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(ファーブラ・フィクタイズム4)【エーウェントゥス・アウディーティオ】プロローグ編  作者: 羽絶 与鎮果


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プロローグ編017/【藤里 眞宵(ふじさと まよい)】の見ている世界2

 不思議な事を言う【眞宵】。

 自殺を考えていた女性は、

「訳のわからない事言わないで」

 と言うが、

「物は試しと言います。

 どうせ、自殺なさる予定でしたのであれば、何をやってもよろしいですよね?

 まずは、貴女の【死にたい】と言う気持ちを【ラスボス】とした【物語】を紡ぎましょう。

 簡単な物語にします。

 【下っ端A】と【下っ端B】を配置しますので、この2匹に捕まらない様にして、貴女の【死にたい】と言う気持ちを【具現化】した【ラスボスC】をタッチしてください。

 すると不思議と死にたいと言う気持ちは薄れますよ。

 試して見ませんか?

 冒険のレベルは最低レベルに設定しますので貴女でも簡単にクリアできると思いますよ。

 その代わり、完全に【死にたい】と言う気持ちが晴れる訳じゃ有りませんけどね。

 ちょっと薄らいだと言う気持ちは実感出来るはずです。

 ダメ元でやってみませんか?」

 と【眞宵】は、言った。

 女性は、

「そんな気分じゃないって言っているでしょ?」

 と言ったが、【眞宵】は、

「貴女のお名前を教えてください。

 それがわからないと話が進みませんので」

 と言った。

 女性は、

「名前もわからないのに話していたって言うの?

 私の名前は、【間島(まじま) 裕子(ゆうこ)】よ。

 適当な事、言わない・・・で・・・?」

 と言いつつ、そこに出現した3体の魔物を凝視した。

 【眞宵】は、

「良いですか?

 向かって奥が【ラスボス】です。

 タッチするだけで良いです。

 遊びの感覚で。

 童心に帰って遊びませんか?」

 と言った。

 女性、改め、【裕子】は、

「ホント・・・

 バカみたい・・・」

 と言いつつ、非情に緩慢な動きの魔物2体を上手く避けて、奥の魔物に触れた。

 すると、

「・・・え?・・・」

 とつぶやく。

 不思議と、【死にたい】と言う気持ちが薄らいだのだ。

 【眞宵】の言うとおり、完全とは言わないまでも、すぐにでも死にたいと言う気持ちは無くなった。

 【裕子】は、

「どういう事?」

 と尋ねた。

 【眞宵】は、

「貴女は【死にたい】と言うご自身の気持ちをちょっと倒したのです。

 だから、少しだけ死にたくなくなった。

 そう言う事です。

 もう一度、言いますよ?

 貴女を虐めた方達を【ラスボス】として、【物語】を紡ぎませんか?

 貴女のレベルに合わせて【物語】を調整しますので、1度では無理でも複数回【物語】をクリアすれば、貴女の気持ちも晴れると思いますよ?

 騙されたと思ってやってみま・・・」

 と言うと、【裕子】は、

「・・・す。

 やります。

 ちょっと質問だけど、私を虐めた奴らを倒したら、そいつ等死ぬの?」

 と聞いた。

 【眞宵】は、

「貴女が望めばそうなりますが、それが本当の解決になりますか?

 貴女の物語は貴女が結末を決めなければなりません。

 そのために、【主人公】として、貴女は強くなっていくのです。

 ただ、あまり長い時間、【主人公】としての力をお貸しする事は出来ません。

 あまり、沼にはまると戻れなくなりますから、適度な所で締めくくるのが肝心だと思います。

 私としては貴女を救えればそれで良いので、納得する形で締めくくっていただければ・・・」

 と答えた。

 【裕子】は、

「あいつ等・・・

 ぶっ潰してやる」

 と言って、【眞宵】から【主人公】になる権利を借りて、物語を紡いだ。

 結果として、【裕子】を虐めて居た連中は、それまでの非道が明るみになり、世間から糾弾される事になった。

 徹底的に追い詰められる所までやりたかったが、【裕子】は途中で止めて、

「ありがとう。

 スッキリしたわ。

 貴女、魔法使いなの?

 不思議な人ね」

 と言った。

 【眞宵】は、

「さぁ、どうでしょうね?

 私自身もわからないです。

 ただ、他の方よりも【見える】みたいですね」

 と答えた。

「見える?

 何が?」

「世の理(ことわり)と言うか、法則みたいな物ですかね?

 よろしくない状況になったらちょっと正してみたい。

 そんな事を思ったりしています。

 貴女の事もその1つ。

 納得していただける形の戻せて満足です」

「納得はしてないわ。

 妥協しただけよ。

 あいつ等は地獄に落としても飽き足らないけど、それをやったらあいつらと同じになる。

 だから、ある程度の所で止めた。

 それだけよ。

 私はあいつ等の様にはならない。

 貴女の様に、困っている人を見つけたら手を差し伸べる。

 そう言う人間になるわ」

「そうですか?

 それは良かったです。

 私としてもお助けした甲斐があります。

 ありがとうございます」

「変なの・・・

 貴女がお礼を言うなんて・・・

 感謝しているのはこっちなのに」

「そんな事ありません。

 貴女が幸せになれば、私も嬉しいのです。

 お助けして良かったと思えるんですよ。

 だから、お互い助け合ったと言う事ですね」

「ホント、変わった子ね、貴女。

 でも助かったわ」

 と言う話になったのだった。

 【藤里(ふじさと) 眞宵(まよい)】・・・不思議な少女。

 普通の人間と見ている世界が違う。

 彼女はどう言った人間なのか?

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