第四話 崇高な食材を作るということ
間引きは大事です。
ルフィアは今回、致命的なミスを犯します。
でもそれも初心者あるある。
可愛く実る、トマトの実。
あとは紅くなるのを待つばかりとなった私であった。
しかし。
待てど待てど、なかなか大きくならない。
ただ、少しずつ紅くなっていっただけだった。
(うーん……全然大きくなってないな………肥料もいいはずなのに……水もちゃんとやってるのに……何が足りないんだろ……)
私は悩んでいたが、知識が全くなかったので、ただ、見守ることしか出来なかった。
トマトの成長具合を。
時折カラスを追い払い、猪襲来に備えて罠を張ったり、とにかくトマトが無事、全部実ることだけを考えてそこから数ヶ月過ごした。
結局トマトが一番美味しい7月末、収穫の時期になっても小さいままだった。
「うーん……まあ、いいや。スパイアさんのところ……何個か持っていこ。」
そういって私は、スパイアさんの住んでいるあの山へ2時間掛けて、収穫した小さなトマトを運んで行った。
そして到着したスパイアさんの家。
訪問して、トマトを食べてもらった。
その感想は。
「………間引きを……してねえな? ……まあ、初心者にありがちなことだが、間引きを忘れるとただの酸味の強いミニトマトになるだけだ。……これでも間食には丁度いいが……お前が目指してるのはこんなもんじゃねえだろ? ルナよぉ……」
「ま、間引き……?? な、なんですか、それ……」
私は意味がわからなかった。
間引きとは何なのか。
多少売れるのは分かってはいても、数を取れればいいじゃないか、と思っていたからだ。
スパイアさんは説明する。
「……わかりやすく言うと『厳選』だな。こういう大きくなる種類のトマトってのは、間引きをしねえと成長しねえんだよ。デカく、な。……大きくなりそうにねえ奴が切られていく。そんな世界だ。トマト栽培の世界ってのは。まあトマトだけじゃねえ。カボチャでも、キュウリでも、実を食う野菜はそれをしなければまともに売りに出せねえんだ。見た瞬間でもそうだが……一発で分かったぜ、食ってみて。間引きをしてねえってことに。」
それを聞いて私はガックリとした。
私は致命的なミスを犯していたのか……私はその事実にただただ、肩を落としていた。
「……けどよ、ルナ……肩を落とす必要はねえ。……最初に言ったろ? 失敗してもいいからやり切れ、ってな。……失敗は成長の糧になる。お前が学べば、いずれいいトマトが出来るさ。勿論、俺もお前に支援は惜しまねえ。……フェミータにお前の作ったやつを売り出すんだろ? だったらよ……立ち止まるな。絶対にな。」
「……わかりました……アドバイス、ありがとうございます……」
「じゃ……この後、街に出てみるか? 俺の職場、連れてってやるよ。」
まさかの提案に私はいきり立った。
「え……いいん…ですか……!? でも……」
スパイアさんは笑った顔をしている。
優しい、オジサンの笑顔だった。
「……お前に期待してなきゃよぉ……そんなこと言わねえぜ? ついてこい。」
そういって、スパイアさんは自宅を後にした。
私はその後を追って行った。
次回、街に出てまさかの人物に会うことになります。
乞うご期待!




