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「殿のお側に」
トキが面を用意してくれた。おれは竹藪から笹を取って来ると背中に差してみる。これでちょっとおどろおどろしい感じになっただろう。
イングランド軍の連中を少し脅かしてやろうと思ったのだ。
「そういう事でしたら私に任せて頂けますか?」
トキが悪戯っぽい顔で言った。
「どうするんだ?」
「港や船の上空を魔女のように飛ぶんです」
「そんな事が出来るのか!」
おれはまたマストの上に移動して、連中を見下ろしてやると考えていたんだが……
「では、行きます」
「あっ、ちょっと、わあ~~」
おれは空を飛んでいた!
「トキ」
「はい」
これでどんな効果があるかまだ分からないが……
「ムホッ、何処にいるんだ?」
「殿のお側に」
初飛行の印象は、……息苦しい。
だがその時、ものすごい音が響いて来た。
「噴火だ!」
見ると桜島が噴煙を上げ始めたではないか。
史実では一六四二(寛永一九)年四月に噴火している。
「トキ、ちょっと、これはやりすぎ――」
「殿、戻りましょう」
「どうした?」
「この噴火は私じゃありません」
次々とガレオン船の上を飛び回っていたおれは、桜島から立ち上る噴煙を見上げた。甲板からも上を指さし騒ぐ連中がよく見える。
「分かった、帰ろう」
火山の噴火は飛行機に相当影響を与えると言う……




