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錆びた秒針、逆時の梅雨  作者: 夜澄コウ
第四章 変え難い分岐点
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第25話

田舎は助かるな。夜は人がいないから気ままに歩けるし。


最近ずっと気を張ってたから、鈴虫の音や妙にじめじめしたこの感じが心地良い。


ゆったりするのも久しぶりだな。


すこし顔をあげてみようかな。

月の動きが肉眼で判断できる。

いつもとは逆の向きに動いている。


はぁ……結局、親父に対してはあの行動が正解だったのかな。


前回の僕はあの場で感情的な言葉で今まで育ててくれた親父の事を拒絶した。


確かに、親父の言葉はひとつひとつが僕にとってはとても刺さるし、傷つく。

今回も言いそうになったけど、瑛太のバフのおかげでぎりぎり耐えれた。


瑛太絡みだったけど、学校にも行けてよかったと思う。

前回のこの日は、学校なんか行かずにお墓参りに行っていたからな。


少し、心残りが減った気がするな。


……こんな状況だからそうやって気軽に言えるのかもしれないけどさ。


「不思議だな。」


起こることは全く変わらないのに、僕がいるだけで、少し変えるだけで状況は変わる。


ミユがいた日々のときも、もう少しだけ周りや色んなところを気にかけていればあの事故は起こらなかったのかな。


そんなの、あとになってからなんとでも言えるんだからさ。


なに寝ぼけたこと言ってるんだよ。


はぁ……最近ため息を吐きすぎだ。




この時間が戻っている間は何もすることはないし困るけど、嫌いではない。


時間が進めば新しいことも起きるし過ぎたらどうしようもないし、何もできない。


けれどこの世界はその真逆を生きている。


自分のペースで好きなようにできるんだ。


絶え間なく新しいことがくる世界よりはマシかも知れない。

……僕にとっては楽な世界かもしれないな。


まぁ、ずっと続いて欲しいとは全然思わないけどね。

けれど、このままだったら続いてもいいかもな……。


「まだか……」


あと少しっぽいけど、やっぱ地味に長いな。


「そういえば……。」


裏ポケットからあるものを取り出す。


洞窟でみつけた”ミユって書かれたヘアピン”だ。


あんな場所に置いているはずがないのになんでこれがあったんだ?


それだけが引っかかるんだよな。


なんでだろ……


周り、赤く染まってきたな。

もうそろそろ夕方がきそうだ。


気づけばコンビニの駐車場だ。


「また一人の世界に入ってな。」


僕の悪い癖だよな……


…………!?



コンビニの目の前にまできたのに。


……また問題発生だ。


ドア問題……しかも今度は自動式だ。


人が通った隙を狙おうとさっきからタイミングを見計らってみる。


「いや、こんなの無理すぎるって。」


だって、閉まるスピードが人を潰す勢いだもん。


この作戦は中止だ。

こんな無策で通ろうとしたのが間違いだ。


「にしてもどうするか……」


ここのコンビニはドア付近でタバコを吸う人が多い。

だから、あまりこの場所には居続けたくはない。


……あ、何か置いてみるのはどうだ。


うんと……これとかどうだ?


近くにあった小さい紙パックのゴミを自動ドアに置いてみる。


すると、自動ドアは開きっぱなしになった。


よし、成功……


次の瞬間、光の速さでゴミを蹴り飛ばす客たち。

開かれた扉はまた閉じこもってしまう。


「一瞬しか隙がないのか……」


出入りする客一回やめてくれないかな。

タイミングってのがあるのに。


しかたない……その一瞬に賭けよう。


またその辺にある弁当容器のゴミを自動ドアの前に置く。


……このコンビニ、周りにゴミが多いな。


パルクールでもするかのように、すばやく中へ入る。


……ようやく入れた。

入るのにも一苦労だ。


さて、何を食べようか。

菓子パン?サンドイッチ?

けどやっぱり、おにぎりがいいな……


「………ガ!!」


あぁ……何が起きたんだ。


肩を押さえこんでて……寝転んでる?


轢かれたのか?ってぐらいの衝撃が……あ……めっちゃ痛い。


「……はぁはぁ。」


今、何かが僕に当たったけどなに……


……人?


まさか人に当たっただけで?


……嘘だろ。


人であれかよ。


じゃあ……このコンビニめっちゃ危険がいっぱいってこと?


まずい。

これは盲点だった。


コンビニなんて狭いし、人が行き交うし、当たるを前提に入っているようなもんじゃないか。


もっと検証しとけばよかった……。


とりあえず、早く用事を済ませて出ていくことだ。


「怖……。」


コンビニの端っこに背を向けるようにして慎重に立ち上がる。


ここからが大変だった、菓子パン、ご飯ゾーンにたどり着くまでまさにゲームのダンジョンのトラップを避けるみたいなことをたくさんした。


となりにどれだけ、小型のトラックが通ったんだか。


「ご飯ってだけでどんだけ時間かけてんだよ……」


けど、やっと着いたぞ。


散々迷ったが僕はウインナーパンとベーコンマヨネーズパンとたまごサンドとシーチキンマヨネーズを2つを財布につけている折りたたみ式のエコバックに入れた。


ちょっととりすぎかと思ったが、

いつまでこの状況かわからないんだ、持ってくことに損はないと思う。


お金を払うって……どうしよう。


財布には……7000円ぐらいある。

けど……いったい誰に払うんだ?


「これでゆるしてください、すみません……。」

僕は大体の計算で、1500円ぐらいだったので2000円をレジに置いてこのコンビニを出た。


初めて釣りはいらねー的なことをしたと思う。






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