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(ファーブラ・フィクタイズム4)【エーウェントゥス・アウディーティオ】プロローグ編  作者: 羽絶 与鎮果


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プロローグ編039/【田村 写樂(たむら しゃらく)サイト0】/写樂の事件簿5

 敵は【家系図】を見られる事を極端に恐れていた。

 家系図に何か秘密がある。

 【写樂】はそう考えた。

 彼は【婦人】の話を思い出す。

 そこで気付いた。

 この家には、【自転車】が【4台】置かれていた。

 3人家族なのに4台?

 1人が2台以上、使っていると言う事か?

 まぁ、世の中には変わり者はたくさんいる。

 自転車を複数台くらい持つ者は変わり者でなくても居るところには居るだろう。

 【婦人】は、【夫】と【血のつながった子供】が【犯罪者】になる事を恐れていた。

 そこには、嫁に来ていた【婦人】は含まれていない。

 つまり、【夫】と他人であれば、【一族】の【血の洗脳】は行われていないと言う事を意味している。

 この家の中に、【血のつながっていない家族】が居たとしたらどうなるか?

 それならば、【自転車】が4台あっても不思議じゃない。

 【婦人】の年齢から考えれば、【子供】は、20歳以上であっても不思議じゃない。

 家系図が更新され無くなって15年間と言っていたが、家系図とは家族が増えてすぐに更新されるものじゃない。

 特殊なインクを使っているのならなおさらの事だ。

 すぐには一族全員分の家系図が直されたと言うのは考えにくい。

 子供が増える度にそれを行っている訳がないのだ。

 【婦人】と【夫】が恋仲になって子供が出来てと考えると20歳前後の子供が出来て居ると考えても不思議な話ではない。

 その【子供/息子】に将来結婚を約束した【彼女】や【婚約者】が居たとしたら?

 結婚を考えて、【婦人】の家で住んで居たとしたら?

 その【彼女】か【婚約者】が実は、一族のスパイだったとしたら?

 【婦人】の情報は筒抜け。

 【婦人】が【写樂】に相談したと知れば、事を起こしてもおかしくない。

 そう言う筋書きも考えられるのでは無いだろうか?

 他にも【養子】を養っており、その【養子】がスパイだったと言うオチなども考えられる。

 つまり、4人目の家族が居るか居ないかで、結果が変わってくる。

 そもそも、【婦人】は怯えて震えている【夫】と【息子】を放って置いて外出など出来るのか?

 つまり、外出しても問題ないと思える第3者が居ると考えても不思議じゃない。

 そう、考えた。

 そうやって、少ない情報から推測できる事を探し対応して行った。

 結果として、推測は当たらずとも遠からずで、【婦人】の遠縁の親戚だと偽装して、【婦人】に取り入って受験のために居候という形で家に住んでいた、【息子】と同い年の【女】が一族のスパイであり、【婦人】に化けて【写樂】に襲いかかって来たのだった。

 家には縛られていた【婦人】が床に仰向けになっており、

「騙されていた・・・

 人の親切心を・・・

 親戚だと思っていたのに・・・

 全部、ウソだった・・・

 悔しい・・・」

 と涙していた。

 【写樂】は、

「ご無事でしたか?

 申し訳ありません。

 一緒に来るべきでしたね。

 自分の失策です。

 お詫びいたします」

 と謝罪した。

 そしてそこから【反転攻勢】。

 【写樂】は、【家系図】の赤字を墨で塗りつぶした。

 彼は【墨汁】を持ってきたのだ。

 【写樂】は、

「申し訳ありません。

 家系図を塗りつぶしてしまいました。

 ですが、こういった物は力を持っています。

 【赤字】が【上位衆】で【黒字】がそれ以外の一族と考えると、黒で塗りつぶせば、【力】は失われる。

 そう、考えました。

 それを示すかの様に、文字以外の部分は下地の茶色がかった白になっていますが、【赤字】は【黒く】染まったまま、戻りません。

 恐らく、【上位衆】としての力は失われた物だと考えます。

 大変でしょうが、この家を引き払って別の場所に移り住めば、追っ手からは逃れられると考えられます。

 これは、【呪術】を使った、【一族】の【拘束術】だと思われます。

 騙されたと思って、この家を離れる事をお薦めしますが、どうされますか?」

 と言った。

 【婦人】は、

「はい。

 騙された気持ちになって試してみます。

 この度は本当にありがとうございました」

 と涙したのだった。

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