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「小口径のものでいい」
「幸村」
「はい」
「仁吉を呼べ」
おれは再び仁吉を呼び出した。
「仁吉、今度は大筒を作ってもらうぞ」
「…………」
「但し、従来の大筒とは違う」
この時代のキャノン砲と呼ばれる大砲は、ボーリングの球サイズの弾丸を発射する。破壊力はあるものの有効射程距離は二百五十メートル程度であった。
カルバリン砲というものは砲弾はメロン程度の大きさで、破壊力ではキャノン砲に劣るが、有効射程距離は三百五十メートル程度と有利であった。
「小口径のものでいい」
「…………」
「握りこぶしほどの径で円筒状の弾丸を撃てるように造ってみろ」
「分かりました」
着弾した際に起爆して爆発させる事はまだ無理だが、円筒状の砲弾はミニエー弾で習得済みの技術だから出来るだろう。射程距離を伸ばすため、当然ライフリングを施してもらう。イングランド王国軍の大砲にライフリングが施されているかどうか定かではないが、新式銃の構造を見ているのだから、当然砲でも考えるに違いない。
有効射程距離は小型であるからと、この時代の約二倍、四百メートルから六百メートルを要求した。
さらに大砲にも元込め式を提案した。砲身の後部にスクリューがあり、それを回して砲尾を開け装填する、といった仕組みである。しかし仁吉にネジの概念を説明するのには手間取った。




