第7話 <獣人国での電気事情とキツネヒト族の里>
キツネヒト族が登場するお話です。
トラ車はキツネヒト族の里へ向けて順調に進んでいる。
獣人国は基本、街中にある主要道路は石畳が敷いてあるが、それ以外は土が剥き出し。
雨が降れば最悪だが、ガタガタする振動さえ我慢すれば比較スムーズに走る。
本来、街道では時々荷物を狙うモンスターにも遭遇するのでトラ車ギルドの者達は討伐も兼ねて Cランク以上の冒険者でもある。
まぁ、この一行ではシルビーが結界を貼っているからモンスターには出会わないのだが。
山と森の多いトリヒト族の里には観光出来るところが無いので広大な土地に広がる様々な果樹園をのんびり眺め途中 休憩を取りながら進む。明日の夕方にはキツネ族の里の中心地に到着予定だ。
車内では他愛もない話をしたり、ガンナーに別の季節の獣人国の雰囲気を聞いたり、トレバーは読書をルーカスとフェルナンドは退屈凌ぎに手遊びしたりして過ごしている。
電気とか電波のない獣人国では、当然ゲームも出来ないから時間がゆっくり流れている様に感じる。
腕に付けている時計も今だけは時間を示す為だけの物だ。
本当は太陽光で充電もしているから時計機能以外も使えるが、獣人の前ではあえて時計以外の機能は使用していない。
一方、もう1台のトラ車では、
セニート王国へ来てからの話や、王国や獣人国での人々の暮らしぶりの感想。
をアナスタシオ語で会話したり、其々が読書をしたり、セレーナへのセニート語講座を開いている時もある。
シルビアは基本、犬の振りをしているので大人しく過ごして会話に参加することは無い。
こうして2時間毎にトラに水を飲ませ休憩をさせるため停留所へ立ち寄りながら予定通りに進む。
日が暮れかけた夕方、解散となりトリヒト族の里でもう一泊。
夕食を食べる場所を探す。
トリヒト族は小動物 小鳥 木の実 魚 果物などを食べるけど、海沿いから北上してきたから魚は見かけない。昨夜に木の実がたっぷり入ったパンを食べたし、と其々が思いながら店を探して果物店の前を通った時、示し合わせたかのように
「「「ここにしよう」」」
ということになり[青果店にてフルーツ狩り]に決まった。
マンゴー パパイヤ パイナップル ライチ ドリアンなど この地域帯ならではのフルーツ達。
カットして冷やして販売されているものもあり、数種類のそれと後日も食べられる様にフルーツそのものを幾つか買った。
どれも水分が多く甘くて美味しい。
中にはカットされてる状態でも、匂いが気になる物もあるが味は抜群。
夕食と考えると物足りないが満足した。
会話をしながら今夜の宿泊地(ツリーハウスを出す場所)を探しながらぶらつく。
移動中のトラ車内ではどう過ごしているかの話をしながらだいぶ陽も暮れてきたので、雷の生活魔法でスモールライトを出すトレバー。
魔力コントロールをしながらパチパチ弾くそれを浮かせながら前を照らし、
T「もう2人くらいで左右を照らして周りの状況を教えてくれないか?」
イヴァン、ナディア兄妹がスモールライトを付けて辺りを見る。
所々、家々やお店の明かりが付いているのが分かる。
N「獣人族って魔法が得意ではないのよね?電気も通って無いし夜間の灯りは魔力灯を使ってるんだろうけど、明るさが淡いというか暗いというか。」
Sy「獣人は人間より夜目が利くからの。明るさを抑えていてもそれなりに見えている。」
N「なるほどー。」
T「では先ほど冷たいフルーツも有りましたが保冷などの魔石はできる者が魔力補充をしているのですか?」
Sy「そうじゃ。獣人は魔法は苦手じゃが、トロール族は比較的に魔法を使えるからの。エルフ族がゴーストなどを討伐しトロール族が空の魔石に魔力補充して他の獣人族に販売してるかたちじゃの。」
