俺とヤンデレと枢機卿13
ジャスミンはナイフを持ったまま、視線だけ動かして口を開いた。
「それじゃあ、危険がないことを証明できますか? 魔眼持ちは力を暴走させやすいんですよ。アルメリアさまもご存知ですよね」
「知っているさ。ルナリアは魔眼を暴走させ、町一つ滅ぼした。だから、わたしが引き取ったんだよ」
アルメリアは腕を組み、ジャスミンに説明している。
町を滅ぼすほどの能力の暴走――それを聞いてゾッとした。
でも、アルメリアは特に気に止める様子もない。
「すぐに能力をコントロールできる訳じゃない。だから、わたしは魔眼封じの目薬を作ったんだ。それである程度、魔眼の力は抑えられている」
――魔眼を封じる薬まで作れるのか、アルメリアは。
俺たちの手助けがなくても、彼女なら何でもできそうな気がしてきた。
ゲームの主人公並みのチート能力じゃないか。
だが、それを聞いてもジャスミンは不服そうだ。
睨むような視線は、やはりルナリアに向けられている。
一方的に嫌悪感を剥き出しにするジャスミンは怖い。正直、めちゃくちゃ怖い。
「ルナリアの魔眼は視力由来のものだ。見つめたものを燃やす、炎の魔眼だよ。見えている範囲を焼き尽くす危険なものだったのでな、魔眼封じの薬で視力を奪った」
事も無げに言うアルメリア。
要するに、ルナリアの視界に入ったものは燃やされてしまうと言うことらしい。
それを防ぐべく、視力を落とす目薬を点しているようだ。
開発能力がチートレベルなアルメリアだが、彼女の話を聞いてもジャスミンは納得がいかないらしい。
先程と変わらない強い眼差しをルナリアに向けている。
――これじゃあ、話が進まない。
「……要するに、魔眼を防げば良いんだろ」
視界に入ったものに影響を与える魔眼なら、視界を塞げばいい。
目薬なんか使わなくても、そのくらいなら簡単だ。
俺はポケットからハンカチを取りだし、三角になるように半分に折ると、ルナリアの魔眼――右目の赤い瞳が隠れるように目隠しをした。
ハンカチを使った簡易眼帯である。
「その手があったか……」
アルメリアはポカンと口を開けて呟いた。どうやら、眼帯と言う手段を思いつかなかったようだ。




