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エデン外伝  作者: ko-da
『戦いの後始末』

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8/11

エイリエアの能力

爆発によって巻き上げられた煙が、ゆっくりと森の中へ広がっていく。

エデンたちは警戒を解かず、煙の向こうを見つめていた。ドロイは剣を失った手を構え直し、亜炭も次の攻撃に備える。亜爆はいつでも爆弾を生成できるよう、エイリエアの動きを注意深く観察していた。

やがて、煙の中から長い胴体が姿を現した。

エイリエアはまだ倒れていなかった。

身体を大きく揺らしながら、何本もの腕を地面につけている。その動きは先ほどまでよりも不安定で、ところどころに力が入らないようにも見えた。

「……どこ……」

かすれた声が漏れる。

エイリエアは何度か身体をよろめかせたあと、ゆっくりと顔を上げた。

「敵……いる……」

その言葉に、エデンは眉をひそめた。

今まで繰り返していた「どこ」という呟きとは違う。目の前にいるエデンたちを、敵として認識したのだろうか。

「……何だ?」

エデンが呟いた、そのときだった。エイリエアの腕が、不自然な動きを見せた。

顔を覆っていた二本の手。そのうちの一本を、別の腕が掴んだのだ。

「……っ?」

エデンは思わず目を凝らした。

エイリエアは、自分の顔を覆っている手を、無理やり引き剥がそうとしていた。

一本の腕が手首を掴み、別の腕がその手を押さえる。何本もの腕が互いに絡み合い、顔にくっついている手を引き離そうと動いていた。

「……あれは……」

亜爆が呟く。

エイリエアの身体が激しく震え始めた。

顔を覆っていた手が、少しずつ持ち上がっていく。それまで隠されていた顔の一部が露わになる。手を引き剥がそうとするたびに、エイリエアの身体が大きくよじれ、無数の腕がもがくように動いた。

「グ……ア……ッ!」

苦しげな声が漏れる。

エデンたちは、目の前で起きている光景から目を離せなかった。そして――

「グアアアアアアアアアッ!!」

森を震わせるような絶叫が響き渡った。エイリエアが、顔を覆っていた手を完全に引き剥がした。隠されていた目が、ついに露出する。その瞬間だった。

「――っ!?」

エデンの身体が、ぴたりと動かなくなった。足を動かそうとしても、動かない。腕を持ち上げようとしても、指一本動かすことができなかった。まるで、身体そのものが何かに縛りつけられてしまったかのようだった。

(身体が動かない!?)

エデンは目を見開いた。自分だけではない。

隣にいる亜爆も、ドロイも、亜炭も、まったく動く様子がなかった。全員がその場に立ち尽くし、エイリエアを見つめたまま硬直している。

(何が起きてるんだ……!)

「グアアアアアアッ!!」

エイリエアが絶叫しながら、エデンたちへ向かって突進してきた。

長い胴体をくねらせ、無数の腕を地面につけて勢いよく進んでくる。先ほどまでの不規則な動きとは違い、今度は明確にエデンたちを狙っていた。

しかし、誰も動けない。

逃げることも、防御することもできなかった。

(くそっ……! 動け、動けよ……!)

エデンは必死に身体を動かそうとした。だが、どれだけ力を込めても、身体は言うことを聞かなかった。

エイリエアが迫る。

長い胴体が目の前まで迫り、何本もの腕が振り上げられた。

その中の一本が、エデンへ向かって振り下ろされる。

(間に合え……!)

エデンは残されたわずかな時間で、能力を発動させた。

「リミットナイト!」

黒いエネルギーが全身を覆い、鎧を形成する。

直後、エイリエアの腕が直撃した。

凄まじい衝撃が全身を貫く。

「ぐああっ!!」

エデンの身体が大きく吹き飛ばされた。

リミットナイトによって防御したものの、攻撃の威力を完全に抑えることはできなかった。エデンは地面に叩きつけられ、そのまま勢いを殺しきれずに転がっていく。

(エデンさん!)

亜爆が叫ぼうとした。だが、その声は発せなかった。

エイリエアは亜爆達のいた場所を通り過ぎ、長い胴体で地面を這い、無数の腕で木々の間をかき分ける。

エイリエアは止まらなかった。吹き飛ばされたエデンの方へと、さらに進んでいく。その異様な姿が木々の向こうへ消えかけたころ、ようやく亜爆たちの身体が動くようになった。

「……っ、動ける!」

亜爆はすぐさま体勢を立て直し、エイリエアが向かった方向を振り返った。

ドロイも身体の自由が戻ったことを確かめる間もなく、周囲を見回す。

「今のは……もしかして、あのエイリ星人の能力でしょうか?」

亜爆は険しい表情で、エイリエアの消えた森の奥を見つめていた。

「……だとしたら、厄介ですね」

亜爆は呟き、すぐに視線を地面へ向けた。

そこには、吹き飛ばされたエデンの姿があった。

ドロイもそれに気づき、表情を引き締める。

「エデンさんが危ない」

その言葉を聞くや否や、三人はエデンのもとへ駆け出した。

森の奥には、エイリエアの叫び声がまだ響いていた。

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