第30話
「……てなわけで交通には一層気をつけるように!!じゃ帰っていいぞ。」
クラスのみんなが一斉に動き始める。
カバンを背負いながら、じゃーなーとかカラオケいこーぜとか四方八方から聞こえてくる。
そういえば瑛太が時間あるかって聞いてたな。
瑛太は……アイツいなくね。
まぁいっか。
アイツからなんか連絡くるだろ。
今日は疲れたし、帰ろ。
にしても今日は長く感じたな。
戻ってきたときからハプニングだらけだし、今日は久々に瑛太以外の友人とも話せて遊べたし、いつもより動いた分疲れたし、濃厚だった。
……今日は楽しかった。
明日も学校へ行きたいって思えるくらい、楽しかった。
“まもなく1番線に……”
本当に久々だ。
どこからこんな気持ちが出てきたんだろう。
……わからないな。
“ドアが閉まります”
最寄りまで寝よう、たまにはいいよな。
………………
「ユウトくん!!」
「何だよ、いつもよりもテンション上がってるな。」
「私ね、今日ユウトくんが幸せそうに見えたの!!」
「見てたのか?」
「うん、遠くからみてたんだ!!」
「こっちにはこないのかよ笑」
「これないの!!でさ!!幸せなユウトくんでいてほしいから私の事はもういいの!!」
「……は?何言ってんだよ!!」
「そんな怒んないでよ!!だってユウトくんだって見たでしょ!!私の姿!!」
「……みたけど、それとこれ、」
「聞いて!!今のままだったらまた会えるの!!進めたら私とは会えなくなっちゃうの、だから今の環境を楽しもうよ!!」
「だから、何言ってんだよ!!」
「だからね、私の事覚えててほしいけど、しばらく忘れてほしいの!!」
「お前……何言って、」
「私ね、これ以上ユウトの苦しい姿見たくないんだ。」
「……。」
「だからさ!!少しだけでもこの環境が楽しいって思えるなら、私応援したくて!!」
「はぁ……。」
「だからね、このままでいいの!!このまま楽しい状況のままでいいと思うの!!」
「いいのか、それは?」
「私のお願い聞けないの!?」
「そういうことじゃないけど……。」
「聞いてくれる……、」
「……わかったよ。そうする。」
「よかった!!私の幼馴染ユウトくんはやっぱり私に優しい!!嬉しい!!」
「ならよかったよ。僕はそれがいち……」
…………
……次は五百羅漢、五百羅漢、お出口は……。
ここは……電車か……悪い夢を見た。
なんなんだあの夢はめちゃくちゃじゃないか。
本当に……あれ、泣いてる、僕はどれだけ追い詰められているのだろうか。
電車で人前で泣くことなんて今までなかったのに。
さっき電車で見た夢のせいだ。
あんな事ミユは言わない。けどミユがあんな事を言ってくれたら僕はどれだけ楽になるのかな。
僕は悪くない……悪くないんだ。
あぁ、ずっと最悪な目覚めだよな。




