計点を競う。


 そして入場門を潜ると、決戦の舞台、交通公園に転送される。転送先は事前に高校ごとに人数分用意されており、誰がどこへ行くかはチームで決めてある。脱落したら退場門へ転送される。


 全選手の転送が完了すると、勝負開始のアナウンスが入る。道路・標識・信号・踏切・SLなど障害物とギミックに溢れるこのステージで、ボール当てバトルロイヤルが始まった。


 初動は人それぞれ。隠れる人、中央へ走る人、ジャングルジムを登る人。“ノーツ”という武器を活かし、各々の役目を果たしに動く。



 攻撃向きの能力を持つ選手は、仲間との通信で得た情報を基に、ステージ中央に結集しつつあった。総勢四校五人。同チームなのは、小岩(こいわ)詩奈(シイナ)淡路(あわじ)小通(コミチ)だ。


 水天宮(すいてんぐう)千城(チシロ)富浦(とみうら)久蘭(グラン)町屋(まちや)時多(トキタ)と、四つ巴の勝負。


 シイナが創造した剣をコミチも持って、二人で一人を狙う近接戦闘を仕掛ける。これをチシロは自身を鉄化させて弾くと、銃を構える。だが撃たず、トキタの動向を確認する。彼の持つ時の石は時空間の穴を作る。撃った先に穴を作り背後に出口を用意されたら、ボールがワープして自分に当たって脱落してしまう。


 “ノーツ”持ちの層が厚い二千代高校のメンバーであるがゆえに、実力以上にマークされていると警戒しているのだ。


 撃たれずに済み距離をよる余裕ができたシイナにグランが迫る。炎と氷の二刀流を強みとする彼は、地面に刀を刺して氷の塊を噴出し、彼女を突き上げる。

 すぐさまコミチがフォローに入り、あらかじめ溜めていた夜のエネルギーで包み視界を奪う。移動すれば脱出できるものの、どこで誰が待ち構えているか分からないまま動けない。そう読んでの策だったが、グランは迷わず誰も居ない方向へ跳んで夜を抜けた。



 今度はチシロがトキタを狙う。厄介な時の石は鉄の拳で粉砕してしまえばいい。だが狙われると勘づいた彼は自身をワープさせ彼女を近づかせない。


 一人では攻めきれないと察したチシロは他の三人の動きを確認する。最初こそ入り乱れていたが、二対一が出来上がっていた。


 シイナとグランで剣と刀のぶつかり合い。時にコミチが援護するが、彼も通信による味方の支援で対抗する。


 そこへ本郷(ほんごう)真白(マシロ)が全速力で向かっていく。


『撃つわ』

『了解』


 高台から勝負の様子を把握した浅草(あさくさ)流音(ルイン)が、マシロとタイミングを合わせて砲撃する。光線を撃って爆発で撹乱させ、ごちゃついた隙にマシロが仕留める作戦だ。

 だが彼女の砲撃は、飛んできた光線に相殺され、マシロはブレーキをかけた。姿が見えなくても分かった。グランのチームメンバー、溜池(ためいけ)彼方(カナタ)の仕業だと。


 マシロが来たことに気づいたシイナとグランは勝負を中断し、彼狙いに切り替える。計画通りとはならなくても真っ向勝負で負けるつもりのない彼は勝負に応じる。剣と刀に、さらに小回りの利く刃で対抗しつつ、ボールを撃って二人まとめて相手をした。


『イノリも来てっ』

『向かってる、けど……』


 攻撃陣だけでは点を取れない。マシロとルインは三人目の仲間、渋谷(しぶや)祈里(イノリ)の合流を待った。しかし彼女の行手を大崎(おおさき)千迅(チハヤ)田町(たまち)夢魔(ユウマ)が阻む。


