第9話 <ミリーネポール州>
ミリーネポール州でのお話です。
[リタッグ草原と]と[インダレーナの森]での討伐を終え、[ガガシスナー川]を渡って三日目の夕方、[ミリーネポール]州知事邸に着いたルーカス達。
夕陽の当たるレモン色でたまねぎ型の丸屋根に白壁、レモン色の窓枠が映える
玄関前には筆頭執事を始め大人数でのお出迎え。
車を降りて
「お待ちしておりました。ルーカス様、ご一行様。奥様がサロンでお待ちしております。」
L「出迎えご苦労。一晩、世話んなる」
酒好きの知事夫妻の為にドワーフ領で購入したウイスキーやブランデーを手土産に幾つか渡し案内してもらう。サロンに着くと父王リカルドの姉でルーカスにとっては伯母にあたるアリーヤが出迎えた。
「いらっしゃい、ルーカス君。疲れたでしょう。さぁ座って座って。そちらの子達もどうぞ。ルーカス君が世話になってるわね。」
L「久しぶりアリーヤ伯母さん。今夜は世話んなる。伯父さんは?」
「あの人、(仕事が終わらない)とかで執務室に篭ってるわ。(夕食には間に合う様にしたい)とは言っていたからその時ね。なので先にシャワーを浴びてらっしゃいな。」
L「分かった」
メイド達に部屋へ案内をされたあと客室内にある浴室でシャワーを使う。
ここ[ミリーネポール]では同じ室内にバスタブのないシャワーとトイレがあるのが一般的だ。
ひたすら移動に時間を使い、同じ体勢で凝り固まった体をシャワーでさっぱりとさせて夕食の時間まで各々 部屋でゆっくり過ごす。
やがて準備が出来たと呼ばれ食堂へと移動する。
入口 入って4人掛け用のテーブルとイスが横並びに有り奥のテーブルの向側に夫妻が座っている。
夫妻の正面にルーカスとトレバーが座り、入口近くのテーブルに他の4人が席についた。
皆が席に着いて食事が始まる。
「いやー、ルーカス君。今日は出迎え出来んくて悪かったがや。お土産の酒ありがとさん。」
L「いえ、伯父さんが元気そうで何よりだよ」
「おおー、成人迎えてますますいい男になりゃーしたな。さぁ、今夜は我が州の名物をたーんと(たくさん)召し上がれ。」
L「ありがとう。」
と出てきたのは、ナシゴレンやチキンライスを始め、香辛料でマリネしてからグリルで焼き上げたサテー、揚げパンに羊肉と野菜とニンニクを挟んだムルタバ。肉や海鮮 野菜など好きな具を入れてチリソースで食べるスチームボート、デザートにバナナを揚げたピサンゴレン、かき氷の一種アイスカチャンなどを食べた。
インダレーナとはまた違ったスパイスの使い方や調理工夫があって面白い。
イヴァンのお腹も大丈夫だったようで皆んなで美味しく頂戴した。
*○*○*
夕食後、先ほどのサロンに集まって明日から向かう獣人国についての話をする。
ローテーブルを挟んでソファが有り奥に夫妻が座り向側にルーカスとトレバーが座る。テーブルサイドにある1人掛け用のソファにセレーナが座りナディアはセレーナの後ろ、フェルナンドとイヴァンはルーカスとトレバーの座るソファの後ろに立ちソファの背もたれに寄りかかる感じに寛いでいる。
シルビアはルーカスの側で床にお座りをしている。
「ちんまい(狭い)ところで悪ぃねぇ。」
F「気にしてないです。」
I「お気遣い無く。」
などのやり取りをして、テーブルに獣人国の地図を広げて見ながら知事が説明していく。
ミリーネポール州の南東の一部と獣人国の南西の一部が陸で繋がっている。
地図上を指差ししながら知事は、
「イヌヒト族 ネコヒト族 キツネヒト族 ウサギヒト族 クマヒト族 トラヒト族といる獣人族の中に風柱様の側で暮らしたいと願い集落を作って住んでるのが亜人族のトリヒト族 エルフ族 トロール族だでよぅ。
土柱様の近くにいたいと砂漠地帯に住んどるのが君達も会ったドワーフ族と巨人族だ。
そんで、うちの領と隣接地帯にあるのがトラヒト族の里だで。彼らは獰猛だが面倒見の良い者が多い種族だぎゃあ。
そうそう、獣人国では車は使えんでよぅ。移動はトラが率いるトラ車が一般的だでぇ。
ただ、トラヒト族とクマヒト族は仲が悪りぃでいかんわ。基本お互いに領地侵入禁止にしとりゃーす。取引は他種族の大抵イヌヒト族が仲介役になって行っとるでよ。」
L「じゃあ、南東のトラヒト族の里からから東に向かってネコヒト族の里、ウサギヒト族の里、トリヒト族の里に行ってから北上してキツネヒト族の里、イヌヒト族領に着いたあと少し寄り道して左隣のクマヒト族領覗いてから右側の湖と森を挟んだ奥にいる風柱様に会いに行くか?でも…」
「せっかく獣人国に行くならクマヒト族領も見てりゃーすといい。パワフルで豪快な者が多くて面白い種族だでぇ。」
