俺とヤンデレと枢機卿6
アルメリアは不思議な少女だ。
預言者と呼ばれるだけあり、何もかも見通しているような言葉に重みがある。
「俺に話って一体……」
呼び出された意図がわからないのだから聞くしかない。
さすがに答えてくれるだろうとアルメリアの方を見れば、彼女はヌイグルミを取り出して膝の上に載せていた。
思わず吹き出しそうになったのをこらえる。
人形のように可愛い少女とヌイグルミ。似合わないわけではない。
むしろ、似合いすぎていて逆に怖いくらいだ。
「ん? お前もこの子がほしいのか?」
アルメリアは抱いているウサギのヌイグルミを見て言う。
どうしてそうなるんだ……と、つっこみたいのだが何も言えない。
枢機卿という立場のアルメリアに下手なことを言うと、味方でさえ敵になりかねない気がする。
「この子は主の声を聞くのに必要だからやれんぞ。変わりに別の子をくれてやろう」
アルメリアが差し出してきたのはクマのヌイグルミだった。
欲しくもないヌイグルミだが、受け取らないのも何だか怖い。
「お前に必要なければジャスミンにでもくれてやればいい」
「なら、直接ジャスミンに渡してくださいよ……」
ここはさすがに言わせてもらおう。
俺が受け取らないのをわかっていて、あえて言っているようだったからだ。
「わたしはむやみに出歩ける立場ではないのでな。全く、兄上も枢機卿などという面倒な役職を押し付けて……」
教皇に対する愚痴を言えるのはアルメリアくらいなんじゃないか。
何だか、その姿は上司の無茶振りに答える平社員の漫画を思い出した。
アルメリアも彼女なりに苦労をしているのだろう。
俺は雑用係か何かだと思われているのだろうか。それとも……。
「さて、本題に入るとしよう」
アルメリアはヌイグルミを膝の上に抱いたまま、話題を変えた。
どうやら俺はクマのヌイグルミをジャスミンに渡さなければならないらしい。
「ジャスミン・クレイエルにお前を助けに行くように命じたのはわたしだ。ジャスミンがお前と旧知の仲だと知っていたからな」
――は?
「前世の記憶が戻っているだろう? そのタイミングでジャスミンと出会えるよう、調整したからな」
突っ込みが追い付かない。
アルメリアは何を言っているんだ?




