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愛おしい記憶 -03

その一言に背中を押されるようにようやく身体が動き出し、慌ててオットーの近くにしゃがみこみ一緒になってクッキーを拾う。


「…ごめんね。」


「ううん、僕も前を見て歩いてなかったんだ。」


ようやく出てきた謝罪の言葉は、オットーの涙を浮かべた笑みに庇われるようにして消えた。


「…うん、本当にごめん。」


町の子供たちと接するのはこれが初めてだった。


それでも、尻もちをついたオットーの膝に土汚れが付いているのに気がついて、ポケットからハンカチを取り出しそっとその足を拭う。


その様子を見ていたバレッタという少女は、興味深そうな顔で後ろから覗き込む。


しかし、なにかしたり顔をすると、演技がかった口調でラウドに言う。


「謝るだけじゃ足りないわ。台無しになったぶん、バターを買うお金を一緒に稼いでもらわなきゃ。」


「…お金なら持ってる。」


ポケットからお小遣いを取り出そうとすると、バレッタは首を横に振る。


「だめよ。あなたが働いたお金で返すの。お父様から貰ったものは貴方のとは言えないわ。」


バレッタの口から出た言葉にショックを受ける。


確かにこのお金は父からお小遣いとしてもらったものだ。


しかし、それをどこかの裕福な家庭の子であろうバレッタから言われたことは大きな衝撃だった。


そんな当たり前なことを指摘され、恥ずかしくて、思わず顔を下に向けた。


しかしオットーは無邪気によろこぶ。


「いいねバレッタ!もうすぐお祭りだし、どこも人手が足りないからみんな喜んで働かせてくれるよ!ねぇ、ルート?」


「あぁ、リナの家の花屋も人手が欲しがってたな。」


「じゃあ僕と一緒に手伝おうよ!」


「…うん、手伝う。」


こくりと頷くと、決まりと言うようにオットーは立ち上がりラウドに手を差し出す。


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