第4話 <トラヒト族の思うこと>
ウサギヒト族の里への移動中のお話です。
曇天の中、次の目的地であるウサギヒト族の里まで急いで走るトラ車が2台。
案内人のガンナーは、内心 驚いていた。
[中央大陸大戦]後770年ほど閉鎖し人族と関わりを持たず独自の文化を築いてきた獣人族。
その間も度々 人族の次代の長になるべく風柱様への御目通りの旅と称して入国する者もいたそうだが…。
閉鎖を止め人族との交流が始まり約30年。
自分も何回か人族の里へ赴いたが確かに我々 獣人族とは文化がかなり違う。
肉 以外の穀物や野菜を食べる雑食は我々 獣人にもいるが、食事に使う器や家具などは差して変わらないように思えるが…。
が、確かに道の舗装率や木材家屋ではない高い建物、トラ車とは違う見たこともない物が走行しているし獣人国では嗅が無いタイプの匂いがあちこちからするし聞いたことのない音などなど。
獣人は種族にもよるが時速40キロから80キロで走るし、離れた相手と会話する時は相手の元まで駆けつける。
時計はあるから時間の間隔は分かる。
我々 獣人と比べると人族はひ弱で足が遅く脆い生き物だと認識するものが多いが、1つで複数の機能を持つ機械という道具を使い、それらを作れるだけの幅広い知識と技能。
10数年前の近隣の人族の婦人が起こしたという伝説、かなりヤバい道具を使ったと伝え聞く。
我々は人族への見識と付き合い方をもっと見直ししなければいけないのかもしれんな。
*○*○*
スピードアップをして走行の中、後1時間ほどで次の停留所に着けるところまできたところで、とうとう雨が降り出してきた。小休憩も取らずに走行しているトラには負担をかけているが何とか頑張ってほしい。
頑張って走り抜きやがて、ネコヒト族の里とウサギヒト族の里の間を流れる川の境界橋が見えて無事 通過することが出来、ウサギヒト族の里に入った。
こちらはまだ曇り空で雨は降っていない。
T「何とか無事ここまで来れたな。」
L「トラには頑張ってもらったし休憩させてやりたいが近くに停留所はあるのか?」
「もう少し進んだ先にあります」
F「ねー、そこってお店ある?」
「小休止用なので簡易的な雨避けがある位ですね。お店となると街中まで行かないといけません。街中迄は1時間半ほど掛かります。どうされますか?」
L「寄ろう。トラを休ませてやりたい。」
という事で停留所で一時停止した。
ガンナーはトラへ水をやったり御者と打ち合わせに向かう。
ルーカス達も外へ出て互いに話し合う。
T「14時過ぎか。街まではまだ時間かかると言っていたな。昼飯はどうする?」
F「俺、お腹 空いたー」
L「確かにな。ちょい待ち。鞄 確認する」
ルーカスは鞄の中を除き、
L「食材のが多いな。すぐ食べれる物なら
[ミリーネポール]で買ったサテーとチキンライス、ミーゴレン、オタオタ。
[インダレーナ]のカレー数種類とナン、タンドリーチキン、ラッシー。
港町で買った海鮮焼き数種類とパンとドリンクが数種類くらいだな。」
F「うわっ、もうどれも聞いただけでヨダレものなんですけどー。」
I「我慢してあと2時間くらい食事に在り付けないのは辛いものがあるが、あの人達とトラはどうする?」
T「街中まで我慢してもウサギヒト族はヴィーガンだしな。」
N「でも自分達だけ食べるのは気が引けるわ」
L「サテーとタンドリーチキンくらいならトラヒト族も食べるか?トラには生肉やってもいいし」
T「携帯食くらいなら持ってそうだが、友好を深めるなら今ここで同じ物を食べるのもありじゃないか?」
I「席が無いから立ち食いにはなるが」
L「んじゃ、そんな感じで食べるでいいか?」
「「OK」」
という事で小休止用の停留所で、立ち食いになるがお昼を取る。
トレバーはトラヒト族と話を付け一緒に戻って来た。
「お疲れ様です。何やら食事をご提供して頂けると伺いましたが…」
L「そうそう、ちょい遅めだが昼飯時だし腹減ったし一緒にどうかと思って。トラにも頑張って走ってもらったからな。」
「我々は携帯食もありますから…」
L「固いよ、まだ後3日くらい一緒に行動すんだから遠慮すんなって。」
「では、お言葉に甘えてまして頂戴します。」
L「おう」
そう言ってルーカスは食事を鞄から次々 出していく。
L「悪りーな、種類別に包まれてるから自分が食べたいと思う物を適当に摘んでくれ」
御者と護衛が1名ずつ交代で取ることになり9名で食事を囲む。
トラにはギルドで準備した肉があるからと最初は遠慮されたが構わず生肉と水を渡した。
トラヒト族もなんだかんだで空腹だし人族の食事に興味があったらしく手を付ける。嗅ぎ慣れない匂いに鼻をスンスンさせて遠慮がちに一口。
・・・口に合ったらしく途中からは美味い美味いと食べていた。トラヒト族は食べるのが早くて、直ぐに交代していた。
食事を終えて出発準備をしている御者のトラヒト族にガンナーが近付きトラヒト族特有の言葉で話し掛けた。
「トラの様子はどうだ?そろそろ出発出来そうか?」
「おうガンナーの旦那、ご苦労さんでさぁ。トラは人族に貰った肉と水で体力も回復したろうからいつでも出発出来まさぁ。それより旦那、ヒト族の食う肉は柔らかくて美味でやさぁなぁ。最初は嗅ぎ慣れねぇスパイスに食えるのか疑問でやしたがね。
それと旦那、気付いてやすかい?何時もならここに来るまでに何回かモンスターに出会しまさぁが、高速で走り抜けてきたにしても合わなさすぎまさぁ。」
側で聞いていた護衛のトラヒト族が加わってきた。
「それ、オイラも思ったっす。モンスターを見かけないわけじゃないけど、あっちがオイラ達の存在を認識してないような感じに思えるっすね。」
「旦那、ヒト族が連れてるあの黒い犬はテイムされてる奴ですかい?」
「そう聞いてるが何かあるのか?」
「いやね、吠えもせずに大人しく過ごして主人の側に居まさぁが、ウチのトラ達があの黒犬に対してどこか落ち着きないんでさぁ。」
「そうか、準備が出来たなら行こう。雲行きが怪しいしトラ達にはまた頑張って走ってもらう事になる。」
休憩と腹拵えも済みウサギヒト族の里の中心地へと向かう。
一緒に食事をして少し打ち解けたようで車内の雰囲気は悪くないが、ガンナーが難しい顔をしている。
L「ガンナー、そんな難しい顔してどうした?」
「いえ、トラヒト族の里からここまで来てまだモンスターに出会して無いと思いましてね。ネコヒト族の里では雨降りで急いだから分からないでもないですけど、いつもなら何回かあるんですがね」
F「へー、獣人国ではどんなモンスターがいるの?」
「トラヒト族の里ではボワやウルフなど獣系が多いですし、ネコヒト族の里ならトカゲや虫系ですね。ウサギヒト族の里はネズミなどの小動物系です」
何故モンスターに会わないのか想像出来るルーカス達は
L「まぁ、会わないならないで平和でいんじゃね?」
T「移動の邪魔をされない分 時間短縮も出来て安全だ。」
F「そうそう」
(((シルビア(様)が面倒ごとにならない様、結界を貼ってるな)))
などの話をしているうちにウサギヒト族の里の中心地にあるトラ車ギルドに到着した。
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