第18話 <西の大森林2> オーク族
オーク族のお話です。
暴力的、差別的な要素が出てきます。
苦手な方はご注意 下さい。
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○○月△△日
エルサーラ州とリヴァーゴ州の間にある西の大森林。
そこで息を潜めながら世間から身を隠しながら日々をやり過ごす我らオーク族。
腹拵えを終え、ここに至るまでの出来事をそれぞれ思い返していた。
巨人族は其々、各種族の里があるが、各々が集まり巨人族同士で助け合い暮らしている街もある。
そちらの方が発展していることもあり里の若者達はその街に憧れて出稼ぎに出る者も多くいる。
だが、いざ街で暮らしてみると同じ巨人族の中でも種族により待遇が違うことに気付くのだった。
体の小さなゴブリン族は庇護対象。
その小ささを生かして我々のような大きい体では出来ない細かい作業をして暮らしている。
オーガ族は我々オークと変わらないが臆病な性格故か他の巨人族に気に掛けてもらえることが多い。
ミノタウルス族も我等と変わらぬ力自慢の多い種族
ケンタウロス族は唯一知恵の働くものが時々見受けられるので巨人族領の長を務める者が多い
我々オークは、巨人族の中ではゴブリンよりは大きいがその他と比べると体躯は変わらないが勇敢さだけは負けないつもりだ。
ゴブリンほど手先が器用でも無い。ケンタウロスほど知恵が回る訳でも無い。
だから単純作業の繰り返しをする仕事が多い。別にその仕事自体に不満があるわけでも嫌と言うわけでもない。
だが仕事の取り合いや中には馬鹿にしてくる奴等が一定数いるのも事実だった。
○○月△□日
幼馴染として育った男のオーク3体のおいら達も成人を迎えた時に、街での暮らしを夢見て一緒に故郷を出たが、同じような境遇に合ったのだ。
そいつらはおいら達オークを下に見て彼等の優越感を感じていたかったんだろう。
最初は無視を決めてたが、何度もしつこく馬鹿にしてきた。
ある時、いつもの悪口から殴り合いの喧嘩に発展して、日頃の鬱憤が溜まっていた事もあり気付いたら相手に大怪我を負わせていた。
血を流して上手く動けない相手を目の前にして、自分達のしたことが急に怖くなり逃げ出したおいら達は里に帰ることも出来ずに街の片隅で隠れるように過ごしていた。
○○月▲◾️日
彼女達、女のオーク3体も幼馴染同士で街に出て働いていた。
それぞれが真面目に働いていたが、慣れない仕事内容に加えてオーク族以外との関係、いわゆる職場環境に戸惑う事も有り馴染めずにいたそうだ。
徐々に他の巨人族から距離を置かれていくようになったらしく、自分達オーク族の陰口を叩かれる様になり、きちんと熟したはずの仕事でミスをしたことになったり、他の種族が侵したミスの責任を押し付けられたりと[いじめ]を受ける様になったそうだ。
女オーク達3体は互いを励まし合って頑張っていたが、陰口だったのがわざと聞こえる様に言う悪口になり、私物が汚されたり壊されたり隠されたり捨てられたりする様になり、人目につかない様な場所に呼び出されて身体的 危害を加えられたりと[いじめ]がエスカレートしていった。と聞いている。
耐えられなくなった彼女達は、相手が他種族でも同じ女性であることから腕力では勝てるだろうと判断して、再度 呼び付けられて危害を加えられたときに自己防衛の為に相手の腕を掴み反撃に出た。
だが、もともと腕力のあるオーク族が受けたイジメに対しての抵抗という事も有り、やり過ぎてしまった。相手が血を流して怪我をしてしまったのだ。
後日、職場の上司に呼び出されて怪我をした者と周りの証言も有り辞職を突き付けられて、自分達が今まで何をされて、どれだけ我慢をさせられてきたのかを訴えたが多勢に無勢。結局、辞めざるを得なかったらしい。
○★月▽◇日
他種族の集まる里とは違った環境の街で生きることの現実を味わった女オーク達は、偶々おいら達 男オーク3体と知り合って互いの境遇を語り合った。
致し方無いとはいえ、怪我を負わせた相手がいて逃走中の男女オーク6体は里に帰り家族に迷惑を掛けるのも嫌だし街に留まり罪に問われるのも怖かった。
