第8話 <妖狐のヨーコ>
キツネヒト族の里でのお話です。
食事が出てきますが、ヒト族ではまず食べない食材が出てきます。苦手な方、食事中に読む場合はご注意を。
想像されてしまわれた方、すみません...
キツネヒト族の里に着き町中を歩いていると、
シルビアの知り合いのキツネヒト族に遭遇。
話の流れで着いていくことになったルーカス達。
着いたその場所は花街という場所にある立派なお屋敷だった。
筋肉ムキムキのキツネヒト族に迎えられた一行。
「只今 帰りんした。此方のお方々はわっちの大事な上客。失礼の無いよう良しなに。」
「「承知 致しました」」
と返事をして筋肉ムキムキ キツネヒト族は入口の扉を両サイドに引いて開ける。
中に入ると執事(?)と侍従(?)らしきキツネヒト族が数人いて、
「「「おかえりなさいませ、姐さん」」」
と迎えられ、先程と同じ事と幾つか言葉を執事(?)に伝えた妖狐は正面に聳える幅の広い階段を指し
「さあ、皆さま。此方でありんす」
と言いながら階段を上がっていく。
上階にきて長い廊下を歩いた突き当たりのドアの前にきて、
「さぁ、着きましたえ。ここがわっちの仕事場。右手側の扉がもう一つの仕事場で、左手側がプライベート空間。」
正面の扉を開けて、
「さ、どうぞ其方のソファに奥の1人掛けの方から座って寛いでおくんなんし。」
の言葉に甘えソファに座る一行。
入口から見て奥に1人掛けのソファが3つ横並び、間に机を挟んで向い側に3人掛けが1つ両サイドに2人掛けが1つずつある。
「ただ今 皆さまのお部屋もご用意 致していんす。今夜は此方で御ゆるりされるがよろしいおすえ。」
Sy「何を企む?」
奥の右手側のソファのに飛び乗りお座りするシルビアが歯を剥き出しにしつつ尋ねる。
「企みなど何もありゃしんせん。わっち等キツネヒト族は今後 人族と商売の上で良しなにしとう思とりますだけおす。」
扇子で口元を隠しながら入口に近い3人掛けのソファに座るキツネヒト族の女性。
ヨーコの向側で1人掛けソファの真ん中に座ったルーカスが名乗る。ルーカスの左にシルビア、右にトレバーが座りシルビア側の2人掛けソファはセレーナとナディア、トレバー側の2人掛けソファにフェルナンドとイヴァンが座る。
「改めまして、ご挨拶しなんす。
わっちはキツネヒト族の母を名乗らせて頂いてござりんす妖狐のヨーコと申します。以後 良しなに」
L「ああ、ルーカスだ。よろしく」
「いけずやわぁ。肩書き名乗てくれへん。」
扇子で口元を隠して細い目を更に細めながら見つめてくる。ルーカスも妖狐を見据える。やがて
「余ござんす。さすが黒犬の姐さんが認めるだけの器量が在りんすなぁ」
Sy「して、本題は?」
「姐さん、相変わらず連れないお人やわぁ。世間話の1つもさしてくれせん」
Sy「妾達は遊びに来たわけではあらぬわ。馴れ合う積もりもない。お主が話があるゆうから着いてきたにすぎぬ。早よう本題を話さぬか」
急かすシルビアに対し溜息を1つしてヨーコは
「ふぅー、ほんに連れない。ま、余ござんす。ほんならリクエストにお答えしまひょ。トラヒト族領と人族との国境の里おますな?確かミライポール?」
L「.....それ、ミリーネポール州のことか?」
「それどす!そこの里の北にあって海が見える里でジャンプーゆう…..」
T「...ひょっとしてズァンプー州のことではないか?」
「それおす。人族の里の名前はややこしやー。ほいで、そのシャンプーゆう里ともう1つ北のイタイ里?から数週間ほど前より物資と武器が北人族へ流れていんす。逆に北人族が難民としてジャンパー里とイターイ里へ連れて来られておりんす。」
F「イターイ里?武器と物資が流れる…」
L「トレバー地図」
トレバーは王国地図を開いて、ヨーコに何処の州か指差してもらう。
中央大陸の東側でセニート王国と獣人国の間は、最南端でミリーネポール州とトラヒト族の里が陸地で繋がっているが、他はセニートの東側と獣人国の西側は大きくU字型の湾で離れている。
ヨーコの話を要約すると、
セニートのミリーネポール州の北にあるズァンプー州とイータン州が武器と物資を北人族つまりアナスタシオ帝国へ流し難民保護と称して人手として帝国民を[ズァンプー]と[イータン]に連れて来て何か訓練させている。ということらしい。
F「2州共 港がなかったと思うけどどうやって其れ等を運んでるの?港のある街で下ろしてそこからは陸路とか?」
L「いや、[ズァンプー]や[イータン]から近い港と言えば[ミリーネポール]や王国北東部の[クランセイヌ]になる。其れ等の州がが難民支援とはいえ港で人を受け入れてたとしたら州知事や国に話が入って来ないのはおかしい。俺は聞いてない」
