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ステルラ  作者: 智織
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第11話 <帝国の状況2>

今回も帝国のお話です。

■□■□■


<side:アナスタシオ帝国 陸軍大将ニコライ>


帝国南西部にある国境の町の奥にある森、普段は規制されているそこで数ヶ月に一度の割合でモンスターの間引き討伐を行っている。


何処の国にも属さない所謂 無法地帯のそこは帝国とセニート王国が唯一 陸続きで繋がっている場所。深い森と山々が繋がるそこに、討伐に紛れて我が息子と娘をガードに付けて一人の少女をとある事情でセニート王国で保護してもらおうと実行しているところだ。



彼等を見送り一週間ほどが経ち、次の目的地に移動する。帝国西側にあるウーラサス山脈の麓にあるヴィネスカル湖の西側の陸軍施設を拠点に帝国 北西部の支援や町の治安管理と整備などを行う。


無法地帯で別れた彼等はそろそろ最初の森を抜け草原を通り過ぎ険しく高い山に挑んでいる頃だろう。

気掛かりで心配は尽きないが無事である事、目的を成し遂げてくれることを願うしか無い。

オレにはオレのやるべき事がある。

そう自分を奮い立たせて移動準備に取り掛かる。


二日かけて西南の町から軍の車で移動して東側に深い森とその奥にウーラサス山脈が見える麓まで来た。軍の施設の目の前にはヴィネスカル湖。此処は敢えて観光地化されておらず地元住民もいない。


なので、周りに民家もなければ店も無い。あるのは森と山と湖。5キロ以上離れた先にある町や村への支援を行い町中の騒動への対応やモンスターが人里に行かないように対応をする。


皇族はセレーナ様に対して[魔力兵士]としての執着はあるが、普段は見向きもしない。自分達が必要とする時だけ思い出したかの様に呼び出し命令する。


彼女に帰る場所が無いのと[偽りの腕輪]の影響で自分達には逆らえないし自分達以外に腕輪を外せる者は居ない。とたかを括り、監視も付けずに世話だけ我々 軍に押し付け放置している。なので却ってこちらに合わせて動けるので都合が良い。


少数派だった反皇族派もラーザリが居なくなって以降、少しずつ増えていった。それだけ今の皇族のやりようについていけない国民が増えているのだろう。


オレ達、反皇族派は3つのグループに別れて行動している。一つは帝国陸軍大将のオレが率いる第一部隊 通称A班、主に帝国内を転々として地域の安全を守り犯罪者の取締りやモンスター討伐を引き受ける。


一つは、各地域への食料支給や復興支援を主とする第二部隊 通称B班、実は情報収集などもしている。


もう一つは、王宮内での仕事を主とする第三部隊 通称C班、同時に皇族や皇族派の監視も担う。


連絡のやり取りは電話やメールなどの管理システム機能の付いたものだと逆に足を取られかねないので、各グループの代表者がテイムしている3匹の雪豹、レン(連)、ラク(絡)、ケイ(係)に手紙を託して配達している。


この施設に着いて直ぐにオレのテイムするレンに、無法地帯で無事 見送ったことをB班とC班へ報告するために手紙を縦5cm横10cm幅2cmほどの筒状の物が首輪に付いていてそこに入れて託す。しばらくしてレンが戻りB班C班から異常無しと連絡があった。