「合流はさせないから」


 回復とガードに長けたイノリが攻撃陣のそばにつくと、いよいよ崩せなくなる。それを阻止するためだからと、チハヤとユウマは他校生ながら結託した。



「耐久力は一流でも、物理的に邪魔すれば困るよね?」


 回復に長けた“ノーツ”を持つイノリは持久戦に強い一方で、拘束されれば何もできない欠点があるチハヤたちはその術は持ち併せていないものの、体を張って止めることならできる。

 そうして時間を稼いだ間にマシロかルインを脱落させてくれれば成果はあったと言える。


 イノリは赤いバリアを張った。そのまま前進し、バリアで押して強行突破を図る。だがユウマが体力を引き換えにパワーを増幅させて競り合いになる。


 急いでいるイノリはユウマのスタミナ切れを待っていられない。バリアを解除して相手のバランスを崩した。

 だが踏みとどまった彼は、一度屈んで彼女を抱え上げた。


「ちょっと、降ろして!」


 突然抱え上げられイノリは困惑する。だがユウマは無視して走る。周りの目を気にせず、この隙に彼女を遠ざけてしまえばいいとしか考えていない。

 チハヤは傍観していた。


 できるだけ遠くに。その一心で走るユウマの足に、一ノ宮(いちのみや)耀(ヒカリ)のスライディングがヒットした。


 両手は塞がっており、走ってやや前のめりだったユウマは前に倒れ、イノリを落としてしまう。だが彼女はすぐ赤い光で体力を回復させ、相手を掻い潜った。


「よくも邪魔を」


 チハヤはボールを射出する。弾速はあえて最も遅く。フラフラのボールは明後日の方向へ漂う。


「ヘッタクソー。ノーコンノーコン」

「うざ……」


 ヒカリの意表を突くために変化球を撃った。一見見当違いの方向に飛ばしたからミスと思われる自覚はあるが、過剰な煽りに低い声が出る。しかし油断してくれるならありがたく消えてもらう。


 チハヤの放ったボールは風に流され、棒立ちのヒカリに降ってきた。だが当たる直前、ボールはプラズマに弾かれた。プラズマが解除され正体が判明する。グランと同チームの九重(ここのえ)晋世(シヨン)だった。


「なんで守るのよ!」

「ボクの得点だ」


 ヒカリは優勝争いしている菜の花原高校の一員。早めに倒して点を抑えるべきなのになぜ庇ったのか聞く。シヨンの答えは、他校に撃破点を与えないという貪欲なものだった。


 だがシヨンはヒカリを狙わない。逆に彼女を守るように立つ。その隙にイノリは逃げた。


「追わないの?」

「手の内を明かしちゃったからなぁ」


 チハヤはユウマにイノリを止めないのか尋ねる。彼はできないと答えた。一度見せた作戦は通用しないからだ。


 すべてヒカリのせいだ。チハヤは彼女を絶対に倒すと決めた。ちょうど良いところに味方の八積(やつみ)雅火(ミヤビ)も来た。これで二対二対一。


 ユウマも協力してくれたらチハヤとしてはありがたかったが、彼は一人なので撤退した。誰も彼を追わない。ソロ出場の彼は、残しておいても多く点を稼げないからだ。


『なぜ一ノ宮を庇った』

『なぜって、楽しんでもらいたいからさ』


 虫を使役して広範囲を見ていた八王子(はちおうじ)漫芦(ソゾロ)は、シヨンがヒカリを倒すためでなく残すために守ったのを見抜いていた。すると彼は、たとえ相手校であっても体育祭を良い思い出にしてほしいから残したと答えた。