「それらの大きゅう里を経由してでは御座りんせん。ウータン里から少し離れた場所に船を停泊さして宵闇に紛れさして小舟で少しずつ移動さしてるみたいで在りんす。それに…」
ヨーコは扇子で口元を隠して皆に流し目をする。(話の続きをせよ)というようにシルビアが1つ頷くのを見て
「それに、普段は都にいてはる首輪の着いたお偉いさんおますやろ?えらいゆるい首輪おすなぁ。数年前からちょくちょくジェンブーの里で見かけてござんす。最後に見かけんしたんが数日前。
その際に[王子が旅立って半月以上過ぎた。どういったルートを辿るか分からないが遅くても出発から二ヶ月もすれば海を渡っているだろう。そうすれば何かあっても直ぐには帰って来れぬ距離。その時に決行だ。城を包囲し王を玉座より引き摺り出し我が手に。]と。」
「「「「「!!!!!!」」」」」
室内が一気に緊張感に包まれる。
Sy「今の話、嘘偽りないのじゃな?」
「本ざんす!」
お互いを睨み合うシルビアとヨーコ。
長い沈黙が流れて漸く口を開いたのはシルビア。
Sy「部屋に案内せよ。ルーカス、お主達はキツネヒト族の持てなしを受けよ。ただし、この宿からは出ては成らぬ。妾は部屋で過ごす。妖狐よ、下手な真似をすれば分かって居ろうな?」
「もちろんどすえ!ほな、案内しまひょ」
ヨーコは呼び鈴を鳴らす。
L「シルビー」
ルーカスは呼び掛けシルビアをじっと見る。シルビアもルーカスを見つめて
Sy(妾は妖狐の話の裏を取るためリカルドと話をする故、お主達はこの宿にて待機じゃ。気掛かりじゃろうが下手には動かぬ方が良い。)
L(……分かった。状況が分かったら知らせてくれ)
念話でやり取りしお互い1つ頷く。
やがて案内人が来てルーカス達はおもてなしを受けるため大広間へシルビアは宿泊部屋へと移動する。
*○*○*
大広間へと案内されたルーカス達はそれぞれ席につきキツネヒト族の持てなしを受ける。
テーブルの上には所狭しと色々な食事が置いてある。
「さぁ、遠慮はいりませんえ。たーんと召し上がっておくんなんし。」
L「持てなし感謝する」
木の実の入ったサラダやパン
フルーツの盛り合わせ
素材不明な焼いた肉や揚げた肉もある。
数種類あるお酒やジュースを各自 手に取り乾杯を交わして宴が始まる。
男性陣はキツネヒト族お薦めの白酒。
女性陣はフルーツジュースを飲みながら宴を楽しむ。
サラダやパン、フルーツやドリンクは普通に美味しい。
肉も味は普通に美味い。
が、見た目が………自分達にはキツイ。
細かくして原形が分からない様に工夫して調理をしてくれてるのだろうが分かるものは分かる。
何処かで、……きっと草むらの中や地を這うもの、地中に住む奴や空中を飛んでる奴等の成れの果てなのだろう。
これも異文化交流だ。
郷に入っては郷に従え。
[試練の旅]をした先人達もきっと食べてる。
と、何度も自分に気合いを入れながら食事を進めるルーカス達。
食事が並ぶテーブルから少し離れた場所では宴を盛り上げる為にキツネヒト族が芸を披露しており、腹が満たされてきた頃にはルーカス達も仲間入りして遊ぶ。
夜も更けてきた頃、
其々が寝所に案内されて眠りに着いた。
〜☀︎☆☀︎☆☀︎〜
朝日が登り始める早朝。
Sy(ルーカス、起きよ。昨日の話の詳細を話したい。が、ここでは何処に目や耳があるか分からぬ。直ぐに出発しイヌヒト族の里に向かうぞ。)
シルビーからの思念で目を覚ましたルーカスは仲間を起こして出発の準備をする。宿の入り口に向かうとヨーコを始めキツネヒト族が勢揃いしていた。
L「色々と世話になった」
「ご満足 頂けたのなら何よりおすえ。」
満面の笑みを浮かべた妖狐は
「ほなこちら、宜しゅうお頼みします。」
紙切れを渡され目を通すとそこには
(おもてなし料金:金貨ニ十枚也)
と書いてある。
シルビアも覗き金額を確認して牙を剥き出しにして
Sy「なっ!女狐、ぼったくりすぎじゃ!」
「はて?わっち等は金額に見合うおもてなし(情報提供)をしたまでおすえ。値切られてしもたら商売が成り立ちゃしまへん」
にっこりと黒い笑顔になる妖狐に苦虫を噛み潰したような顔をしたシルビアは
Sy(致し方あるまい。ルーカス、金額分の持ち合わせはあるか?)
ルーカスは肯定する様に頷くと
Sy(そのまま金額分の支払いをするのじゃ)
ルーカスはもう一度 頷きトレバーに目配せし、トレバーが支払いを済ませる。
「金貨ニ十枚、確かに受け取りましたえ。ほな皆はん、機会がおましたらまた良しなに。それまで、おさらばえ」
「「ご利用、有難う御座いましたーー!!」」
と妖狐を始め花街の廓キツネヒト族 一同に良い笑顔をして見送られた。
お読みいただいて、ありがとうでありんす。
※おもてなし料金
1金貨=10万円




