第18話 <西の大森林>3
お話の中に、グロテスクな部分と暴力的な言葉が出てきます。苦手な方はご注意 下さい。
ルーカス達は森での依頼を終えて、エルサーラ州に向かいつつオーク族を探していた。
[巨人族領内で罪を犯し、人族の里でも迷惑をかけた。我々 巨人族が罪人を捉える為に人族の地に大勢で押しかけるは困難。拘束の後 連絡を。]
と言われ拘束対象となっていた。
やけに静かな森の中で突然聞こえてきた咆哮。
気を引き締めつつ慎重に咆哮の聞こえた方に向かう。
日が傾きかけ薄暗く異様な空気の中、漸く咆哮を上げたモンスターを見つけたときには更に日は暮れかけていた。
そんな暗い森の中で、
どうやら食事中らしく此方には気付いていない。バキバキと音を鳴らしながら餌らしきものを貪るベヒーモス。
その時、
S「ライトニング・○○○○○○○!!!」
セレーナの声と共に目を開けていられない眩しい光と轟く桁魂音が雷となりベヒーモスの脳天を直撃し夥しい電流が流れて、ベヒーモスにとっては自分に何が起きたのか分からないまま感電し黒く焼け焦げ息絶えた。
F「すっげー!巨体が一撃!!」
ライトを照らしながら近づいてみると辺り一面 血の海になっている事が分かり、その犠牲者がオーク族だと転がる遺体の一部で知った。
張り詰めた空気の中、血の臭いやベヒーモスが息絶えたことを知り他のモンスターが集まる前にベヒーモスとオーク族の残ってた遺体の部分を回収し走り出した。
Sy「ルーカス、今日はこのままこの辺りで休むぞ。夜目の利かぬお主等が森を歩むのは危険じゃ。結界を張る故、テントを出し一晩過ごすがよい。」
と先導していたシルビーに言われ実行。
食欲が湧くわけもないため、就寝へ。
夜も更けた頃、寝付けなかったセレーナはナディアが寝付いているのを確認してテントの外へ出る。
そこへシルビアが話しかけてきた。
Sy「眠れぬようじゃな。」
S「あぁ。」
目を眇めたシルビアは
Sy「着いてくるが良い」
といい、歩き出しテントから少し離れた場所で立ち止まる。
同じように立ち止まったセレーナは自分の両手を軽く持ち上げて見つめていた。
暫くして震え出した手を握りしめて胸の前に持っていく。
一言も喋らないセレーナにシルビアは
Sy「自分の力が怖いか」
S「.....……………......…….....あぁ。」
Sy「ベヒモスに放ったライトニングもただの上級雷魔法ではないしの。」
S「...........あれは、ライトニング・スペリオリティという。」
Sy「なるほど。優れている稲妻か」
S「帝国にいた時、魔物討伐もしていた。周りの帝国軍は私が一撃でモンスターを倒すが当然との考えだ。だが、私より強いモンスターも当然 存在していて、ある時、一撃で倒せなかった。
その時、モンスターが私以外の誰かに反撃した。
私のせいで、怖い思いをした、襲われた、怪我をした、と言われ集団で暴行された。
翌日から今では禁忌の最上級魔法を覚えさせられた。
王国が大戦をしている時、防衛の為と当時の帝国の魔法師が編み出したらしい。
腕輪をしていた時は、集団暴行受けてたことも禁忌の魔法を伝授されたことも分かっていなかった。けど、映像で見た以外の過去も徐々に思い出してきて。
経験上、食事の邪魔をされたモンスターが凶暴になるのは知っていた。
ベヒーモスはAランクの中でも凶悪。
日暮れで視界の悪い中での戦闘は不利。
一撃で仕留めるには使うしか無かった。」
Sy「.......そうか。礼を言うぞ。」
震える手が止まり驚いた表情でシルビアを見るセレーナ
S「なぜ」
Sy「ベヒモスはルーカス達には荷の重い相手じゃった。それに、妾は風柱様の眷属。倒せはするが、もっと森の木々を傷付けたであろう。お主がルーカス達を守り森を守ったのじゃ。」
セレーナは身体を震わせながら立ち尽くす。
Sy「さて、妾は戻る。お主も戻って休むが良い」
シルビアは踵を返してテントの方へ戻って行く。
相手を屠る為の戦闘しかしてこなかったセレーナにとって、自分の行いが誰かを助けた。礼を言われたことが、帝国皇太子の言う[よくやった]とは別の意味を持つ気がして心が震える。
暫く心の整理が付かなく動けなかったセレーナだが、落ち着きを取り戻し、穏やかで暖かい気持ちになり漸くテントに戻って就寝した。
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