愛の反動 -01
「それで?お前はまたストーカーをしてるのか?」
「ストーカーじゃない。」
高等学校にあがり3年の月日が経った頃、いつものように届いた手紙を片手にソワソワとしていると、向かいのソファに寝転がる友人のアルバートが呆れた顔で言う。
部屋を出れば王太子殿下として称えられるこの友人も、人の目がない場所ではその辺にいる青年らと何ら変わりない。
互いに常に人の目がある環境で、唯一と言ってもいいほど素をさらけ出せる存在として、高等学校に上がってからはほとんどの時間を共にしていた。
「どう見たってそうだろ?友人づてに近況を聞いてにやにや笑みを浮かべるなんて。さっさと会いに行ってこい。」
「ちゃんと、自信をもってバレッタの前に出られるようになるまでは連絡しない。」
「お前…堅物だよなあ。」
バサりと持っていた本を机に置いて、アルバートが起き上がる。
「ならさっさと一人前になって求婚でもしちまえよ。お父上から一区画の管理を試されているんだろ?それが落ち着いたらいい機会なんじゃないか?」
「まぁな…。」
アルバートの言葉に歯切れ悪く答える。
ラウドがなかなか踏み切れないのには理由があった。
事件の後、バレッタがどこの家の子なのかを調べると伯爵家のザミット家の次女だった。
町で会っていた時に感じた通り、令嬢にも関わらず積極的に社交界に出てこないこともあり、少し変わり者扱いされていた。
──なにせバレッタは自分が公爵家の人間だとは知らないのだ。
変に自分が近づくことで、彼女が余計なやっかみを受けるのは避けたかった。
だが──
「な…!!!」
「大きな声を出すな!なんだ?」
「くそ…、ルートがバレッタに告白しただって!?あいつ…。」
リナから受け取った手紙には、いつも通りバレッタの近況を知らせる内容だった。
しかし、そこに書かれていたのは、ルートがバレッタに告白したという信じたくない内容だった。
「お?ついにライバルか?」
「いや…バレッタは気が付かなかったらしい。」
「気が付かない?そんな面白いことがあるのかい?」
アルバートが声を出して笑う。




