プロローグ編051/【井上 笑媛(いのうえ えひめ)サイト0】/【置換仁術(ちかんじんじゅつ)】3
【笑媛】は、【吟侍】に【後継者/主人公権】を譲渡された時、
「お前さんは、多くの命を奪う運命にあるようだな・・・」
と指摘されている。
【笑媛】は、
「だから何?
こっちにはこっちの正義があるのよ。
貴方にとやかく言われたくないわ。
無理にそれを欲しいとは思わない」
と当時言っていた。
その時、
「まぁ、聞けって。
お前さんは確かに多くの命を奪うだろう。
だけど、それ以上にもっと多くの命を助けな・・・
そりゃ、偽善だと言われるかも知れない。
だけど、それはお前さんが、【置換仁術】を持っていると言う事を無視する事にはつながらない。
【置換仁術】はそれだけ素晴らしい力だからな。
だから約束してくれ。
【置換仁術】は、あんたが【不幸にした数】をあんたが【幸福にした数】を上回った時に改めて、誰かに譲渡してくれ。
それ以外では認める訳には行かない。
それならば、お前さんを例外的においらの後継者として認めるよ。
出来るか?」
と言っていた。
【笑媛】は、
「出来るって言ったらくれるの?」
と聞くと、
「あぁ、約束だけじゃ駄目だから、おいらの方で、譲渡の条件を設定し、その様にする。
【答えの力】って言う、答えを余所から持ってくる力をおいらは持っている。
その力で、強制的にさせてもらう。
言っておくが、【不幸にした数】ってのは【殺した数】じゃねぇからな。
【殺した相手】には仲間や家族が居るはずだ。
少なからず、【殺した相手】を失った事で涙する者も居るだろう。
そう言う連中もカウントされるからな。
【幸福にした者】も同様だ。
【幸福にした者】が嬉しいと喜ぶ者も対象になる。
ただ、【殺した相手】の不幸を悲しむ者は多くなりがちだが、【幸福にした者】の回りの者は近しい連中以外はほとんど嬉しく思わないものだ。
だから【不幸にした数】の方が増えやすい。
つまり、殺す相手が多くなるほど、幸福になる者を増やすのは容易な事ではなくなっていく。
途中で降りる事は許されない。
【後継者】として資格が無くなれば大きな不幸がお前さんを襲う事になる。
それは不幸の割合が多いほど、大きくなる。
無事に引退したけりゃ、【幸福】の割合を増やしてからすること。
そして、お前さんの【後継者】にも同様の事を伝える事。
【置換仁術】が【希望の光】になるか?
それとも【呪いの産物】になるか?
それはお前さん次第だ。
それでも出来るか?
これは脅しじゃない。
予告だ。
出来なければ非情な結果が待っている。
それでもやるか?」
「やるわ。
やってやるわよ。
私の復讐に貴方の【後継者】としての【力】は役に立つ。
だからどうしても欲しい。
そのための条件ならいくらでも飲んでやるわ。
何か施したいのでしょ?
やったらどう?
やったら、私が【後継者】の1人って事で良いのよね?」
「あぁ。
後戻りは出来ないからな」
「くどいわ。
何度も言わせないで」
「わかった。
【答えの力】・・・」
と言う話になり、【笑媛】は、正式に【芦柄 吟侍】の【後継者】となっていたのである。
【笑媛】は、
「後悔なんて無いわ。
私が望んだ事だもの・・・」
とその時つぶやいていた。
【吟侍】の言葉の重さは十分に理解しているつもりだ。
【後継者】としての資質が疑われれば、破滅の道が待っている。
それはかまわない。
世界で唯一愛した男性を失っている彼女にとって、それ以上の【絶望】などない。
使えるものは何でも使う。
それで、愛した男を殺した15名?とその関係者全てを不幸にしてやる。
その決意だけは変わらなかったのだった。
彼女は時々、鬼の形相になる。
それは彼女の中に、絶対的な復讐心が渦巻いているからである。
彼女の復讐人生は始まっている。




