第31話
「ただいま。」
「おう!おかえり!ユウトくん♡」
「だからそれやめろって笑珍しいねこの時間にいるの。」
「今日は部長が僕の体調を気にして、早退にしてくれてな!ブラック企業の癖して珍しいと来た笑」
「確かに、いつも聞く話からは想像できないな。」
「今日は早めに帰ったし、久々に夜ご飯を作ってたわけだ。」
「カップラーメンの親父が、珍しい……。」
「バカにするなよ!!料理だって私作れるもん♡」
「だから、オカマモードやめろって。嬉しくないわ。」
「ノリが悪いなー、手を洗ってこい。もう飯にするから。」
「ああ。」
今日も夜飯を作るのかと落胆していたのに、親父がまともに料理なんて珍しい。
何かあったのか?
「え、これ親父が作ったの?」
「あぁそうだ!男は黙ってカツ丼だよな!!」
「なんじゃそりゃ。あと、今の時代的にはダメだろそれ。」
「知らんのか??しかも後半のは関係ないだろ!!うちはうちだ!!」
「わかったよ。」
「じゃ、食べようか!!」
「いただきます。」
「いただきます!」
ん、これ美味いな。
親父がこんなの作ったのか。
中々親父もやるな。
「どうだ〜うまいだろ!!」
「親父には言いたくなかったけど……うまい。」
「何だよ言いたくないって!!でもよかったよ。これ作るの苦労したんだからな。」
「味で伝わるよ。レシピはなんなの。」
「これは死んだ母さんがメモしてたレシピ何だ。書いてあっても作るのが難しくて、ユウトに食べさせれる日が遅れてな。待たせたな。」
「そんなのがあったのか……母さんの料理は食べたことはなかったからさ。こんな味だったのか?」
「あぁ、けどやっぱ母さんには敵わないよ。あの味は母さんにしか出せない。」
「親父ありがとな。僕のために。」
「何言ってんだ!!息子に喜んでほしいことをするのはオヤジの務めだろ!!」
「けど、パンツ弁当は勘弁してくれ……」
「えー!!あれに二時間もかけたのにな〜。」
「二時間!?なにに時間かけてんだよ!!」
「まあまあ。今度からは気をつけるよ。にしても最近明るくなったな。」
「今日友達にも同じ事言われたよ。」
「けど、よかったよ。すごく暗くて、俺にはどう励ませばいいか分からなくてさ……ごめんな!頼れん父さんで。」
「そんなことないよ。」
「まぁ、おれにできることはするからさ、何でも相談してくれ!」
「ありがと……親父らしくないな。」
「ユウトと最近話せてなかったしな。まぁこんなことは思ってる程度には覚えといてくれ。じゃないと父さん泣いちゃうよ〜。」
「嘘つけ!!なかないだろ。」
「チッ……バレたか!」
「バレるわ!!」
「まぁいいや、食べよう親父。」
「そうだな、冷めちまうしな笑」
このカツ丼が母のか……。
親父はこのために僕のために頑張ってたんだろうな。
……親父はあんなに心配してたのか。
なんか申し訳ないな。
僕は親父になんもしてあげてないのに。
また今度親父に何かしてあげよう。
花をまずは買ってみようかな。
親父が喜ぶかは別だけどさ。
なんか今のまんまでもいい気がする。
上手く言っている気がする。
楽しかったし、学校にもいきたいと思ったし、親父がどう思っているのかっていうのも知った。
不思議な気分だ。
あの夢のミユが言っていたことが正しい気がしてくる。
確かにミユはあの巻き戻る世界で、一言だけを放って消えてしまったんだ。
きっとどこかで生きてる……生きているよ。
ミユは僕の幸せを願ってくれてるんだ。
少しだけ、ミユとは距離を置いてみよう。
少しだけ、忘れよう。
収まったら、また思い出そう。
そうだ、それで大丈夫。
ミユは僕の幸せを願ってるんだから。
今楽しいし、もう頑張ったよ。
大丈夫。
きっと大丈夫。
不意にポケットに入った携帯が振動する。
瑛太からだ。
今から桜が綺麗な河川敷に来れるか?の連絡だった。
多分思い出あるあの河川敷のことだろう。
僕はもちろんオーケーの返事をして、食事を再開した。
「なんか僕あいつに借りでも作ったっけ?」
あいつ、明日も学校があるのにどうしたんだろうか?
あいつになんかやらかしてたらちゃんと謝ろう。




