正しい答え -07
「まだ手がかりはないのか…!!」
珍しく荒々しい口調で机を叩くラウドにイリスが静かに言う。
「パーティー会場の裏手でビビ様とお話されている姿までは目撃されています。しかし、まだビビ様も目を覚まさず…」
ラウドはパーティー会場でバレッタの姿を見た瞬間に声をかけそびれたのを酷く後悔していた。
──まさか、彼女がパーティーに来ているとは思わなかったのだ。
別邸にいてくれれば、ラウドに執着する者から、そしてバレッタを狙うものから遠ざけられると思っていたのに。
目が合った瞬間、彼女は静かに人混みの奥へと消えた。すぐに追いかけたが、周囲を巻くのに時間がかかり、気がつけば目の前から姿を消していた。
最後に見かけた横顔が、どこか諦めたように見えて、どうしても直接話したかった。
(それに…)
イリスもバレッタがパーティーに来ていたとは知らなかったという。
焦るままに、全ての仕事を投げ出してバレッタの捜索に当たっていた。目撃情報を頼りに、王太子殿下や信頼のおける人物たちに協力を仰いでいた。
今日はもう一度侍女達から話を聞く予定だった。いつもバレッタの世話をしている侍女たちには一通り話を聞いていたが、見習いの侍女達からも話を聞きたかった。
「ラウラです。バレッタ様付きでお世話をさせていただいております。」
恐縮したように頭を下げたのはバレッタよりもいくつか若い、まだ幼さの残る侍女だった。
「来てくれてありがとう。キミは…バレッタが連れ去られる前に何か異変は感じなかったかい?」
「いえ…でも、酷く落ち込んでいたのは知っておりました。」
「落ち込む?」
「…はい。」
ラウドも、バレッタの異変に気が付いてはいた。しかし早く記憶を取り戻すための手がかりのため、王太子から頼まれた調査の一件が通常の業務に加えて取り組むことで、なかなか帰れない日が続いていた。
「詳しく聞かせてくれないか?」
恐れるように縮こまるラウラに、ラウドは優しく問いかける。すると、ラウラは勇気を振り絞ったように顔をあげると堰を切ったように話し出す。
「だって!ラウド様が他の女性と親しくされていたから…!わたし思わずお伝えしてしまったんです。」
「…なんと?」
「聞いちゃったんです。ラウド様が女性と親しげにお電話されているところ…。それにバレッタ様を遠ざけて、バレッタ様は傷ついておられました!!」
ラウラの雪崩のような言葉たちにラウドは唖然とする。まさか、バレッタを守るために距離を置いていたことが裏目に出ていたとは。
だが──




