第21話 <土柱様>
いよいよ旅の目的地である精霊王 土柱様との対面を果たすお話です。
[環境保護地区]に幾つかあるエリアで夜を明かし、いよいよ土柱様の元へ。
〜☀︎☆☀︎☆☀︎〜
朝、早めに起床し準備を整えてエリアを出発する。
砂漠の中をひたすら走り抜け、途中 鋼鉄の様に硬い皮膚を持つ[砂漠 蜥蜴]やこの地 特有の赤茶色の[赤ネズミ]に遭遇して討伐しながら移動する。
やがて、照り付ける太陽で、地面や景色が陽炎のようになり蜃気楼と化して来た。
Sy「カオンリンで進めるのはここ迄じゃ。この先はモンスターは進めぬ」
一同が[カオンリン]ソリから降りる。
ここまで頑張って連れて来てくれた[カオンリン]にお礼を込めて、もふもふわしゃわしゃとスキンシップを計り最後に干し肉と水をプレゼント。
その後、シルビアがルーカスが乗っていたソリを先頭で引っ張ったカオンリンと見つめ合ってから、カオンリンがそれぞれ「Woof」と一鳴きし走り去って行くのを手を振って見送った。
Sy「『お主達と一緒に旅が出来て良かった。』と言っていた。さ、行くぞ」
陽炎の先へ踏み込み、いよいよである。
王都よりも気温の高い荒野や砂漠だが、更に暑い陽炎の中は地面が砂で足元が埋まり歩き辛く汗も余計に出て来る。次第に登り坂になり息を切らしながら歩き続けるが路はまだ続く。
小まめに小休憩を取って汗を拭い水分補給をする。段々と坂道も険しくなっていき、いつの間にか砂地から固い地面になって終いには凸凹する岩を登っていた。
会話する気力もなく歩いていく中、シルビアは皆がちゃんと着いてきているかを時々確認のため後を振り返りながらも路なき道を登って行く。体力を削がれ息も絶え絶えになりながら着いていく6人。
何度目かの小休憩で息を整え水分補給をしたとき、一陣の風が吹いた。
突風の如く強い風で目を瞑り足で踏ん張り風が通り過ぎるのを待ち、漸く風が止んで目を開けると陽炎で歪んでいた視界が開けて遠くに神殿らしき建物が見えた。近付いてみると入口らしき扉のサイドに2.5メートル程の大きさの[ゴーレム]が2体いる。
様子を見ていると入口が開いて5mは有りそうな一際大きな[ゴーレム!?]が出て来ていきなり襲ってきて否応無しに戦闘開始!!
シルビアはそっと離れてお座りする。
ジョナスも離れていき、
L「は⁉︎ 何なんだ!?この[ゴーレム]!!??
っていきなり巨体3体って部が悪ぃじゃん!
トレバー作戦!」
T「俺もこの状況、戸惑ってる!まずは、足留めか!?巨人は後!小さい方からな!」
「「「「「「了ーーー解 !!!!!!」」」」」」
魔法師2人が足留めしようと小さい[ゴーレム]1体にずつに狙いを定めて[アイス・ロック!]をかけるが交わされてしまう。
前衛3人も其々に狙いを定め剣、槍、斧で攻撃を仕掛けるが相手は素手だが岩なので全く通じない。
フェルナンドも銃で攻撃を仕掛けるが当たっては弾けてほんの少しだけ欠ける程度。ゴーレムという事は土属性の筈だからと弱点である風属性を其々が技や魔法で色々 試すが、非常に硬い。
L「ウィンド・クラッシュ!くっそー、硬ってー!!」
F「行っくよー!ストーム・ラピッド!」
トレバーも槍で突く、
T「お前は俺が相手だ!突風突き・エアロ・ドライブ!」
イヴァンも参戦し
I「風の悪戯・烈風打!クソッ!此れでも多少 欠ける程度なのかっ!」
狙いを1体に絞り魔法組が風属性中級魔法で。
S.N「「ストーム!!」」
息の揃った風魔法が当たり動きが鈍るゴーレム。
L「おし!効いてる!続けるぞ!!」
「「「「「オーーーーケーーーー!!!!!」」」」」
F「喰らえー!ストーム・ラピッド!」
T「突風突き・エアロ・ドライブ!」
L「手答えあれよ!ウィンド・クラッシュ!」
I「風の悪戯・烈風打!」
S.N「「放て!ストーム!!」」
一体ずつ集中的に攻撃し跪き、もう一体も続けて、ニ体の[ゴーレム]が膝をついた。
さて、真打ちをと狙いを定めたとき、
奥の巨体[ゴーレム?]が顔の前で腕でバツ印を作り
『攻撃、止めい!!終いじゃけー!!』
と、地響きのような鋭く低い大きな声で言った。
「「「「「「!!!!!!??????」」」」」」
Sy「ご満足、頂けましたか?」
『かっかっかーーーっ!ひよっ子じゃけーのぉ!んだが、まだまだ伸び代は有りそうじゃけーー!!成長が楽しみじゃのう!!』
Sy「それは要ございました。」
『シルビー!久方ぶりじゃけー!塩梅よう過ごしとったかいのーぉ!?』
Sy「ええ、変わらず。貴方様もお元気そうで何よりで御座います。」
シルビーが[ゴーレム?]に対し足を揃え背筋を伸ばしてお座りし敬語を使い話しかけている。
ってことはこの[ゴーレム?]が[土柱]ってこと!!!???
