第三十七話 全てを終えてのこれからは
この回含めてラスト3話。
ホント、よくやって来れたよな、と思いますね、連載作品を黒崎吏虎個人が増やしたグダグダがありながらww
ある日の朝のことだった。
この日は夜に降った雨の影響で、まだ少し肌寒かった。
夏なのに。
正直畑仕事はしなくて済むか……と、私は思っていたところだった。
ヒヒーーーーン、という、馬の嘶きが聞こえた。
私はその時思った。
ここまでわざわざ馬に乗ってくるような人物は1人しかいない、と。
「なによ、朝からうるさいわね!! 一体誰が……」
少々ヒステリックになってしまった、と後で私は後悔することになるのだが、それもそのはずで……。
「……私が来ることが不服か? ルフィ。」
よっこらせ、という風に馬からラヴィオが降りてきた。
「……なんでラヴィオがここに!? というか、仕事はどうしたのよ!!」
「厄介ごとが全部終わったから来ただけだ。それに、そこは私の台詞ではないのか? ルフィ。事情は叔父上から聞いて知ったが。」
「はあ!? スパイアさんが……!? ……まあいいわ、お茶くらい出すわ。上がんなさいよ。馬用の倉庫も用意してるわ。」
助かる、と言いながらラヴィオは私の家に入っていった。
私が色々とフェミータの事情を聞くと、エリン王女が追放されたとのことだ。
ただ、ここよりもかなり遠い地方に流刑となったらしく、王族の誰もが消息不明、とのことらしい。
更にはエリン王女が国家転覆扇動事件の真犯人だったとして、連帯責任で家族や従者の人たちも追放となったそうだ。
同情する気もないが、エリン王女は我が儘な性格だったという印象しかないので、怒るような気持ちも湧かなかった。
不思議と、なぜか。
罪をなすり付けられたにも関わらず、で。
「そっかー……色々あったのね、ラヴィオ。」
「ああ……色々あった。この二年……私はあっという間なようで長かったように思う。なぜかは分からないが……ルフィの居ない時間がこんなにも空虚なものだとは思わなんだ。」
「そうだったんだ……私は逆ね。道のりは長かったけど……全部があっという間だったわ。自分で行動して、成果を得て……成長を感じた二年だった。でもラヴィオ、時間ってそういうものじゃない? あっという間に感じても、長く感じても……同じ“二年”じゃない。」
「……ハハッ、相変わらずだな。心配して損をした。」
「何よ、心配って……さっきのスパイアさんの件と何か関係があるの?」
「なに、叔父上から手紙を貰っただけさ。ルフィが悩んでるから背中を押してこい、とな。」
スパイアさんはこのクレイスター村に来てからというもの、私にとっては父親と云うべき存在だった。
私のことをどう思っているかは分からないが、少なくとも“娘”のように思っているのではなかろうか。
「……悩んでいるのはあったわ。でも……もう決まってるわ。今後のことは。」
「……栽培を続けるのか?」
「ええ。そこは好きなことだから……ぶれちゃダメって感じよ。もうフェミータにも自由に出入りできるようになったし、ね?」
「そうか……それなら、いいんだ。」
心なしか、ラヴィオが残念そうな顔をしている。
追放される前の私でも、殆ど見たことが無いような顔だった。
クールで勝ち気な、ラヴィオらしい顔ではない。
「……なによ? しょげちゃった顔してさ?」
「ああいや、すまない。フェミータに戻る気はないんだな……って考えると少し……な。その……何と言えばいいか……」
正直よく分からなかったが、複雑そうではある。
ラヴィオは続けた。
「婚約の復活を……父上からも了承を得たのだが、な。だから聞きたかったんだ。本当はこれを先に伝えるべきだったんだが……私も人が良すぎるな。」
「婚約……」
確かに匂わせていたのはあるが、私が冤罪になった以上破棄されたものが復活するのは自然の流れではあった。
ただまさかここで持ち出してくるとは思わず、私は若干混乱した。
「それでなんだが、ルフィ……お前の畑は国が管理するから……フェミータに戻らないか? 私と婚姻を結ぶ……という条件で。」
私は選択を迫られた。
農業を続けるか、ラヴィオと生活するか……。
ただ、正直に私は両方とも捨てたくなかった。
こんな我が儘が通ることは無理かもしれない、と思い、私は一か八か、ラヴィオに思いの胸をぶつけることにしたのだった。
さて、あと二話になりました。
ルフィアがどうするか、それを書き記したいと思います。
次回のラストは意外すぎる感じだと思うので、最後までよろしくお願いします!!




