第2話<移動と王国南部インダレーナ州4>
列車での移動のお話です。
水柱様に逢うために王国 南部にあるインダレーナ州に向かうため、寝台列車に乗り込む一行。
ラウンジでドリンクとお菓子を摘みながら寛ぎ、セニート語を覚えたいセレーナのために講座を開く。
L「先ずは、基本文字26文字」
T「書いた方が解りやすいだろう。」
そう言ってノートとペンを出す。
I「帝国のアナスタシオ語は33文字だから7文字少ない。」
メモに2カ国の基本文字を分かりやすいように一覧にして書いていく。
別のページによく使う[こんにちは][ありがとう]などの挨拶の言葉や天気、[笑う][怒る]などの感情表現、[食べる][寝る][行く]などの行動を表す単語を2カ国で書き、セニート語での読み方(発音)も書いていく。
夕食の時間になり、食堂車へ移動する。
席に付きメニューを見ると南部料理の数々。
フムス(ひよこ豆にオリーブオイルやにんにくレモン汁などを加えたペースト)
ムサカ(茄子トマトじゃがいもなどの野菜と牛ひき肉を重ねて焼いたもの)
キョフテ(牛やラムのひき肉にクミンなどのスパイスを効かせて焼く(蒸す 揚げる)などで調理し酸味のきいたヨーグルトかけて食べるミートボール)
サヤディヤ(米と魚の切り身とクミンなどの香辛料を入れて炊いたもの)
もちろん南部のマナーに則り右手で食べる。
王国(中央大陸)では、地域によって信仰や食事などのマナーも異なる。
[郷に入っては郷に従え]である。
そんな感じで食後に再度ラウンジでみんなと過ごしそろそろ就寝の時間となり各 部屋に解散する。
〜男子部屋 side〜
女子と別れて部屋へと向かう廊下、
F「あー、今夜のご飯も美味しかったねー。」
L「俺、キョフテ気に入ってもう少し食べたかったな。物たらん。あれ、店員に言ったらお替わり出来たんかな。
I「どうだろーな」
T「使うベッドとシャワーの順番 決めるぞ」
「「「「じゃんけーん」」」」
I「あっ、レイルウェイ・キャット」
F「おーっ、よく会うねー。」
L「見廻中か?」
T「ご苦労」
話し掛けるルーカス達に対して、素知らぬ顔してすれ違う黒猫のスキンフルと白猫のシェンクス。
部屋に入り就寝準備も終え寛ぎながら、持ち込んだ携帯型ゲーム機で遊ぶ4人。
しばらくして、お腹を抑えながら
I「タイム。トイレ」
と言って、一旦 席を外してから戻ってくるイヴァンに
T「大丈夫か?何なら胃薬や整腸薬あるけど飲むか?」
F「えっ?どうしたの、大丈夫?」
L「乗り物酔いか?」
I「いや、乗り物酔いでは無い。申し訳ないが帝国には無いスパイスふんだんの料理が慣れなくて体が受け付けなくてな。」
L「そういう事か。」
T「この先も地域的にスパイスを多く使用する料理が続く。別メニューを準備するか?」
I「いや、そこまでは大丈夫だ。悪い、今日のところは先に失礼する。」
L「何かあったら言ってくれ。」
T「薬は一通り有る。」
F「お大事にねー」
I「助かる。おやすみ」
「「「おやすみ」」」
〜女子部屋 side〜
シャワー室から出てきたセレーナを椅子に座らせて背後に立ちドライの魔法を掛けながら丁寧にタオルでセレーナの髪を拭いていく ナディア。
ナディアの補助無しでトイレやシャワー、着替えなど少しずつ自分で出来ることも増えたセレーナの成長に対して嬉しく思いつつもまだまだお世話したい ナディアは、
N「みんなと過ごすようになって、言葉 以外で不便に思っている事は何かありますか?」
S「いや。食事や着替えですら周りの補助がないと出来ていなかった事が私が、自分で出来るようになってきてここが楽になる。」
と言って自分の左胸を右手で軽く抑えるセレーナに、
N「良かったですね。そう言った気持ちを人は、[嬉しい]とか、[心が満足する]って言うんです。」
と言いながら ナディアも自身の左胸を右手で軽く抑える。
S「そうか。」
と ナディアに振り向きながらはにかむセレーナを見た ナディアは抑えていた左胸の手の力を強くしながらもセレーナから目を逸らして
N「私もシャワーを浴びてきますね。」
と言ってタオルを渡してパタパタと立ち去る。
頬を抑えながら(何あれ、はにかむセレーナ様 可愛すぎる!)と急いで着替えを持ちシャワー室へと向かうのだった。
〜☀︎☆☀︎☆☀︎〜
朝の準備をして食堂車に向かっていると黒猫スキンフル白猫シェンクスとすれ違う。
チラリと目が合うものの、済まし顔で過ぎ去ってしまう2匹の猫。
見回り中=(イコール)仕事中。
仕方がないと思うながらも2匹のデレたところを列車を降りるまでに見てみたいと思うナディアは昨夜のセレーナとのやり取りを思い出す。
[偽りの腕輪]の影響で、表情の無いマリオネットだったセレーナ様が腕輪が外れても普段は感情の表し方が乏しく非常にクールなイメージだけど、環境が変わって周りの影響を受けて少しずつ変化している。心を開いてくれつつあるのだわ。
と、思いに耽るナディアだった。
朝食を済ませラウンジに移動して寛ぐ一行。
F「揺れが少なく安全走行。清潔な車内と一流のおもてなし。いやー、時代は進むねー。」
L「どうした、急に」
F「快適な列車 旅だと思ってさー」
T「計画と開発に20年くらいかかり何度も走行テストをして3年前に漸く開通した鉄道だからな。」
L「確か東国との共同開発だったよな?」
T「そう。砂漠地帯な為に列車を動かすのに使う動力、つまり魔石の大きさと込める魔力の量とタイミング、砂の影響を抑えながら如何に快適に走行出来るかとスピードを出して移動時間の短縮を測れるかの研究をした上での集大成だな。」
I「帝国も列車は走ってるけど、言われてみれば冬季の雪が積もってる中での移動はスピードが落ちたり下手したら立ち往生してる時あるし、座席などの乗り心地やサービスも違うな。」
N「東国って生真面目でインテリな人が多い物作り上手国って言われてるところよね?」
F「そうそう。うちの商会も輸出入でとてもお世話になってる国ー。」
L「電子機器と車は東国産がいいと聞くな。」
F「ゲーム機もだねー」
と会話している中、通りかかるレイルウェイ・キャット。
ソファの上で寛ぎ寝ているふりのシルビアと窓枠にとまり外を眺めているジョナスをチラリと見てから
「ニャーン」
と鳴く黒猫スキンフルとルーカスの足元ですりすりする白猫シェンクス。
抱き上げようと手を伸ばすもすり抜けて他の乗客のところに向かう2匹。
暫く様子を見ていると同じように愛想を振り撒いては去って行くスキンフルとシェンクス。
正に猫。
列車の旅はまだ続く。
お読み頂きありがとうございます。
※食事に関して:文化や食習慣やその時の体調など、人によって合う合わないは如何しても出てきます。悪気の意図は有りません。




