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ステルラ  作者: 智織
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幕間1-3 <巨人族とは1>

巨人族、族長の若き日の思い出話です。

巨人族の長であるケンタウロスは、先日の人族の王族との会話と件のオーク族に関することを思い返していた。


かつて大陸の各地に部族ごとに集落を作り暮らしていた我ら巨人族は、人族が増え始めテリトリーを拡大しつつあった頃、見た目の違いから人族にとっては我ら巨人族は醜いモンスターだとされ山や森の奥地に追いやられたり迫害を受けた歴史を持つ。


中央大陸大戦後、人族とはもちろん獣人族や亜人族と関わることの無いよう、あえて生きるには厳しい自然界の荒野や砂漠が広がるここ大陸南西部に同族である我らケンタウロス、ミノタウルス族、小鬼族(ゴブリン)大鬼族(オーガ)豚頭族(オーク)が集まり各種族ごとに別れて集落を作ったとは先祖の言葉。


身体が小さく手先が器用だが寿命が50年前後の小鬼族。通称ゴブリン


身体の大きさはそこそこで巨人族の中では臆病だがよく働く60年ほどの寿命の大鬼族。通称オーガ


身体の大きさ、腕っぷしも手先の器用さも平均的で60年前後の寿命の豚頭族。通称オーク


2メートル超えの体躯が大きく腕っぷしの強い200年ほど生きる牛顔族。 通称ミノタウルス


そして、身体の大きさはミノタウルスと変わらない腕っぷしは負けず劣らずといったところの我ら馬胴体族も200年ほど生きる。 通称ケンタウロス。


時代が進み同じ巨人族同士で得手不得手を補い合い共存する者たちが現れ巨人族の共同村を作り出した。今では巨人口も増えて共同都市と呼ばれるようになったが。


ただどんな種族でも当然だが他者との共存を選んだ場合は種族関係なくルールは必要になってくるし、

そう言った場合は他者を率いる長が必要になる。


我ら巨人族の場合は長を決めるときは強者を決める。腕っぷしだけでは長は務まらない。他者を率いるだけの知恵や統率力が必要になってくる。

共存の道を選びこの都市の長を務めるは我で3代目。

我が長に着いてからこの100年ほどの間にドワーフ族との国交を持つようになり後に人族とも交流を測るようにもなった。




我が成人を迎える少し前、ケンタウロス族の中でも体型に恵まれ腕っぷしにもそこそこ自信があった我は粋がっていた。巨人族領内を転々とし強そうな相手を見付けては勝負を挑み相手を負かしていた。


腕に自信がある若造が出てきた。世代交代の時期か?と噂が流れるようになってきて、益々 調子に乗るようになってきた我だが、長というのに興味が無かったし知恵も巨人脈も統率力も全く無かった。


退屈と知らない相手から話しかけられる日々が続き、鬱陶しく思った我は山に引き篭もり誰とも関わらないようにした。


野生生物やモンスターに出会したら倒して食料とし寝る時は近くの木陰で休む。雨が降れば洞窟を探して凌ぐ。こうして山の中を転々と過ごしたある日、

我と身体の大きさがさほど変わらない二足歩行する3メートルは有るだろう巨体モンスターに出会した。


ゾウやバッファローを食料にしハゲワシにも挑み負かした我は得体の知れないモンスターに挑んだ。

結果は惨敗に継ぐ完敗。


同じように動き回った筈なのに息一つ乱さない相手に見つめられて、生まれて初めて負けを知った。


漸く息が整い出したがまだ体が動かせず背中が地から離せないでいると、


『かっかっかーーーー!!!面白いもん見せてもろうたけぇのーー!!』


近くにいる巨体モンスターとは別の方角から声がして目に映ったのは更に巨体なモンスターだった。5メートルは有るだろう。

勝負に負けた相手より更に大きな巨体のモンスターに恐怖を覚え、体が震え上がる。


『(おい、ちと確かめたいことがあるけぇ。こやつの体力 回復さしてやれ)』

(承知)


我を敗北に追い込んだ巨体モンスターが、近付いてきて液体を口に含まされる。

嚥下(えんげ)したのちカッと目が開き体力回復薬だと分かり動けるようになって、殺られる前に殺らなければと思い巨体モンスターに再び挑むが一瞬で背中がまた地に着き動けないように押さえられた。


『かっかっかーーーー血の気の多いひよっこじゃけー。ちぃと、そちの話を聞きたいけ大人しせんか。』


頷くことしか出来ない自分に幾つか質問される。

なぜこの山に居るのか、山に来る前はどうしていたのか、巨体モンスターと闘って今 何を感じているのか。

我は答えた。


巨人族領内で負け無しの自分、領内で周りの自分への扱い、山に来てからの暮らしぶり、敗北心と恐怖心が芽生えたことを。

答えを聞き終えた超巨体モンスターは少し考える素振り見せてすぐに


『なるほどのぉ。...そうじゃ、こうしようかの。』


と言い、いつの間にか押さえ付けられてた身体が自由になり座り込んだ我の手の中に何か軽く重みを感じて目をやる。

其処には眠っている小鬼族の赤子がいた。


『先ほど保護しての。親の元へ返す事も出来るが同じじゃろ。そちに託す。その赤子が天寿を全うするまで見守れや。』


と言って去っていった。

そこから半ば押し付けられた様に思わないでも無いが、我の子育てが始まった。



最初は戸惑いばかり。

すぐ泣く。よく熱が高くなる。おまけに3メートル近い我の体躯と数十センチほどの赤子。

丁寧に扱っているつもりだが、少しの力加減の違いで傷付けてしまう。


床に置き目を離すと赤子を餌にしようとモンスターや野生動物、矮小な虫までもに襲われるので常に手の中に抱きながら食料確保の狩りや川での沐浴、寝る時も腕に抱いた。


ほんの少しずつ大きくなり始めた赤子は、這いずり、座り、立ち上がり、歩き出す。言葉も少しずつ話す様になってくると、我の腕の中でじっとしていられないようになり床に降りたがった。だが赤子の気分次第で腕に戻って来る。

腕に掛かる重みは時には負担だが、あると温もりが伝わり心が穏やかになるのを感じていた。

お読み頂きありがとうございます。

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