↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錆びた秒針、逆時の梅雨  作者: 夜澄コウ
第四章 変え難い分岐点
PR
23/50

第23話

「は?」


……いや、こんな……なんだこれ。


「親父!!なぁ、親父!!」


返事がない、というかそれ以前に何言ってるかまったくわからん。


「あー…!!もうこれ以上……はぁ。」


ほんとになんなんだよ、この状況は。


親父が動画の逆再生みたいにどんどん巻き戻っていく。


親父は誰もいないのに怒鳴っている顔をしている。


喧嘩のシーンか……。


投げられたお皿の破片が元の綺麗なお皿に復元&空中を舞って親父の右手にジャストフィットしてるし。


……駄目だ。また頭痛がしてきた。


うんざりなんだってこういうのは。


だって、こんな漫画でしか見たことない光景だ。

ほんとにどう受け入れろってんだ。


やっと親父と和解したのに……

洞窟の件もまだ整理ついてないし……


あーもうお腹いっぱいだって。


そもそもこんな世界だからいけないんだ夢なら覚めちゃえよ。


「いでっ……。」


頬をつねったら覚めると思ったんだけどな。

こんだけリアリティあるのにさすがにないよな……ただ痛いだけじゃん。


やっと、一人の時間がなくなってすこしホッとしていたのに、またこの孤独に逆戻りか……



孤独……勘弁してくれ。



……ん?やけに静かだな……ってもう親父いないじゃん。


目の前でご丁寧に色んな行動をしていた親父が多分家を出ていったらしい。


まじでさ……僕にひと息つける時間はないのか。


いや、落ち着け。

どうこうして解決できそうな問題じゃないんだ。

深呼吸だ、深呼吸。

「すぅ……はぁー……。」


困ったときは外の景色をみよう。

親父が電気消してったからこの部屋なんか暗いし。


シャーー。


ーーシャ。


「え?」

カーテンもとうとう反抗期がきたのか?

もう一度やってみたが、結果は変わらず。


「まじで、なんで戻るんだ?」


もしかして、カーテンも対象なのか?

都合よくいかないな……いや、もういいか。


仕方なくサイドのカーテンの層になっているところから窓に向けて入り込む。


「……うん、あかいな。」


窓の向こうの景色は今日の夕方に瑛太と見た、茜色に染まった夕方の景色そのものだ。

太陽は朝日のように下から顔を出してきている。


毎日みる柴犬と散歩しているおばさんも、自転車らしき物に乗っている人も全てが後ろに戻っている。


尋常じゃない、狂った速度で。


だからこの部屋、家だけではないっぽい。

僕の見える範囲はとりあえず全て巻き戻っているということはいやでもわかった。


まぁ、疑いをかける僕のほうがおかしいか。

親父が後ろで倍速で歩いているしな。

ドッキリにしては高度すぎるし親父だったらコケるしな。


いろんな意味で。


どこまでこの現象は続いているんだ?

あぁ……頭痛がひどくなってきたな。


自分だけ取り残される感覚はもう十分味わったと思ったのに。


はぁ……。


もうこういうおかしなことに慣れたからか、こういう状況でも冷静に物事を考えられるようになってきたな。

それとも疲れてるからなのかな……。


「……どうする……か。」


この現象は僕では無力すぎるし、これからどうしようか……。


「……飯だな。」


昨日からそういやほぼ食べてなかったな。

時間が戻ってるからあんまり意識してなかったけど。

今日だって昼に混んでる購買で何とか買った焼きそばパン1個だけしか食べてないし。


夜は親父と喧嘩してたし、すっかり忘れてた。


……まぁ、こんな状況だし、家にあるカップ麺でも適当に食べるか。


「にしても、何があったっけ……」


狂ったようにまわる時計の針を眺めながらキッチンへと足を運ぶ。


棚を一瞥してみて、思わず額に手を当てて、ため息が口からあふれてきた。


「あーー……そうだったなーー。」


棚には親父が好きなそーちゃん焼きそばが12個ほど綺麗に並んでいる。


親父、そういえば偏食だったな。

今日とかやっと料理当番を本格的に再開してたけど、前とかは親父、カップ麺にお湯入れて”料理だ!”とか言って当番サボってたしな。


親父……こういう時にいつものあつかましさを発揮してくれ。


まぁ……しかたない。

これしかないんだし。


そーちゃん焼きそばを手にとって慣れた手つきでお湯を入れる準備を済ます。


あとはポットでお湯を沸かすだけ……


「まじか……」


水が出てこないぞ。

元栓がいきなり閉まるわけもないし……。

ここにも影響してるのか……。


あぁ……不自由な世界すぎるな。


はぁ……うまくいかないな。


「あぁーーー。」


リビングにある人を駄目にするクッションめがけてダイブする。


手軽にご飯も食べれないのか。

ほんと困ったな……。


「もう疲れるよーー……。」


久々に疲れるなんて言ったな。

振り回されるのあんま好きじゃないし、むしろ苦手なんだけどな……。


眠いな……


……


…


「ねね!」

        

……なんだこの視点は。


「ユウトくん!あとちょっとで家だね!」


……ミユ?


「ああ。この十字架3つ超えたらだな。」


駄目だ。行っちゃいけない……止めなきゃ


「早くいこう!!」

「そうしよーぜ。」


意思とは別で言葉が……。


おい、止めろよ。


何もかもが言うことをきかない。


次、必ず起こってしまうから、頼む……。



「おい押すなよ。」



ボン。


ビチャ、ドスッ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。