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ステルラ  作者: 智織
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幕間1-4 <巨人族とは2>

今回も巨人族 族長のお話です。

小鬼族と暮らし始めて10年が経った頃、

我と自分の見た目が違うのは何故か。

動物やモンスターは見かけるが自分達以外の同種族は居ないのか。

と、問われ、我は答えた。


「我はケンタウロス族、おまえは小鬼族、ゴブリン族とも言う。我はその昔、思うことがあって同族から離れこの山で暮らすことにした。ある日、赤子のおまえを見付けた者に託すと言われ育てる事にした。山を降りれば同族であるケンタウロス族もいるしおまえと同じ小鬼族もいる。他にも大鬼族、オーガ族とも言うのや豚頭族、オークと言う。あと牛顔族であるミノタウルス族がいる。今上がった種族を巨人族とも言う。

我からも問おう。

山を降り、おまえの家族や巨人族に会いたいか?」


少し考えたのち小鬼族の小僧は、

「赤子の時にこの山で見付けたということは、置いていった誰かがいるって事だよね?」

「おそらくな。」


「そっか。

よし!このまま山で暮らす。オイラが山を下りて居なくなったらおじさん一人になっちゃうでしょ。」

ニシシっと笑う小僧に生意気になりやがってと思いつつも心が温かい気もして、我は何だか照れ臭くなり小僧の頭をワシワシした。


それからも小僧との山での暮らしは続いたが、

小僧は青年になって、大人になって、一緒に暮らし始めて50年ほど経った頃には身体にガタがきつつあり所謂 老人になった。


小鬼族の寿命は短い。

別れが近いのだろう。

ほとんど自力で動けなくなった頃、


「願いを聞いて下さらんか。ワタシは貴方の腕に抱かれて高い所から見渡せる景色が好きじゃった。もう一度だけその景色を見さして頂けんか?」


我は承諾し、小鬼族を腕に抱き上げ二人でよく行った丘まで向かった。

山の下に見える巨人族の里やドワーフ族領との国境を挟んで流れる川が一望できる。


「綺麗じゃあ。やはり高い所から見える景色はいいもんじゃのう。ワタシは貴方と生きれて幸せでした。ありがとう、ありがとう。」

小鬼族はそのまま我の腕の中で息を引き取った。


心が騒めき目や鼻から水が流れてくる。

小鬼族と暮らした日々を思い返し自然と言葉が出た。


「お主こそ、我と暮らしてくれてありがとう。」


誰かに感謝をする事も、誰かの為に涙を流す事も初めての体験だった。

拠点にしていた洞窟まで戻り、小鬼族がイス代わりによく腰掛けてた切株の下に埋葬し花を添える。


何日か過ぎた頃、いつかの超巨体モンスターが現れた。警戒しつつも襲ってくる様子は無くじっと見つめられる。


『ふむ。いい顔になったのぉ。腕も劣っとらん様じゃし、どうじゃ山を下りてみんかの?』


「どういう事だ?」


『巨人族の長にならんかと言うておる。今なら務まるじゃろう。』


「どういうつもりだ?おまえは巨人族の回し者か?」

警戒心を強めつつある我に対して、平常心そのままの超巨体モンスターは


『かっかっかー!ワシが巨人族に見えるのかのぉ!そちも知っている今の長も歳食ってのぉ。世代交代の時期なんじゃが、今上がっている次代の候補が二人いるんじゃが二人ともその器に無くてのぉ。』


「我には関係な『本当にそうかのぉ』」


『巨人族の里をそちに託す。塩梅ようしちくり。頼んだけぇのぉ!!』


言いたい事だけ言って我が瞬きをしたほんの一瞬で超巨体モンスターは姿を消した。


山を下りたら小鬼族が一人に......、一人になったのは我か。

他者との関わりが煩わしくて山にきて、何故か子育てをして今ようやく一人になった。


が、煩わしさよりもまた他者と関わりたい、一人は寂しいと思う我がいた。

「我に託す、か。」

気持ちを高め、墓前に花を添えて我は山を下りた。




巨人族の長を決める強者の闘いに挑み候補者を負かして、我は見事に長になってみせた。


年に一度、育てた小鬼族の命日には山に登り花を添える。10年に一度程の割合であの超巨体モンスターにも出会した。


モンスターだと思っていた超巨体が実は土柱様であられるゴーレム様だと知ったのは長になってから数十年ほど経ってからだった。


知らなかったとはいえ畏れ多くもモンスターと勘違いをし、ぞんざいな態度で接してしまっていた。


『かっかっかーーー!!ひよっこの毛ぇが白くなり始め少しばかり大きゅうなったが、まだまだ青二才じゃけぇのぉーー!!』


と豪快に笑われた。


『そうじゃ、そち人族はどう思うかの?』


「どうと言われましても我は人族を見たこたが有りませぬ。中央大陸大戦以前は我ら巨人族とも言葉に尽くしがたい歴史があったと伝え聞いています。」


『そうか。歴史は真実じゃし、確かに今の世にも愚かな人族はいるし、そうではない人族もいる。近々、この世に新しい風が吹くやも知れんのぉ。

もし、そちの所に人族が現れた時は見定めて良しと思うたら塩梅ようしちくり。のぉ!!』



その話を聞いてから時は流れ本当に人族との交流を持つ様になり、今また人族の次代が訪ねて来た。

訪ねて来た理由は複雑だったが、人族なりに我ら巨人族の同胞を慮って頭まで下げた。


土柱様よりの便りにも(塩梅よう)と書いてあった事だし、確かにここ30年ほどで人族の影響を受けたドワーフ族領が豊かになり我ら巨人族領も其れに習う形で街並みが大きく変わった。

土柱様の仰ったように確かに新しい風が吹いたのだ。


[長は知らない。超巨体ゴーレムは土柱様ではなく眷属だという事を。ゴーレムの肩にはいつも小さな土柱様であるノームが一緒にいた事を。


会話をしていた相手は眷属のゴーレムではなく肩に乗ったノームの土柱様だった事を。自分が勘違いをしている事を長は知らない。それで良いのだ。世の中、知らなくても良い事もあるのだから。]




オーク族の件は複雑だが、弔いも終わり、行方知れずだった同胞が故郷に帰りこの巨人族領の大地に眠る。幾つかの遺品も家族に渡り大事に抱えながら(おかえり)と涙を流していた。


こうして、生きとし生けるものは誰かとの出逢いと別れを繰り返して自分に思いを記憶して時代が巡ってゆくのだと我は思う。


我も歳を取った。そろそろ世代交代の時期だな。


我に寿命が来たら我の倅は暖かく迎えてくれるだろうか?


お読み頂きありがとうございます。

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