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(ファーブラ・フィクタイズム4)【エーウェントゥス・アウディーティオ】プロローグ編  作者: 羽絶 与鎮果


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プロローグ編028/【相模 天傑(さがみ てんけつ)ルート/桃辻 蝶吉(ももつじ ちょうきち)サイト0】/【依代何形彫り師(よりしろかぎょうほりし)】

 純粋無垢な見習い【主人公】/【蝶吉】の100日限定の【主人公時間】が始まった。

 【蝶吉】にはサポートとして、【化け女狐】の【羽衣(はごろも) 天狐(てんこ)】がついている。

 【蝶吉】は、【仏師】として【仏像】を彫ったり、他の【立像】などを彫ったりする【彫刻家アーティスト】として頭角を現していた。

 まだ幼いと言う事もあり、【アート作品】としてはそれ一本だが、とても5歳児が彫ったとは思えない出来映えで欲しいと言う者もかなりいる。

 彫るスピードも人間のものを遙かに超越していており、【超絶技巧】の【彫刻】を日に1000体作った事もある。

 それは、【分身】が使えるからである。

 最大、1000体にまで分け身が出来るので1000の芸術を1日で作る事も可能となっている。

 分身出来るだけでなく、作業がもの凄く早いのだ。

 例えば、部分的に【阿修羅像】の様に腕を6本に化けたりする事により、作業が早くなるのだ。

 その腕を買われたのか、【蝶吉】には【人外】の【何か】から依頼される事も多い。

 お代は【はっぱ一枚】なので、頼もうと思ったらほとんどの存在が依頼出来るのだ。

 また、【他者】から【はっぱ】を1枚もらう事により、【蝶吉】は、【変化】のバリエーションが増えるのだ。

 だからやっているのだが、最近、【人形系】の【存在】から、

『私の顔を彫ってください』

『俺の身体を作ってくれ』

『腕を修復してね』

『武器を作ってくれ』

『顔をもっとスマートに作り直して欲しい』

『模様を彫ってほしい』

『もっとアーティスティックに』

 などと注文される。

 なにやら、【人形系】の【存在】は、【依代人形(よりしろにんぎょう)】と言うのになりたい様だ。

 【依代人形】とは、何かを【降臨】させたり、【憑依】させたり、閉じこめたりする【人形】の事を指す。

 それは何故なりたいと思われているのか?

 それは、この世界よりも遙かな高みにある世界では、【最強のクアンシリーズ】が【依代人形】の様な物を持っていると言ううわさが広まり、こぞって、【存在】が【依代人形】などに【存在帰化】したいと思うようになっているのだ。

 人間の世界にもそれは例えられる。

 【世界的な有名人】の真似を多くの人間がしたいと思っている。

 それにより、少しでも【世界的な有名人】に近づきたい。

 あるいはあやかりたいと思っているからだ。

 それと同じ事が起こっている。

 【最強】と名高い、【クアンシリーズ】が【依代人形】の様な物を集めているのであれば、【所有物】になりたいと思う者が多いのだ。

 だから、【強者】達はこぞって、【依代人形】になり、【最強のクアンシリーズ】から気に入られる様に、なるべく【精度の高い】形を目指すのである。

 そこで重宝されるのが、【人形彫り師】の様な存在である。

 ずば抜けた、【彫刻】の才能を開花させている【蝶吉】に声が掛かるのも無理のない話であった。

 ただし、断っておくが、【優れたデザイン】の【人形】となれたからと言って【最強のクアンシリーズ】になれる訳ではない。

 【依代人形】としての【力】。

 つまり、【中味の精度】も当然、無ければ見向きもされない。

 【美しい】だけでは駄目なのだ。

 【実】が伴っていなければ、意味がない。

 それがわからない【存在達】が見かけだけを気にしている。

 【最強のクアンシリーズ】に見初められれば無敵。

 そんな甘い考えがそこにはあるのだ。

 だが、そんな甘い話は無い。

 現実は厳しいと言える。

 夢を見るのは勝手だ。

 だから、否定される事は無いが、夢はそんなに簡単には叶わない。

 お手軽に叶ってしまう夢など大した夢ではない。

 極一部の選ばれた者だけが叶う夢だからこそ、ほとんどの存在がその価値を認めているのである。

 そう言う事なのだが、今夜も【蝶吉】の前には、

『顔を彫っておくれ。

 【はっぱ一枚】でやってくれるんだろ?

 これがお題だ。

 綺麗に彫ってくれよ』

 と頼み込む存在が列をなしていた。

 【蝶吉】は、

『承りました。

 少々お待ち下さい。

 今、彫りますね』

 と気やすく頼みを聞く。

 【蝶吉】には時間がない。

 100日しか今回は、【主人公】としての時間が与えられていないのだから。

 だが、【蝶吉】は、

 ショリッ・・・

 ショリッショリッ・・・

 ショリッショリッショリッ・・・

 ショリッショリッショリッショリッ・・・

 と黙々と彫り続ける。

 これだけの事をすれば、【アートモード】(芸術や発明をベースとしたモード)か【オールマイティーモード】(全ての要素をベースとしたモード)の【プロクエスター】で上を目指せそうな気がするが、たった100日ではたかが知れている。

 だから今回は挑戦しない。

 あくまでも【表現】として、頼まれた物を彫り続ける。

 ショリッ・・・

 ショリッショリッ・・・

 ショリッショリッショリッ・・・

 ショリッショリッショリッショリッ・・・

 あくまでも他の存在に良かれと思ってやっている。

 そこには悪意は微塵も無い。

 【主人公】として色々回りたい気持ちもあるがそれを抑えて彫り続ける。

 ショリッ・・・

 ショリッショリッ・・・

 ショリッショリッショリッ・・・

 ショリッショリッショリッショリッ・・・

 こうして、【蝶吉】は与えられた期間の3分の1を消化して行った。

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