俺とヤンデレと枢機卿12
開いたドアの向こうには、天使の彫像が立っていた。
その奥にはパイプオルガンが見える。
天使像の前にアルメリアの姿があった。
彼女の横には、紫の修道服に身を包んだ女が控えている。
「ジャスミン・クレイエル。そして、ドゥーン・アントラット。両名ともご苦労」
不敵な笑みを浮かべ、俺たちの名を呼ぶアルメリア。
手で指し示し、椅子に座るように促す。
だが、ジャスミンは警戒しているのか動かない。
「ん? ああ、こいつか」
ジャスミンの視線を追い、アルメリアが口を開く。
紫の修道服の女。俯き気味のため、顔は見えないが、どこか不気味な雰囲気だ。
「執行者、ですね」
瞳で彼女をとらえたまま、ジャスミンが呟く。
執行者――不穏なワードだった。
「紹介しよう、ルナリア・ピアニィ。わたし、アルメリアの直属の部下であり、執行部隊の小隊長だ」
紫の修道女――ルナリアと呼ばれた女は、顔を上げる。
左右の瞳が違う色をしていた。ルビーのような深緋とサファイアのような澄蒼。
「虹彩異色症」
吸い込まれそうな色の瞳。
ヘテロクロミア、オッドアイと呼ばれる色違いの瞳はゲームでも人気キャラに多い。
でも、この人、ルナリアは……。
「――っ、魔眼!」
ギリッ――ジャスミンの歯軋りの音が響く。
それを聞いて、ルナリアが俯いた。顔が伏せられ、二つの瞳が見えなくなる。
だが、ジャスミンはまだ彼女を睨み付けていた。
情報量が多すぎて俺は理解が追い付かない。
魔眼と言えば、色々なゲームや漫画に出てくる特殊な能力を秘めた瞳だろう。
有名なのは、メドゥーサの石化の魔眼――見つめたものを石化させる。
ルナリアにも、そんな異能の力があるのだろうか。
「アルメリアさま、その女、危険です」
ジャスミンの手には、いつの間にかナイフが収まっていた。
その女、と名指しされたルナリアの方は俯いたまま動かない。
「ジャスミン……確かにルナリアは魔眼を持っているが、わたしがしっかり管理している」
臨戦態勢のジャスミンにアルメリアが声をかける。