『競技に私情を持ち込むな』

『はいはい』


 通信を聞いたグランは、勝つことを考えろと釘を刺す。しかしシヨンは適当に返事してプラズマで通信を壊した。



「お待たせ!」


 イノリは味方と合流し、大薔薇高校が三人揃った。チシロは味方との合流を優先し、コミチとシイナは他の相手を狙うためにそれぞれ撤退した。


 グランもソゾロの指示で下がっていく。残ったトキタは、三人の狙いの的になった。


 ルインの光線がトキタに向かうが、時空間の穴で吸い込み捻れさせて撃ち返す。マシロが腕を引いて直撃は免れた。少し入ったダメージは、イノリが回復させ帳消しにする。


 今度はマシロが刃を構えて突撃するが、今度は自身をワープさせて回避する。だが遠くにいかず三人の死角に移動し、ボールを射出。だがイノリのシールドに阻まれた。


「盾以外でも弾かれるんだ」


 トキタは呟き、通信で味方と情報共有する。検証は終わり。三人を仕留めに動く。


 ルインは雨のように光線を降らせる。分散させ威力は落ちたものの、半分はトキタに命中し半分は穴に吸い込まれる。


 だが時の石の力で自分の時間を巻き戻し、被弾する前に戻す。実質回復だ。そして溜めた光線を撃ち出し、と同時にルインの時間を巻き戻す。回復される前の状態に戻し、追撃を浴びせた。


 まず一人、と銃を構えたところに氷が押し寄せる。振り向くとグランが戻ってきていた。


 トキタは衝撃で手元を離れた石を拾いにいくが、間に合わず氷漬けにされてしまった。そこにグランの刀一振りを喰らい、体が凍りつく。もう一方の手で撃ったボールが体に当たり、最初の脱落者はトキタとなった。

 このタイミングでトキタ以外に生存点一点、グランに撃破点二点が入る。花段井高校は六点、菜の花原高校は四点になった。



 結果的にグランに救われたが、マシロたちは彼を狙う。しかし先手はグランが取り、銃をしまって両手に持った刀から氷と炎を放出し、発生した水蒸気に身を隠す。


「逃がさない!」


 隠れていようとそこにいるのは確か。ルインはすかさず光線を撃つ。だがUターンしてきた。再びマシロが引っ張って回避する。水蒸気が晴れるとからくりが判明した。


「反り立つ壁……」

「見て! 穴!」


 グランは氷の壁を炎で解かし、滑らかな壁を作って光線を跳ね返していた。その本人は姿が見えない。その壁に穴があり、そこから逃げたと思われる。


「追うぞ!」


 マシロが先陣を切ってグランを追う。ご丁寧に刀を引き摺った跡がある。三人の進路の先に彼は居た。



『当たった?』

『少し。もう回復されたが』


 グランはソゾロに状況を聞く。大きなダメージだったら戻って倒すこともできたが、時間稼ぎに過ぎなかったと知って前に走り続ける。


『で、なぜこっちに?』

『薔薇と菜の花をかち合わせる』


 グランはソゾロの指示で進路を取り目印まで残したが、その理由はマシロたちとシイナたちをぶつけるためだった。


『本郷を倒すのは俺だぞ!』

『それこそ私情じゃん』


 だが自力でマシロを倒したいグランは、手柄を他人に獲られるのを嫌った。だがソゾロは聞く耳持たない。それで返り討ちに遭っては本末転倒だからだ。

 グランがマシロを倒したい理由。それは三年前からの因縁。中学の頃、彼は同級生の田浦(たうら)夕雅(ユウガ)の一番の親友という誇りがあった。けれども“ノーツ”の覚醒を機に他校生のマシロと仲良くなって、彼を敵視するようになり、グラン自身も覚醒して以降、その意思はより固くなった。


『とりあえずその先に日比谷いるから』


 そんな意地を張って引き返す、なんて余裕はないとソゾロは忠告した。シイナたちをマシロたちにぶつけることを優先した結果、味方が別の相手と鉢合わせになる。


『大薔薇が揃ったけどどうしよう』

『分散を待った方がいいね』


 暗闇に身を隠しながら、コミチたちは味方と相談する。揃っている今仕掛けるのはハイリスクだと小竹(こたけ)燈夜(トウヤ)は忠告する。他校の妨害で三人をバラけさせたところを狩るのがベターだ。


