俺とヤンデレと枢機卿4
ゲームなら、カットインやアニメーションが入るような場面なのだろう。
「罪深きものに裁きの雨を降らせよ――ジャッジメント・レイ!」
アルメリアの声が響く。すると、辺り一体に光の雨が降り注いだ。
魔獣……キメラ達はその光に打たれ、跡形もなく消滅していく。
しかし、キメラ達の間にいたジャスミンは無傷だった。
どうやら、アルメリアのジャッジメント・レイは対象を指定できる攻撃のようだ。
――祈りというか、光の魔法だよな?
ふらふらとジャスミンが戻ってくる。
目は虚ろで視点が定まっていない。
「アルメリアさま……ありがと、う…………」
ぽそり。言葉を口にすると同時にジャスミンの体が崩れ落ちる。
倒れる前にラウラが受け止めた。
「まったく、アンタって子は……」
「クレイエル司教、そして、ドゥーンも乗り込んでくれ。また襲われる前に出発する」
ほっと息をついたラウラにアルメリアが声をかける。
そういえば、この列車は移動教会と呼べるくらいの加護に守られていると言われていた。
俺はラウラと一緒に気を失ったジャスミンを運び、列車に乗る。
アルメリアは既に乗車しており、列車の運転手と何やら話をしていた。
俺たちが乗車したのを確認すると、列車は動き出した。
列車内に救護室があるらしく、ラウラと共に気を失っているジャスミンを運ぶ。
意識のない人間は、俺が思っていたよりもずっと重かった。
小柄なジャスミンでさえ、ラウラと二人がかりでないと運ぶことすらままならない。
「面倒をかけたね、ドゥーン」
ようやくベッドにジャスミンを寝かせると、ラウラが頭を下げてきた。
目を閉じ横たわるジャスミンの髪を手櫛で整えながら、かけられた言葉。
おてんば娘をもつ母親のようだった。
「いや、ジャスミンには一応助けられてるし……」
それ以上は何も言えない。
転生前――前世の記憶では怖い以外の感想が浮かばなかった茉莉花。
ジャスミンとして再会した彼女は、相変わらず可愛い見た目に反して、攻撃的で、直情的で、やっぱり怖かった。
でも、この世界で人を救うために戦っている。
それは記憶を取り戻したばかりの俺でもわかった。
「あとはアタシが見ておく。アンタは少し休むといいさ。この列車に乗って移動中は、魔物たちも襲ってこれないからね」
強力な結界のようなものがあるのだろうか?
原理はさっぱりわからないが、列車が動いているうちは大丈夫らしい。




