第三十二話 勝利の一手
今回はラヴィオ視点。
検察側は私に反撃をしてくる。
証拠を出せ、と。
ならば見せようではないか、その「証拠」とやらを。
事前に裁判官には資料を渡してある。
検察が自ら勝利を手放したようなものだ、私に証拠の提示を求める、ということは。
私は爺やに命じ、検察にも資料を配ることを要請する。
「この資料はルフィアが逮捕及び追放前に残していたノートのページです。……これを見ていただけると、愛国心が綴られているでしょう? これが彼女が転覆を企てていないという確固たる証拠です。」
「しかし……これだけでは分からないのでは?」
「彼女が逮捕された2年前は……突発的な逮捕でした。つまりあったとしても捨てる余裕がなかったし、これを発見したのは1年前……それまで手をつけられていなかったのです。もし反乱を起こそうと企てていた証拠があったら発見されているはずですが、それもない。そして2年前の裁判のプロファイルも全て見させてもらいましたが……あれはルフィア・ヴィスパーダの字ではなかった。つまりでっち上げで彼女は捕らえられた挙句……冤罪で国外追放という重い処分になった、そういう結論に私が調査したところ、そう至りました。」
これでは検察もぐうの音も出ないのは分かったし、これで会場の雰囲気も掌握した。
ここで裁判長が、ざわつく聴衆に「静粛に!」とコールする。
そしてルフィにこう問いかけた。
「被告人・ルフィア・ヴィスパーダ……裁判は一度閉廷と致しますが……最後に何か一言を。」
……まあ、これで勝負は決したも同然だ。
あとはルフィが打ち合わせ通りに行ってくれれば問題はない。
ルフィが前に出る。
「……2年前は恐怖で気が動転していて……無罪だと訴えても信じてもらえなかった、それは事実です……ですが……私は神に誓ってこの国を転覆させようなどと考えたことは一度もないですし……このフェミータ王国を恨んだことは一度もありません……今回もラヴィオ弁護士が動いてくれなければ……一度着いた罪が冤罪に覆るような状況になることすらなかった、だから本当に……私のために動いてくれた全ての人に感謝いたします。言いたいことはそれだけでございます!」
ルフィもこの2年で大人になったな、と私は心の底で感心した。
確かにスパイア叔父上の助力がなければ今のルフィもないだろうし、私は最初からルフィの無罪を信じ続けてきたからこそ、そう思えた。
あとは裁判長含む裁判官にどう響くかだ、そこに全てが懸かっている。
「……分かりました。では、これにて閉廷をいたします。3時間後、またお集まりを。」
裁判は一時解散となり、また3時間後に判決が出るとのことだ。
全員裁判所を出て、私はルフィと控室へと戻っていった。
ルフィはふー、と息を吐く。
私もここまで疲れるとは思わなかった。
緊張はしなかったが、緊張感がやはりあった。
だが思いの外、会場の空気を掌握できたのは救いである。
「……上手くいったな……」
「……ええ。」
「あとは天命を待とう。人事は尽くしたからな。」
「……そうね……私が無罪になるか処刑されるか……次の問題はそこよね……」
「……だといいんだがな……上告も考えなければいけないが……それとこれとは話が別だ……が、検察があのまま終わるはずがないし……どうなるか、だな。」
そんなこんなで三時間が過ぎる。
私とルフィは判決を聞くために裁判室に戻っていったのだった。
次回、判決が下ります。
お楽しみに。




