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錆びた秒針、逆時の梅雨  作者: 夜澄コウ
第七章 交差点はすぐそばで。
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第46話

「……すみません。」




ん……。


なに……?




「本……借りたいんですけど……。」




この図書館……委員か。


ってやっべ。




「あ……すみません!」




「いえいえ!!そんな焦らなくても……さっき来たばかりですから……。」




「うんと……三冊でよかったかな。」




「はい。」




「二週間後までなので気をつけて。」




「はい……ありがとうございます。」




「めずらしいね。こんな学校の端にある図書館に来るなんて。そんなに種類もないのに。」




「最近、本読むのにハマってきてて。最近は予定が合わなかったんですけど、今日初めて来れたんです。芥生くんはいつもそんな感じなんですか??」




「そうだね、基本誰も来ないからね。毎回こんな感じだよ。アラームもつけてるし。」




「ほんとだ笑。ダメですよ、ちゃんと仕事を全うしないと笑。さっきみたいにぐっすりになりますから。」




「あれ、どうして僕の名前を知ってるの?どこかで会ったことありますか?」




「あら、やっぱり覚えてなかった。いつもミユの横にいた清水チホです。」




「あーチホさんね。そういえば、あの時も本もミユから勧められてたね。でもどうして今になって本に手を出そうと思ったのさ。」




「あ……まだ時間はありそうですか?」




時計……今は十六時半か……。


約束の時間は五時半だから、あと、少しなら時間はありそうだ。




「少しなら。」




「あの……あまり面識がないのもあるのですが、相談があって……。」




「どうしたの?」




「その……私、ミユちゃんがいじめられてたのは知ってますよね……。」




「ミユから聞いたよ。あれは酷かったな……。」




「はい……。」




「んで、その事でどうしたの?」




「去年のクラスは一軍の人達が権力を握るようなクラスだったんです。ミユちゃんはその遊び相手というか……標的になっちゃって。


私やミユちゃんの友達ででどうにかしようと思っていたんですけど、ある日一軍の女子から……ひどいことをするって脅されてしまって……私たちは見て見ぬふりをしてしまったんです。」




「そうだったんだ……。」




「私……それ以来、ミユちゃんにどう関われば、どう接しればいいかわからなくなっちゃって……ミユちゃんに悪いことしちゃったから……どうすればいいか、もうわからなくて……!!」




「ちょ……落ち着いて、大丈夫だから。」




「それから……近くの書店に通うようになったんです。ミユちゃんがよく行ってたっていう。もしかしたら会えるかなって、謝れる日があるかもしれないって。


けれど、会えなかったんです……。


だから、この図書館にいるかなって来てみた……んですけど……そこに芥生くんがいて……。」




「……わかったよ。なんとなくは……。」




「私……ちゃんと仲直り……したいんです……ちゃんと謝りたいんです……。」




「ミユと悪いことしたからちゃんと謝りたいってことだよね。」




清水さんは頭をゆっくり縦に振った。




「きっと大丈夫だよ。ミユはそこまできつい性格はしてないし、避けてるとも思えないな。清水さんとはいつも仲良さそうだったからなおさらだよ。」




「……もう、無理なんですかね……。」




「希望は捨てちゃ駄目だよ。ちゃんと仲直りしないと。目を見て、言葉を正直に伝えて、ちゃんとすればきっと大丈夫だよ。」




「……はい。」




時間的にもう限界かもな。




「ごめん、そのミユとの約束があって……もう図書館閉めないと……」




「……私がしておきましょうか?」




「え?」




「私もう少しここにいたいんです……芥生くんから言われて、ちゃんと向き合いたくなったんです。」




「……ならお願いしようかな。」




「ミユにもそれとなく今度伝えとくよ。」




「……なんかごめんなさい。そこまでしてもらって。」




「だから今度会ったときにちゃんと謝りなよ。」




なおさらミユは死なせられないな。




「ありがとうございました……。」




「大したことないさ。」




「ふう……間に合った……。」




図書館を出たあと、急ぎ足で走った。ほんとに時間ギリギリでバスに乗り込むことができた。


今電車にやっと乗り込んだところだ。




清水さんありがとう。


図書館を閉める仕事を受け持ってくれたおかげかもな。




清水さんも悩んでるんだな。


あの話を聞いて……やっぱりミユは死んじゃいけないと思う。




今度って言っちゃったしな。




必ず救ってみせないと。




ーー次は五百羅漢……五百羅漢駅……。




いよいよか……。


さっき通った電車のドアが入場口のようにも感じられた。




改札を通り抜けた先……いた。




「行くか……。」




ミユの元に向けて少しだけ駆け足で向かっていった。

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