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錆びた秒針、逆時の梅雨  作者: 夜澄コウ
第五章 因縁
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第31話

「ただいま。」




「おう!おかえり!ユウトくん♡」




「だからそれやめろって笑珍しいねこの時間にいるの。」




「今日は部長が僕の体調を気にして、早退にしてくれてな!ブラック企業の癖して珍しいと来た笑」




「確かに、いつも聞く話からは想像できないな。」




「今日は早めに帰ったし、久々に夜ご飯を作ってたわけだ。」




「カップラーメンの親父が、珍しい……。」




「バカにするなよ!!料理だって私作れるもん♡」




「だから、オカマモードやめろって。嬉しくないわ。」




「ノリが悪いなー、手を洗ってこい。もう飯にするから。」




「ああ。」




今日も夜飯を作るのかと落胆していたのに、親父がまともに料理なんて珍しい。


何かあったのか?




「え、これ親父が作ったの?」




「あぁそうだ!男は黙ってカツ丼だよな!!」




「なんじゃそりゃ。あと、今の時代的にはダメだろそれ。」




「知らんのか??しかも後半のは関係ないだろ!!うちはうちだ!!」




「わかったよ。」




「じゃ、食べようか!!」




「いただきます。」


「いただきます!」




ん、これ美味いな。


親父がこんなの作ったのか。


中々親父もやるな。




「どうだ〜うまいだろ!!」




「親父には言いたくなかったけど……うまい。」




「何だよ言いたくないって!!でもよかったよ。これ作るの苦労したんだからな。」




「味で伝わるよ。レシピはなんなの。」




「これは死んだ母さんがメモしてたレシピ何だ。書いてあっても作るのが難しくて、ユウトに食べさせれる日が遅れてな。待たせたな。」




「そんなのがあったのか……母さんの料理は食べたことはなかったからさ。こんな味だったのか?」




「あぁ、けどやっぱ母さんには敵わないよ。あの味は母さんにしか出せない。」




「親父ありがとな。僕のために。」




「何言ってんだ!!息子に喜んでほしいことをするのはオヤジの務めだろ!!」




「けど、パンツ弁当は勘弁してくれ……」




「えー!!あれに二時間もかけたのにな〜。」




「二時間!?なにに時間かけてんだよ!!」




「まあまあ。今度からは気をつけるよ。にしても最近明るくなったな。」




「今日友達にも同じ事言われたよ。」




「けど、よかったよ。すごく暗くて、俺にはどう励ませばいいか分からなくてさ……ごめんな!頼れん父さんで。」




「そんなことないよ。」




「まぁ、おれにできることはするからさ、何でも相談してくれ!」




「ありがと……親父らしくないな。」




「ユウトと最近話せてなかったしな。まぁこんなことは思ってる程度には覚えといてくれ。じゃないと父さん泣いちゃうよ〜。」




「嘘つけ!!なかないだろ。」




「チッ……バレたか!」




「バレるわ!!」




「まぁいいや、食べよう親父。」




「そうだな、冷めちまうしな笑」




このカツ丼が母のか……。


親父はこのために僕のために頑張ってたんだろうな。


……親父はあんなに心配してたのか。




なんか申し訳ないな。


僕は親父になんもしてあげてないのに。




また今度親父に何かしてあげよう。


花をまずは買ってみようかな。




親父が喜ぶかは別だけどさ。




なんか今のまんまでもいい気がする。


上手く言っている気がする。




楽しかったし、学校にもいきたいと思ったし、親父がどう思っているのかっていうのも知った。




不思議な気分だ。


あの夢のミユが言っていたことが正しい気がしてくる。




確かにミユはあの巻き戻る世界で、一言だけを放って消えてしまったんだ。




きっとどこかで生きてる……生きているよ。


ミユは僕の幸せを願ってくれてるんだ。




少しだけ、ミユとは距離を置いてみよう。


少しだけ、忘れよう。




収まったら、また思い出そう。




そうだ、それで大丈夫。


ミユは僕の幸せを願ってるんだから。


今楽しいし、もう頑張ったよ。




大丈夫。




きっと大丈夫。




不意にポケットに入った携帯が振動する。




瑛太からだ。




今から桜が綺麗な河川敷に来れるか?の連絡だった。


多分思い出あるあの河川敷のことだろう。


僕はもちろんオーケーの返事をして、食事を再開した。




「なんか僕あいつに借りでも作ったっけ?」




あいつ、明日も学校があるのにどうしたんだろうか?


あいつになんかやらかしてたらちゃんと謝ろう。

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