「それで、どうなっているのだ?」
幸村はトキから話を聞いていて、おれの事情をかなり分かっているようだ。
「秀矩さまは「聚楽第」で御養生されておられます」
「…………!」
大阪城でのガールズコレクションの後、急に倒れてしまったと言うではないか。
そのまま立つこともままならず、佐助がつきっきりで看病しているとのことであった。
すぐ聚楽第に行く。
おれが消えてからすでに二年近く経つ。佐助とは久しぶりの対面なのだが、
「佐助」
「え?」
なぜか佐助がおれを見て怪訝な顔……
「佐助、おれだ。突然消えたりして、悪かったな」
「あなたは一体?」
佐助はおれの横にいるトキを見ても、知らない他人を見ているようではないか。
「トキ、これは――」
「私は腰元から今はガイドの身体でしょ」
「そうか」
幸村が声を出した。
「佐助にも説明して少しづつ解決していきましょう」
「そうか、分かった」
それにしても影武者とは。
幸村によると、影武者は常におれの側に配置していたとの事なのだが、かなり秀矩と似ているようだ。
しかし聚楽第に居る秀矩の命はもう長くはないだろうと言う。何しろ三歳で亡くなるはずの身体が今まで持ったのは奇跡に近い。
秀矩が二人居る事になるのだが、これは幸村他数名の者のみ知る事実で、いずれはおれが一人秀矩になると、それは内密に決められた。
この日本に外敵が迫る非常時に、為政者の秀矩が亡くなるなどと言う事は有ってはならないのだ。
おれも聚楽第に住み出入りする事にする。前任者? が亡くなった時はひそかに埋葬して、おれだけが表に出ればいい。
写真も動画もない時代だから、直接顔を見ている身近な者しか本人かどうか分からないだろう。影武者でもいずれ本人にとって代わることも可能だ。
「幸村」
「はい」
「それで、どうなっているのだ?」
おれが今一番聞きたいのは、イギリスがどこまで進出しているのかという事だった。




