プロローグ編029/【相模 天傑(さがみ てんけつ)ルート/桃辻 蝶吉(ももつじ ちょうきち)サイト0】/次からの声
【蝶吉】は、【依代人形】を彫り続ける。
【天狐】は、
『あんたも懲りないわねぇ。
そんなに黙々彫り続けて、何か良いことあるわけ?』
と言った。
【蝶吉】は、
『頼まれたら作らないと。
それが終わってからじゃないと次に行けないです』
と答えた。
『損な性分ね。
人生損してるわよ、あんた』
『そんな事ないです。
喜ばれたら嬉しいですよ』
『出たわね、ピュアボーイ。
大儲けとか出来ないタイプね』
『そんな必要ないです。
明日のご飯が食べられればそれで満足ですよ、ボクは』
『欲が無いのね。
超騙されやすそうだし、心配でほっとけないわ』
『ありがとうございます。
守っていただいていつも感謝してますよ』
『こっちも仕事だからね。
使命として与えられた仕事はしっかりとさせてもらうわよ。
私の仕事はあんたを悪意から守ること。
純粋に物にむかえる様にね。
必要最低限は守ってあげるから一応、安心しておきなさいな』
『はい。
ありがとうございます』
と言う話をしていたら、次のエピソードのきっかけになる出来事が発生した。
「失礼・・・
現在、【芦柄 吟侍殿】の【後継者】の権利を持っておられる方ですね。
お名前、お聞きしても宜しいですか?
私は、次の【主人公権】を持つ者に関わる者。
【ニナカノン・ジェニックの虚像】と申します。
貴方様がどなたかに譲渡された時、私はそのどなたかと縁が出来ます。
私にも次の方の選出・・・
関わらせていただけないでしょうか?」
と言う声が。
目の前には誰も居ない。
まだ、存在していないのだ。
声だけが響いてきた。
【蝶吉】は、
『えと・・・
どちらに居るんですか?
姿が・・・』
【見えないです】と言いたかったが、その声は、
「私はまだ確定した存在にはなっておりません。
現在は貴方様が、【芦柄 吟侍殿】の【後継者】の立場になっておりますので私は存在出来て居ない状態です。
貴方様が次の【後継者】に権利を譲渡されて初めて、私は存在し始めます。
ですので、今は声のみの存在となっております。
この声も仮のものですので、譲渡が確定となった時、この声もまた変わるでしょう。
ですが、私は自分で選びたいのです。
私と運命を共にする【後継者】を。
どうか、聞き入れてはいただけないでしょうか?」
と言った。
【蝶吉】は、
『あ、良いですよ。
一緒に選びましょう』
と答えた。
【天狐】は、
『即答かい。
全く、海のものとも山のものとも付かないものに対して、全く警戒心が無いんだねぇ。
その部分、譲渡が終わったら、ゼロから鍛え直さないと駄目そうだね。
まず、疑う事を覚えさせた方が良いみたいだねぇ』
とツッコんだ。
『相手を信じる事は大事ですよ』
『あ、そ』
『自分が信じて初めて相手も信じてくれると思います』
『知った風な事を言うんじゃないよ。
騙そうってやつは腐るほど居るんだからね。
迂闊に信じると痛い目みるよ』
『それでもボクは信じたいと思います』
『あんたって子は・・・』
と言う話になった。
結局、【次のニナカノン・ジェニックの虚像の声】と共に、次の【後継者】を選ぶ事にしたのだった。
候補者は何名か居る。
その中から、【蝶吉】が譲渡したい相手を選び、【主人公権】を渡すという事になる。
ただ、【純粋培養】で育った【蝶吉】に相手の善し悪しを見抜く目は育っていない。
そこで、【天狐】と【次のニナカノン・ジェニックの虚像の声】でそれを見定めようと言う事になったのだ。
幸い、【蝶吉】と【天狐】は化けられる。
何かに化けて、その候補者達を見て回ろうと言う事になったのだった。




