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「般若の面を用意出来るか?」
鹿児島城方面に向かうと、おびただしい数の住人が逃げて来るではないか。
「幸村」
「はい」
「兵一万を残す。この者達を守れ」
「分かりました」
「勝永、先を急ぐぞ」
「はっ」
鹿児島城は海岸に近い立地で防衛上良くないと、その築城には反対の声もあった。それが現実になった。海からの砲撃に無防備な姿を晒してしまったのだ。
比較的質素な城ではあったが、砲撃は容赦のないものだった。海からの攻撃に反撃出来るはずも無く、ただ逃げ回るのみだった。
「忠恒殿」
「殿」
「御無事でしたか」
「面目ない」
イングランド軍の包囲網をやっと抜け出し、豊臣軍と出会えた忠恒殿はがっくりと肩を落とした。
「いやいやこちらこそ、救援が遅れて申し訳なかった」
それでも薩摩の優秀な鉄砲隊が豊臣勢と合流したのは心強い。とりあえずガレオン船からの砲撃が届かない距離に陣を敷いた。
「殿」
「トキ」
「何か手伝える事はあるかしら」
「そうだな……」
トキが気を使ってくれている。
前回の戦では停泊中のガレオン船に潜り込み、帆に火を付けてやったのだが、今回は相手が多すぎる。数隻の船にダメージを与えてもあまり意味はないのだが……
「トキ」
「はい」
「般若の面を用意出来るか?」
「般若の……」
「そうだ」