『ヒカリちゃんはどう思う?』

『二人で行けば?』


 最後の仲間、一ノ宮(いちのみや)耀(ヒカリ)にも意見を求める。すると彼女の提案は真逆のものだった。


『勝ち目ありますか?』

『さあ? でも向こうもそう思うはず』


 勝算がないことが勝算。それがヒカリの考えだ。


『二人だけで来ないはずだって思い込ませれば、周りを警戒する。すると正面への意識が落ちるから』

『相手が全力出せないよう誘導する。そういうことだね』

『それ採用』

『私もですっ』


 ヒカリの意見に二人は賛同した。そして仕掛けるときは奇襲にするため、ここで待ち伏せることにした。目立った場所では他の選手の注目を集めかねないから。


「終わった?」

「うん」

「じゃあやろう」


 会話が止まったのを確認したシヨンはヒカリに聞く。そしてここからは二人で開幕高校の二人を相手すると提案した。


「勝負所ね」


 ミヤビは“ノーツ”を使い、体内の血を使って炎を放出した。この炎は熱くなく、治癒と疲労回復の効果がある。他人にも効果を付与することができ、炎に包まれた彼女とチハヤはしばらく疲れ知らずになった。



 全速力を維持しながら、シヨンやヒカリを銃で狙う。けれども光の速さで動くシヨンは掴まらない。ヒカリを仕留めようにも、何度も盾で防がれる。


 盾は一つ。二人で一人を狙えば凌ぎきれない。そこでヒカリを挟み撃ちにするも、一方は銃で放ったボールで相殺された。


『カゲツ待つ?』

『そうね。三人なら……』


 さすがに三方向から狙えば防ぎきれない。最後の仲間の合流を待とうとしたが、シヨンが反撃に動いた。


 全速力で回避するミヤビを、先回りして狙い続ける。いくら最高速度をキープできても、それ以上加速はできない。速さで守りを崩したシヨンが、ミヤビを撃破した。


「よし、あと一人だよヒカリ」

『……点取られた』


 ヒカリはシヨンの勝利を喜ばず、チームとしてリードされたことを不満そうに報告した。実際これで彼のチームとは四点差がついた。



 ソゾロに言われる方へ走ったグランは日比谷(ひびや)当麻(トウマ)と出会した。一対一だが、トウマは勝負を仕掛ける。


 “ノーツ”で作った幻想空間にグランを幽閉した。


 見え方が変わったわけではない。地形も変わっている。うっかり水に浸かって元の世界に戻されれば、体が埋まってしまう。


 さらにトウマは炎を地面から噴き出した。幻想と分かっていてもグランは避ける。怖いのは彼女の演出に紛れて他人の攻撃を喰らうこと。全部避けておくに越したことはないが、足元は信用ならない。


 氷の柱を立て、そこを信用できる足場とした。氷の上を滑っていると、トウマが元の空間に戻した。空中にトラップはない。そう思い込んで前を見ながら後ろに滑っていた彼の後頭部と信号機がぶつかる。


 思わず頭を押さえるグランに、麻布(あざぶ)麻李杏(マリア)が迫ってきた。間一髪で避けるも、もう一人、春日(かすが)(アズチ)もいる。彼女がマリアを操って、自在に浮かせているのだ。


 トウマはグランと挟んでアズチを狙って撃つ。彼女を倒せばマリアも止まるが、彼女の“ノーツ”で起こした突風でボールを打ち上げられ回避される。真っ直ぐ飛んだボールが山なりに浮き上がり、また真っ直ぐ飛ぶ。


