「トキだよね?」
記憶を失ってあの部屋に帰るのか。
このままこの時代に留まるのか。
それとも、記憶を残したまま元の時代、いや新しい世界に行くのか。
記憶を無くすという事は、トキとの出会いの思い出も無くなる事になる。
じゃあ記憶がそのままで戻る時は、トキも一緒に来てくれるんだろうか?
「トキ」
「なあに」
「あの、記憶を残したままで元の時代に戻るとすると……、その、トキも……」
「一緒に戻ってもいいわ」
「やった!」
ただおれが戻ったとして、その後はどうなる。秀矩は影武者の手にゆだねられる事になるではないか。
「トキ、どうしたら良い?」
「そうね、じゃあ殿が今一番信頼出来ると思う若い人は誰?」
「信頼できるのは幸村だが、さらに若い者と言えば、勝家だ」
ちょっと乱暴だが、勝家を秀矩に転生させてしまえばいい。トキの入れ知恵だった。
「幸村」
「はい」
「勝家を呼べ」
いやも応も無かった。本人が反論する間もなく決行してしまったのだ。
おれはトキと二人だけになり、その時が来て、また周囲の空間がゆがんだ――
「あれっ」
見慣れた部屋で目の前に居るのは、腰元ではなくガイドさんではないか。
「トキだよね?」
「そうよ」
「という事は、おれは部屋に戻って来たんだが、記憶はそのままだ!」
だが、すぐにハッとした。
どうなってる、この時代は、何が変わったんだ?
おれは恐る恐る窓を開け、外を見た。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
途中この戦いはどうしたらいいんだと、迷いながら書いてました。
オスマン帝国の滅亡だとか、イングランド王国の欧州制覇だとか好き勝手に書いてしまいましたが、もちろん他意はありません。