巨人族領に自分達の居場所がなくなったと思い、十数年前より交流を持つようになった人族の里へ向かうことにした。
巨人族領とドワーフ王国の間にある川を越えてそこからも人目を気にしながら何日も何日もかけて人族の地であるセニート王国エルサーラ州に入った。
検問では人族の里に出稼ぎに行くと言って通った。
人族の里でおいら達6体は暫くは真面目に働いて暮らしていた。
エルサーラ州では人族以外の種族もいて我々 巨人族も見かけ、一見 共存 出来ているように見える。
とはいえまだまだ他種族への偏見を感じることがあり種族差別化され、ある日 仕事を辞めざるえなくなった。
冒険者になり食い繋ぐも次第に資金が尽きエルサーラの里でも暮らせなくなっていった。
巨人族領に今更 帰還 出来ないし、風の噂で自分達が拘束対象になってしまったことを知って、巨人族領に帰還後 何をされるかを思うと怖くてこうして逃げ隠れていることなどを思い返し、今日も深い森の中で息を潜めながら生きるおいら達オーク族。
○★月◇◾️日
おいら達 男が3体 、彼女達 女が3体とあり、巨人族領から出た頃は男女で互いに遠慮や距離感を感じながらも行動を共にしていたおいら達。
ドワーフ国や人族の里で過ごすうちに同じオーク族同士で打ち解け合い次第に仲間意識を持つように互いを尊重して過ごしてきた。
しかし人族は親切に接してくれる者もいたがやはり何処か種族差別を感じる事も多かった。
仕事が無くなり冒険者 稼業でも稼げなくなり、この森で過ごすようになってからは、それぞれの役割分担などを決めて狩りをして腹を満たしたり夜は交代制で見張りをしつつ体を休めていたが、森の獣やモンスターにいつ襲われるかわからない中では充分な休憩は取れてないでいた。
ある日、森の中を走っていた車のタイヤがパンクしてしまい修理中だった人族を襲い、車を奪い森の奥へと持ち去った。
6体で力を合わせれば人族の乗る小型のトラックくらいは持ち上げられる。
罪の無い人族には申し訳なかったが少しでも安心して休める場所が欲しくて車を盗んだ。
その盗んだ車を置いた森の奥地の場所を拠点にし細々と過ごしているうちにいつの間にか3組のカップルになっていた。
*○*○*
森での生活を始めてどれだけ経っただろうか、今日も拠点から数キロ離れた場所で狩りをし腹を満たした頃、
「今日の森はやけに静かだ」
「んだんだ。鳥も獣もモンスターさえも余り見掛けねぇだ。」
「天道様が雲に隠れて空も暗ぇし」
「空気も纏わりつくようで、嫌な感じだわぁ」
「風で葉の揺れる音がやけに大きく聞こえて気味が悪ぃわよぉ」
「今日の森はなんだか不気味に感じるわねぇ」
「んじゃ、この後の狩りを中止して拠点に帰るべ」
皆でうんうん頷き立ちあがろうとしたその時、
「グルオオオオオオオオォォーーーーー!!!」
大地を揺るがす轟音と共にバキバキと薙ぎ倒される木の音やドスドスと地響きに近い足音が聞こえ徐々に此方に近づいてくる。
「拙い!かなり大型の獣か この森の主だ!!どのみちオラたちで敵う相手でねぇ、急いで逃げるだ!!」
叫び声を上げ一目散に拠点へと走り出す。
が、この中には妊婦が2人いる。無理して走り逃げ続けるが追い付かれてしまう。
「グルオオオオーーー!!!!」
目の前に迫った巨体と激しい咆哮で恐怖心が上がり立ち止まってしまったオーク族。
この森の主であろうベヒーモスを前に震え上がるが、男オーク1体が武器を手に立ち向かって行く。
「オラの大事な嫁子と腹の子には手出しさせねぇ!!」
「んだ!オラたちの嫁子さ守るだ!!」
「嫁子ー!!走るだーーーー!!!」
「「「あんたーーー!!!」」」
武器を振り回し立ち向かうも敵うはずも無く薙ぎ倒されていく男オーク達。そして女オークもベヒーモスの尻尾で薙ぎ払われしまうのだった。
この事実を日記に収める事は永遠に叶わなくなってしまうのだった。
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