 結果的に狙われたグランは氷の壁で盾を増やした。けれどもマリアが氷を蹴り壊す。今度は刀で斬って彼女の体を氷漬けにするも、一瞬で脱出された。


「不死身か」


 操り人形だからというだけでは納得できない力業。グランが劣勢になったそのとき、急にマリアの動きが変わり、味方のはずのアズチの背後についてボールを撃って落とした。


「……富士見か」


 裏切りかと思えたが、マリアは自分に触れた人を主として思い通りに動くようになる。けれども触れずにそれが可能な人もいる。

 離れた物を実際に触れたかのように動かせる“ノーツ”を持つ富士見(ふじみ)稲穂(イナホ)からすれば、マリアが見える場所ならどこからでもコントロールできる。


 現にアズチを倒した撃破点はイナホに入っていた。


 イナホに所有権が移ったマリアは宙に浮かんで彼女の元へと去っていき、グランとトウマが残された。



 ヒカリの提案でマシロたちに奇襲を仕掛けたシイナとコミチは、成功させたが撃破には至らなかった。だが攻撃を続ける。二対三の不利な状況でも、果敢にボールを撃っていく。


「二人だけ?」

「そんなわけねえ。周り見とけ!」


 目論み通り、マシロたちは周囲に意識を向けた。不利と分かって挑んできたのを怪しませるハッタリが効いている。マシロたちは目の前の勝負に全力を出せないでいて、撃ち合いはシイナたちが優勢だった。


 ボールを刃や盾で凌ぐマシロ。ルインは相手を狙えば彼も巻き添えになるので光線を撃てない。


「……周りを見てない」


 マシロは二人が正面だけを見て勝負していることに気づいた。隠れている味方とのアイコンタクトをとる素振りがないのを不審に思った。そして、間違った思い込みをしていたと気づく。


 マシロは無防備に突撃した。シイナの剣を強引に押し退けつつ、手数で彼女の体力を削る。コミチが夜のエネルギーで彼を押し返そうとするも、ルインの援護に相殺された。


 連携を崩して、マシロがシイナを、ルインがコミチを撃破した。


『あらやられちゃった』

『えっ』


 トウヤは味方を立て続けに失ったことを端末を見て気づく。通信越しにヒカリも知ったが、これで自分の得点がチームの中で多い部類になると分かり、肩の力を抜いた。



「ハッタリだったのね」

「だな。とっととグランを潰す」


 二人撃破して勢い付いたマシロたちは、点を横取りしたグランの追跡を再開する。

 その途中で与野(よの)愛鐘(アカネ)と遭遇し、ついでに倒すと決めた。


 アカネはハート型のバルーンでピンボールのように体を弾きながら襲撃を逃れる。ときには相手に踏ませ、信号機に頭をぶつけさせた。それでも一人では逃げ切れない。特にマシロがしつこい。頭の痛みを堪えて刃を振ってくる。


 チームメイトのイナホにヘルプを求めたそのとき、交戦中のグランとトウマに遭遇した。



 グランはマシロを見て、シイナたちを破ったのだと理解し安堵した。彼らは周りの女子そっちのけで一騎打ちを始める。同時に頭痛が起こり同時にふらつく妙なシーンも生まれたが、激しい競り合いが続く。

 そこに横槍を入れたトウマが再び幻想世界を作り、辺りに池を作る。水に浸からないよう回り道をするマシロを、アカネがバルーンで行く手を塞ぎ池に落とした。


 その瞬間に幻想を解除したトウマが、元の地形に戻り下半身が地面に埋まったマシロを倒すべく銃を向け詰め寄る。


 すると後方で、行くよと叫んだルインが光線を地面に撃って地割れを起こす。

 振動でトウマはふらつき、マシロは地面から飛び出す。跳んだ勢いで刃を振るい、彼女を削りつつ銃で撃ったボールで仕留めた。


 三人目の撃破で勢いに乗る大薔薇高校は、今度こそアカネを獲りにいく。するとイナホが操作するマリアがうつ伏せの状態でイノリの足を掴む。転んだ彼女を羽交い締めにして宙に浮き、分断させた。


「待ってろ今助ける!」


 そう誓ったのも束の間。次々と相手が現れ、マシロとルインを取り囲む。


 三十人中六人が脱落した。高校ごとの順位トップ3現時点は以下の通りだ。

 一位 花段井28点

 二位 大薔薇24点

 三位 菜の花原19点

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