*○*○*


ヴィネスカル湖前の施設に来て数週間、子供達と別れてからはそろそろ2ヶ月が経とうとしている。


今日は朝から訓練に励む。そこへB班のラクとC班のケイが来た。近況報告だろうと軽い気持ちで手紙を出して目を通す。


先ずはラクが持ってきたB班の手紙


最近、支援に行く先々で人が減っている。

いつの間にか居なくなっていたとか、別の地域に出ていった、との声が聞こえる様になった。何処かで野垂れて無ければ良いが。


ケイが運んできたC班の手紙


皇族に動き無し。

但し、部下の一部に何処かへ出張を命じてる模様。場所の特定を捜査中。


とのことだった。

手紙を運んできたラクとケイに


「よーし、よしよし。配達ご苦労さん」

と首周りや背中などを撫でて労い、部下に水とエサやりを託す。もっと構ってやりたいが今は訓練中だ、また夜だな。


レン(オス)、ラク(オス)、ケイ(メス)は兄弟(妹)で、数年前この湖からそれほど離れていないウーラサス山脈の山の中で、モンスター討伐をしている最中に見つけた。

母豹と思われる雪豹が他の獣かモンスターに襲われたらしく血を流して倒れていた。


まだ息があり助けようとしたとき、子供を守るために我々を鋭い目つきで睨み付け威嚇の唸り声を出していたが身体を動かすことは出来ないようだ。


治療班が回復魔法と回復薬を使ったが出血が酷く助けられなかった。そう言った経緯で、母豹を近くに埋めてやり3匹を施設まで連れてきて育てた。


実際はどういう順番で生まれたかは分からないが、少し頼り無い時もあるが基本しっかり者のレンが長男、ヤンチャで悪戯好きだが勇敢な次男のラク、紅一点で一見 天邪鬼で甘えん坊だが優しいケイ。

オレ達にも懐いてくれてとても可愛い奴らだ。



昼休憩を挟み午後からは、モンスターの間引きをするの為にいくつかの小隊に別れて、ヴィネスカル湖で釣りをしその後 夕食作りをする者、森に入り秋の恵みの恩恵に預かる為に食材調達する者、同じく森に向かい食料調達者のボディーガードをする者の3つのグループに別れる。


オレはボディーガード班で、森にはレンも連れて行く予定だ。ラクとケイは此処までの長距離配達を終えた所なので留守番だな。


グループ別に整列し、各々のやるべき事の確認をして出発する。



森に入ってときどき出会すモンスターを討伐しながら調達班をガードする。この森では、ラズベリーやクランベリーやブルーベリーなどのベリー系やきのこ、パポロトニク(山菜の一種)、ビーツなどが採れる。


採取したものは俺たちが食するのも有るが、一部の共に行動しているB班が後日 町や村に持っていく物だ。


レンは森を駆け回り先ほど山ネズミを咥えて見せに来て、その場に置いてまた森の奥へとかけていった。どうやらオレにお土産をくれたらしい。


限られた時間内で採取と間引きをして、日が傾きかけてきたので施設に戻る準備をする。この時期はモタモタしていると直ぐに日が暮れるので早めに行動している。


施設まで戻ってきたら出入口側の屋根に一羽の白いハトが止まって「ポロッポー」と鳴いている。一緒にいるレンは警戒して無いようだ。


解散して他のメンバーは施設の中へと戻って行く中で、何となく気になりもう一度ハトの方を見るとまた「ポロッポー」と鳴き首を動かしては「ポロッポー」と鳴いている。


オレはレンを部下に託して屋根の方を見上げる。逃げる様子が無いので、左腕の肘から先を水平に腕を上げてみると飛んできてオレの腕に止まった。


白いハトはぐるぐると喉を鳴らしながら首を傾げている。よく見ると斜め掛けのカバンが掛けられている。突かれないかと思いながらもカバンの中身が気になり右手でカバンのフタを外すのを試みる。


逃げる様子も嫌がる様子もなく大人しくオレの腕に停まっている。何処かで飼われてるハトかもしれない。慎重にフタを外し中身を取り出し、何かと確認しようとしたらハトはオレの頭に移動して「ポロッポー、ポロッポー!」と鳴いている。


若干うるさく感じながらカバンから出した小さな折り畳み鏡と、ハトが頭への移動するタイミングで落ちてしまった小さく折り畳んで入れてあった紙。


拾い上げて紙を開いて読んでみると、陽がほぼ暮れてしまい辺りが暗いので読み辛いが、見覚えのある字だった。

確信を得たくて急いで施設内の自室に向かう。


ハトはオレの頭に止まったままバランスを取っていて去って行く様子は無い。


自室につき灯りのついた明るい場所で先ほどの紙に再度目をやる。やはり見覚えのある字で内容を読み進めるうちにこの2ヶ月、オレの心を占めていた心配と不安と気掛かりが、喜びと安堵に切り替わり手が震えてきたのだった。


お読みいただきありがとうございます。


次回からは、章が切り替わる前の幕間話になります。

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