幕間2-3 <ある大人達の世間話3>
今回も幕間話です。
よろしくお願いします。
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<said:ミリーネポール州知事、州知事婦人、とある冒険者ギルドマスター>
「本日はお招き下さりありがとうございます。」
「よう来たなも。」
「さぁ、お上り下さいな。執事、お茶の準備を。」
「かしこまりました。奥様。」
ここはミリーネポール州知事邸
今日はあいにくの雨模様で、応接室に案内されたのはミリーネポール州、東町にある冒険者ギルドのマスター。獣人の特徴や獣人国での注意事項などをルーカス達に伝授した人である。
席に着き、お茶の準備を終えて執事が下がると、
「ルーカス君達に色々と教えたってくれたようでありがとうね。わざわざ報告までしに来てくれて悪かったなも。」
「とっても可愛い子達でしょう?獣人たちに虐められる事は無いとは思うけど人族と言うだけで忌避されるかもと思うと可哀想じゃない?」
「奥様より獣人宛への手紙を預かっていると聞きましたので、ご心配は無用かと思われますな。」
「そうね。あの手紙がルーカス君の役に立つのなら私も嬉しいわ。」
知事、アリーヤの言葉にギルドマスターが応え、アリーヤが続く。
「最近はどうしとりゃーす?獣人国に行く人は増えとるかね?」
「長年の断交を前王の父様と前王妃の母様が懸命に働き掛けて漸く交流を持ち始めたのだもの。お互いによい関係を持ちたいわ。もちろん、歴史を繰り返す訳には行かないから相手や相手国を尊重 出来ない輩は出入国禁止ね。特に人、側ね。」
知事の質問とアリーヤの言葉に対して応えるギルドマスターだが、(特に人、側ね。)のところで目力が強くなり一瞬 光った感じがする奥様に戦慄が走るギルドマスター。
一呼吸おいて、自分を奮い立たせて質問に答える。
「セニート王国と獣人国では、現代と中世くらいに暮らしの差が有りますからな。自国にはない便利な物を知る獣人と便利な暮らしを知っている人間がその便利を使えない場所に行くのは気の持ちようも違ってきましょうな。
同じ人間でも研究者や一点物ばかりを扱う品を求める商人なんかは少しずつ獣人国へ赴くみたいですが、それに付き合う冒険者は大変そうですな。ここ数年は獣人国にしか生息しないモンスターを求めて赴く冒険者もちらほら出てきましたけどな。」
「他種族同士の争いは無いだろーねぇ?」
「出入国前に他国での心得を学ばせてますからな。獣人にもセニート語を話せる者もおりますし、今のところは生活基準の差にギャップを感じての小さなトタブルくらいしか聞きませんな。獣人国の警察を引き受けているトラヒト族が頑張ってくれてるようですな。」
「トラヒト族は脳筋が多いから助かっとるがや。律儀で正義感が強いでよぉ。」
知事とギルドマスターの会話の後、話題を変えるアリーヤ、
「私も近いうちに獣人国へ行こうかしら?久しぶりに可愛いネコヒト族ちゃんやウサギヒト族ちゃんに会いたくなってきたわ。」
「(なに言っとりゃーす)!!! かあちゃんが行くならわしも行くだぎゃあ。その方がわしも獣人たちも安心だでぇ。なっ、ギルドマスター!」
「そ、そうですな。知事と奥様が獣人国に赴くのでしたら、獣人達にもお迎えの準備がありましょう!ぜひ日程のほどをお早めにお願いします。」
獣人国に想いを馳せるアリーヤに対して何故か多量の汗が噴き出てくる知事とギルドマスター。彼らはアリーヤの武勇伝 再来にならないよう細心の注意を払う。
「そうね、いきなり行っちゃ駄目よね。スケジュール調整してみなくちゃ。
「そうだぎゃ、かあちゃん。わしとも日時を合わせて一緒に行けると嬉しいなも。」
冷や汗をかきながらも決して妻にダメ出しはしない知事。
