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(ファーブラ・フィクタイズム4)【エーウェントゥス・アウディーティオ】プロローグ編  作者: 羽絶 与鎮果


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プロローグ編040/【田村 写樂(たむら しゃらく)サイト0】/写樂の事件簿6

「すみません・・・

 これをいただけないでしょうか?」

 女性が商品を買おうとしている。

 それに対して、

「おい、呪われた女が来たぞ・・・」

「ちっ・・・

 あっちへ行こうぜ。

 殺されちまうよ」

「あぁ、不幸が移るよ。

 触らぬ神に祟り無しだ」

「全く、何でここに来るんだろうね。

 迷惑な話だよ」

「消えてくんないかな・・・

 人殺しがっ・・・」

「こっち来んなよ。

 この元凶がっ」

 と陰口を叩かれている。

 店の主人も、

「もう、来ないでもらえるか。

 あんたが来ると商売にならないんだよ」

 と迷惑がっていた。

 街全体が彼女を拒絶している。

 そんな雰囲気だ。

 結局、女性は商品を買えなかった。

 それを見かけた【写樂】は、

「済まない。

 これをいただけないだろうか?」

 と言って、女性が買おうとしていた【商品】を買い、女性の後を追いかけた。

 町外れの人気の無い場所で女性を見つけ、

「あ、居た。

 もし・・・これを買いたかったのでは?

 自分が代わりに買ったので、もし良かったら、買っていただけないでしょうか?

 自分が買った中古品になるのでお代は割り引かせていただきますし・・・」

 と伝えた。

 女性は、

「私と関わると不幸になりますよ・・・

 最悪、死も・・・」

 と言った。

 【写樂】は、

「街の人達が言っていた事ですか?

 もし、良かったら事情をお聞かせいただけないでしょうか?」

 と伝えた。

 【写樂】が見ても他の者が見てもこの女性はかなりの美人だ。

 スタイルだって良い。

 物腰も申し分ない様にも見える。

 とても街の人達が煙たがる様な女性には見えない。

 女性は、

「いえ・・・

 貴方は良い人そうなので、私は貴方を死なせたくありませんので・・・

 失礼します・・・」

 と立ち去ろうとする。

 が、それを【写樂】は静止し、

「そんな、今にも泣きそうな顔をされている女性を放ってはおけませんよ。

 こう見えて、少しは実力には自信があります。

 良かったら力になりますよ。

 まずは話してみてください。

 ご依頼などがあるのであれば、お話を聞いてから判断させていただきますから。

 自分にも出来ない事はありますので」

 と優しい顔で伝えた。

 女性は渋々、話をする事にした。

 女性の名前は、【蓮見(はすみ) 汐音(しおね)】。

 すぐに気付いた事だが、彼女には【影】が無い。

 【異端都市伝説】の1つ、【影殺姫(えいさつき)】の1名になってしまった女性である。

 【影殺姫】・・・実在する【都市伝説】としてこの辺りでは有名な話であり、男性が恐怖に震え上がる伝説でもある。

 それは見目麗しい女性が、自分を襲ってくる自分の影から毎晩守って欲しいと依頼してくる。

 一番濃度の濃い影を倒してくれた方と結婚してくれると言う言葉に釣られてたくさんの男達が群がる事になる。

 そして、男達は、その美しい女性の為に、番をする事になる。

 そして、【赤い月】が出る晩になると、女性の7つの【濃度】の影が女性を殺しにやってくる。

 男性達はその影と戦うが、影達は相当強く、皆殺しにされてしまうと言う話であり、その対処法は、【影殺姫】となってしまった見目麗しい女性を皆殺しにすれば、解決するとされている。

 が、法律改正で、【影殺姫】と言えども無闇に殺してはならないと出たため、【影殺姫】の一部が残ってしまった。

 彼女はその1人である。

 【影殺姫】の影は、男性を倒す度に、【成長】すると言われている。

 一番弱い、一番濃度の低い【影】さえ倒されていない彼女の影は、もはや達人レベルまで成長していて誰も手を出せないレベルに到達してしまっていると言う。

 【影殺姫】の中でもとびっきりの美人であった彼女を助けたいと思っていた男性はかなり多く、その中には達人クラスも相当混じっていた。

 それらが倒されたと言う事は影もそれだけ成長してしまった事を意味しており、もはや誰も手が出せないと言う状態になってしまったという。

 だから、もはや誰も彼女を助けようとは思わず、街から煙たがられていると言う訳だった。

 【写樂】は、

「事情はわかりました。

 自分で良ければ協力させていただきます」

 と言った。

 【汐音】は、

「お一人でですか?」

 と尋ねた。

 【写樂】は、

「いけませんか?」

 と首を傾げたのだった。

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