いや、よく見たら巨体ゴーレムの手に抱かれた小さな爺さんがいる。
『なぁんじゃ、ようやっと気づいたけーのぉ!?』
一同、疑問符を頭に浮かべながらシルビアと[土柱様?]との会話を聞いて、
Sy「何を呆けておるのじゃ!皆の者!土柱様じゃ!早う、ご挨拶をするが良い!!」
尻尾を左右に一振りして訴えてくる。
ルーカス達は慌てて武器を終い、
L「あ?あぁ。 大変、失礼 致しました。
セニート王国 第一王子
ルーカス・フレデリック・ハワードと申します。彼等は一緒に旅をしている者達です。」
『うむ、ようきた。立ち話もなんじゃけぇ、神殿内に移動するけーのぉ!』
土柱様を抱いたゴーレムを先頭に、いつの間にか膝を付いていたゴーレムは立ち上がり欠けた箇所も元通りになった状態で先導され神殿内に入る。
赤土を利用した全貌の外観に対し、青を基調としながらも所々 他色で色彩豊かな組合せのカラフルな内装だ。
その内の一室。
粘土で出来たテーブルを挟み、粘土で出来たベンチに案内されてそこに座る。
先程とは別の細長い四角い顔の侍従らしき[ゴーレム]が器用に黄緑色のドリンクをテーブルに置いて下がる。土柱様が、
『まぁ、適当に飲め!ワシはコレじゃけどな!』
クピクピッ!
『かぁーっ!ウマい!ところでアルとザフィーは息災け?』
目の前の黄緑色のドリンクを飲んでみる。
さっぱりしたオレンジジュース(?)のような味だ。土柱は赤茶色の酒を飲んでいる。
ん?アル?ザフィー?
ルーカスが考えていると、
Sy「アルバロとザフィーラは隠居生活を満喫していますわ。10年前に世代交代し今の地勢は、リカルドとレティーツィア。ルーカスはこの二人の子息ですわ」
『おー、今の国王はリーの小僧けぇ!陽気で素直な鼻垂れじゃけぇ!』
Sy「玉座に着き多少は落ち着いて物事を見るようにはなったリカルドですが、楽観視で少々甘いのが玉に瑕ですわね。」
シルビアの言葉に目を細める土柱様。
Sy「リカルドには弟がおりますの。其奴が少しばかり不穏なきらいがありますわ。首輪は着けていますが少々 緩くて。」
『最近、この王国より北の大陸にある大地が年々元気がなくなっていくのぉ。[影の]や[氷の]が心を痛めて嘆いておるけぇ。其れと関係あるがか?』
と言いながら、目付きが鋭くなる土柱。
シルビアは無言で土柱を見つめる。
『シルビアよ。よいな。愚かな人間が数集まれば歴史を繰り返す。自分等人間達だけで始末を付けるなら構わぬが、また自然や生態系を破壊しまくり我らの聖域までも脅かすものなら』
Sy「心得ておりますわ。土柱様。」
土柱とシルビアの話の途中から、一気に重圧が掛かって、まるで空気そのものが鉛となり押し潰してくるかの様な重い空気感に包まれた神殿内が、ふっと緩み静寂が訪れる。
その後は和やかな時間を過ごし、神話となる精霊王との会話はあっという間に過ぎ室内入口扉が開き、小さな[ゴーレム]が袋を持ってきて目の前のテーブルに置かれる。
[土柱様]が小袋を手に取り中身を幾つかテーブルに出す。ミスリルやオリハルコンなどの鉱石、サファイアやダイヤモンドなどの宝石、
空の魔石、
そして世界各地にいる強敵やダンジョンのボスを倒すと手に入る宝箱のうちの中でもレアな存在である土の精霊石も入っている。
しかも鉱石類は磨く前の原石のままだから明らかに小袋に入る大きさや量では無いので不思議鞄だ。
希少 且つ純度の高い石を目の前にし一同たじたじになる。
そんな自分達の心情を知ってか知らずか…
『ワシからの餞別じゃけー。遠慮はいらん。上手く使え。』
[あ、あ、ありがとうございます…]と受け取ったルーカスは声と手が震えるが、
一つ頷き土柱様は席を立ち室内出入口に向う。
頂いた物を不思議鞄に入れ、後に続くと神殿入口とは逆の方に歩いていく土柱様。シルビーも付いて行くから続いて歩くと一つの扉の前へ。
『旅の続きを気ぃ付けて行けーのぉ!じゃあの!!』
扉が開きその先は、洞窟なのか薄暗い。
シルビアが先に進むので危険は無いだろうと判断し続く。
洞窟から外に出ると、(あれ?明るい?)振り返るともう其処には洞窟への入口はなく[環境保護地区]内に幾つかある大岩の一つだった。
Sy「さて、街に戻るぞ。ここからならそう時間も掛からぬ。」
シルビーの声で動き出す。周りをよく見ると、神殿近くの硬い赤土ではなく荒野地にいるようだ。
岩の裏側に回ると[環境保護地区]出入口が遠目に見える。
徒歩だがそんなに時間かからず到着し係員に驚かれながらも出迎えられ、シルビーが後数日もすれば[カオンリン]が戻って来ると念話してきたから、係員に伝えた。
手続きして、ドワーフ王国への入国許可が出たことを聞きパーキングに戻り車を走らせる。
近くのモーテルに着いた頃には夕方になっていた。
なんだかんだで疲れたのか皆 口数が少ない。適当に買った出来合いの食事で済ませ就寝準備をし其々 に床に着いた。
一行は思った。
神話と伝えてられる[土柱様]との会話や、時間をかけてたどり着いた神殿なのに[環境保護地区]間近へ出られる洞窟へのトリック。餞別だと渡された超高品質の石の数々。
改めて[精霊王]の偉大さが分かった気がする。
そんなことを思いながら眠りにつくルーカス達なのであった。
お読みいただきありがとうございます。
※キャラクターが増えていくに連れて、一人称の呼び方や方言などが出て来ますが、使い方が多少おかしな部分があったとしても、温かく見守って頂けたら幸いです。