「一つ知事夫妻にお詫びを。」
「あら、何かしら?」
アリーヤの流し目を喰らいビクビクしながらもギルドマスターは
「実は、ルーカス王子様 方へ・・・・
色々とご不便に感じる事が有るが、ギルドや食事処などで交流した場合、彼等なりに出来る精一杯のおもてなし、不満に感じても顔や態度に出さぬ様、提供された物は極力 受け入れる様に。
また、機材を使っても構わんが、獣人族にとっては未知の物で壊れてかえる事もあるかも知れないから気をつけるように。あとは、人間が獣人亜人にした歴史を少々 話した事。
などをお伝えしましたな。」
「まぁ、その辺は構わんわ。こっちが教えてやってちょー。と頼んだんだでぇ。」
「事実だもの。ルーカス君なら受け止めて考えて行動をとるわ。」
ギルドマスターの話に賛同する知事とアリーヤ
「他国に赴くなら、[郷に入っては郷に従え]だわ。相手国の暮らし、文化、歴史などを尊重して相手側に合わせるのが当たり前だぎゃあ。
取引を行っている商品以外の持ち込みは勿論、購入品以外の持ち出しは許可制。それに其処に住む者はもちろん遺跡や文化財などを傷付けるのは御法度だでぇ、他国で自国の当たり前を我者顔での披露はいかんわ!
結果的に相手が迷惑だでよぅ。
そうゆう事柄は自分がされたら嫌だと言う事ばかりだでよぅ。ほんなもん少し考えれば分かる事ばかりだでぇ。
そんな人間として当たり前の事が出来ん者は[他国へ入国とゆうより自国から出国するべからず]だぎゃあ。
相手国のやり方と人間としての一般常識を学んで出直ししてちょーよ!」
「困った子が現れたらいつでも呼んでね。ギルドマスター。私が、何がいけなかったのか。を教えて差し上げるわ。」
「(ひっ!!)ぐっ、具体的にはどうお教えになさりますのかな?」
最もな意見を述べる知事と微笑みながらも目力の凄いアリーヤに戦慄を覚えるギルドマスター。
「あら。どうしようかしら?やらかした事柄にもよるけど、その昔、軍の人間が行った爪を一枚一枚剥いだりの拷問はグロそうだし可愛く無いわよね。
迷惑掛けた分、財産没収の上で健全な無償奉仕。
が1番かしら?それとも私らしく、財産没収後にダーツの的にしてあげた方が良いかしら?でも、それだとビビリは動いちゃうから返って当たりそうで怖いし、失禁でもされたらイヤよね。」
左手を左頬に当てながらどの意見が良いかと考えながら言葉を紡ぐアリーヤだが、
「(ひー!)か、かか、かあちゃん!そうゆう事はそうゆう輩が出てから考えるがいいでよぅ。起きてもいねぇ事にかあちゃんが心を砕くことは無ぇでよぉ。(汗汗汗!!!)」
「そそ、そうですな。(夜叉婦人アリーヤ健在。汗汗)」
実際に事が起きたら、発した言葉を実行しかね無いアリーヤに、知事とギルドマスターはタジタジになる。
「そう?じゃあ、私スケジュール調整と獣人国で行きたい場所と買いたい物リストでも考えてこようかしら?」
「そ、それがええ、それがええ。わしも後でスケジュール確認して合わせられたら合わせるでよぅ。」
「そ、それでは奥様、知事、わたしはご報告も終わりましたので、この辺りでお暇を致します。」
「ええ。じゃあ、日程決めて報告するわね。獣人国へ出発の時はまたお願いね。」
「了解致しました。奥様。知事、失礼致します。」
報告完了という事で暇の声をかけるギルドマスター。 ギルドへと帰宅しながら心の中で、
「(相変わらず少し聞き取りづらい喋り方の知事と、見た目は如何にも良家の奥様なのに、末恐ろしい性格な上に可愛い物好きな夜叉婦人だった。)」
と思いながら久方ぶりの再会と、そう遠くは無いだろう再再会に何だか頭が痛く胸に動悸が走るのだった。
お読みいただきありがとうございます。
これにて幕間話、完了です。
次回からは、
第三章 風柱編となります。