L「へぇー、本当にお互いの得意分野で協力し合って暮らしてるいい関係なんだな。」
F「畜産とタクシー会社と警備や警護を担うトラヒト族」
I「生活用品、主に日用品などの小物用品を担うネコヒト族」
N「服飾を始め布製品を担うウサギヒト族」
T「配達、配送業を担うトリヒト族」
L「これから向かうキツネヒト族って何で生計立ててるんだったっけ?」
Sy「一言で言えば商人だの」
と話ながら条件に合う場所を見つけて家を出す。
中に入り、夜を過ごすのだった。
〜☀︎☆☀︎☆☀︎〜
朝、ガンナー達と合流して移動。午前中にはキツネヒト族の里に入り夕方に差し掛かった辺りで中心地にあるギルドに到着した。
まわりは赤と白を基調とした建物が多く
とても賑わっている。
「今日も1日お疲れ様でした」
と挨拶してガンナー達とは解散。
夕食には早い時間帯だがお腹が空いていたメンバーは飲食店を探し出す。
商売人が多いだけあり、あちこちで呼び込みの声がする。
並んでいる品の質は良さげな物が多いが値段も今まで見てきた獣人の里と比べると少々お高めだ。
暫く歩くと前方に、白い肌で切れ長な眼をした綺麗な女の人が王国では見慣れない服(和)装をして上品な仕草で手招きをしているのに気付いた。
Sy「嫌な奴に見つかってしまったのぅ」
L「知り合いなのか?」
Sy「…知ってはいるが関わりとう無い」
L「ふーん、でもあの人、明らかに俺達に手招きしてるよな?無視していいのか?」
Sy「…………。致し方ない」
女性の前に着くと、
「久方ぶりの再会いうにそっぽを向くとは連れなくありゃせんか、黒犬の姐さん」
Sy「妾はお主に会いたいとは思わぬがの妖狐」
「ほんに相も変わらず、いけずな姐さんやわぁ。風の噂を聞き付けましてん。せっかくここまで来たいうん、一緒にいる可愛らしい子達をわっちに紹介しておくんなんし。」
Sy「妾が共に行動してることで想像はつくじゃろうに。名乗ってほしかったら先ずは貴様が名乗らぬか。と、その前にここは目立つ。何処か人目に付かぬ場所に案内するのじゃ」
「そりゃ、わっちとしたこが気が付かず失礼おました。ささっ、皆様、こちらへ」
中心地での会話で視線が集まり始めたので先導するキツネヒト族の女性に着いて移動する。表通りを抜けて裏通りに差し掛かり、
Sy「むっ、この道のりは…お主達、妾から離れるで無いぞ。何があっても決して1人にはなるな。化かされるぞ」
「何を縁起でも無い事を。黒犬の姐さん、あなた様の愛し子たちに手出しすることなどありゃしんせん。そんな事したらわっちの命どころかこれから向かう花街、いやこのキツネヒト族の里 全てが焦土と化す。そんな馬鹿な事 致しやしんせん。わっちが帰る場所はひとつ。わっち等キツネヒト族と人族の友好のためご案内 致しんす。
それに…、
内緒の話は花街でした方が外に漏れませんえ。」
立ち止まり妖狐を睨み据えるシルビア。
Sy「その言葉、偽りあらぬな?」
「わっちの名にかけて」
妖狐の方も真剣な目付きでシルビアをみる。暫く睨み合って[フン]と1つ鼻を鳴らし少し警戒をとくシルビア。
信用してもらえたと判断し妖狐は再び歩き出し、裏通りの中を奥へ奥へと歩くと肌色多めな服装のキツネヒト族の女性達が愛想笑いをしながら通りを歩く人達を店の上階から見ている。店の前には客引きをするキツネ族の男や子供達もいる。
その中の最奥に周りとは違う大きく立派な建物の前に来て立ち止まる妖狐。
「「おかえりなさいやせ、姐さん」」
同じキツネヒト族の中でも筋肉ムキムキな男性2人が入口の両サイドに立って妖狐に挨拶をするのだった。
読んで頂いて、おおきにでありんす。
by:妖狐