L「ふーん、じゃあ、さっき言った道順でイヌヒト族領までトラ車で辿り、クマヒト族領へ行くときはまた考えるか。」
T「トラヒト族とクマヒト族以外の種族の特徴は分かりますか?」
トレバーの質問に対してアリーヤ伯母さんが答える。
「そうねー、ネコヒト族は小さな身体でもセクシーで手先が器用で可愛いわ。
ウサギヒト族は小さくて守ってあげたくなって可愛いわ。
トリヒト族は警戒心が強いけれど、実はおしゃべりなツンデレちゃんが多くて可愛いわ。
キツネヒト族は化かし種族。見た目から話の内容まで何が嘘で何が本当かを見極めるのが面白くて可愛いわ。
イヌヒト族は人懐っこくて従順で可愛いわ。
トロール族は悪戯好き。小さな体を一生懸命動かして楽しませてくれて可愛いわ。
エルフ族は見た目と中身とのギャップが多くて可愛いわ。」
L「伯母さんは相変わらず可愛いもの好きだな。」
「あらー、可愛いは正義よ。ルーカス君も相変わらず可愛いわ。」
L「そりゃ、どうも。伯母さんも今日も可愛いよ。」
「うふふ、いい男になったわね」
T「獣人国にもギルドは有りますか?」
「もちろんある。種族により力を入れているところは違うが各種族里に冒険者、商人、職人などギルド各種が揃っとるでよぉ。」
T「お応え、ありがとうございます」
「構わん。ルーカス君、次はここまでの旅の話を聞かしてほしいなも。」
と、お土産に渡した酒を飲みながら話しかけてくる伯父さんと伯母さんに旅の話を聞かせて夜は更けていった。
〜☀︎☆☀︎☆☀︎〜
翌朝、
ココナッツミルクで炊いた米を甘辛ソースと共に食べ、一緒にスパイシーチキン、茹で卵、小魚、ビーンズと付け添え野菜をワンプレートにのせたナシレマを朝食に食べておやつにと魚のすり身をココナッツやスパイスを加えてバナナの葉で包み焼き上げたオタオタをもらって送り出された。
*○*○*
移動中 車内では、
F「[インダレーナ]知事夫妻の変装と情報通な方々なのも特徴的だったけど[ミリーネポール]知事夫妻もある意味 特徴的だったねー。」
L「だろ?伯父さんは話し方は特徴的だが頭の切れる人で伯母さんは可愛い物が大好き。だが怒らせるとすげー怖えー」
I「怖そうなイメージ無かったがそうなのか?」
L「伯母さんの武勇伝、やべーから」
F「えっ、何それ気になる!」
L「聞いた話だけど、昔トラヒト族と色々あった時期に、ある交渉をしに行った伯父さんが監禁された事があってさ。
伯母さんが救出に向かって、監禁されてる建物の中と外のやり取りで、(素直に私のダーリンを解放しなければ建物を壊す!)って話になって、当然 相手は抵抗したから手榴弾投げて本当に建物の一部を壊したんだ。
で、伯母さんの発言は本物だったと、これ以上 建物壊されたく無い相手は慌てて伯父さんを解放したとか。
他には、商人と偽りスパイしにきてたトラヒト族を捉えて事情聴取中、嘘を吐き続け尊大な態度だった相手にキレた伯母さんが、逃げられないように四辺を壁に貼り付けた状態にして、ダーツの的に見立てて嘘ついたり黙秘になった時に本当にナイフ投げ付けて洗いざらい自白させたり。
国境のある森の境界線上で取れる収穫物に関して揉めた時も境界線上両サイド十メートルずつに火薬を仕掛けて火魔法ぶっ放して焦土にして、(これではっきりしたわね。)と言ったらしい。」
F「すげー!」
N「その性格で可愛い物好き。すごいわね」
L「逆らうとヤベーから親父も伯母さんには頭上がんねーの」
などの話で盛り上がり、国境線のある森の手前にある州内の東町に寄ってスーパーで大量に食品などを購入。そのあと(国境の森に入る前に全員で必ず東町の冒険者ギルドに行きなさい。)と州知事夫妻に言われたので全員で冒険者ギルドに行きギルドマスターの部屋に案内してもらう。
ここに来るまでにした討伐の報告と報酬などのやり取りをして州知事である伯父さんから預かった手紙をギルドマスターに渡す。
(ミリーネポール東町 冒険者ギルドマスター
元気にしとりゃーす?
この度、甥のルーカス君がお友達と[試練の旅]で風柱様にお逢いするために獣人国へ行く事になったでよぉ。
手続きと諸々の注意事項などを教えたってちょー。よろしく頼むわ。
ミリーネポール州知事
ギルドマスター、私の可愛い甥っ子ルーカス君の為にくれぐれもよろしく頼むわね。
ミリーネポール州知事夫人アリーヤ)
手紙を読んだギルドマスターは顔を上げて獣人国での注意事項をルーカス達に伝えるのだった。
お読みいただきありがとうございます。
ミリーネポール州知事の話す方言に関しては、一部 分かりずらいかもしれませんが、ご容赦ください。




