プロローグ編016/【藤里 眞宵(ふじさと まよい)】の見ている世界1
【井上 笑媛】は復讐のために【主人公/芦柄 吟侍の後継者】の権利の譲渡を行っていた。
この世界で【芦柄 吟侍】の後継者の資格を得た者は4名。
【相模 天傑】、
【田村 写樂】、
【井上 笑媛】、
【藤里 眞宵】、
となっている。
その中で、【笑媛】以外に【主人公】の譲渡を行っている者がもう1人居る。
それは、【藤里 眞宵】である。
ただし、【眞宵】の方には、【笑媛】の様に悪意は無い。
あくまでも【主人公になりたい】・・・
その気持ちを組んで、その誰かに一時的に【主人公の権利を貸す】事をしている。
【笑媛】の様に無謀な挑戦を【譲渡した者】にさせる事はない。
あくまでも、その相手のレベルに合わせた【貸し方】をしている。
彼女はあくまでも親切心からくる行為だ。
「私なんかもう駄目だ・・・
死んでやる。
死んで呪ってやる。
私を虐めた奴ら・・・
絶対に後悔させてやるんだから・・・
私の遺書を見て後悔すると良いわ。
全部、ぶちまけてやった。
ははは、ざまぁ見ろだわ。
ざまぁ見ろだわぁぁぁぁっ」
と言って1人の女性が身を投げた。
それを【眞宵】が救った。
女性は、助かったと思いつつ、
「な、何をするのよ、あんた。
私が死なないと・・・」
と文句を言った。
【眞宵】は、
「ですが、貴女は死にたくないと思っていらっしゃるのでは?」
と尋ねた。
「そうよ。
死にたくなんか無いわよ。
でもね・・・死ななきゃ復讐出来ないの。
死んで奴らを後悔させてやるんだから」
「でもぉ・・・
その方達、きっと後悔なさらないと思いますよ。
貴女の遺書・・・事前に回収して燃やしているみたいですから・・・
きっと、貴女が死んでも何とも思わないと思いますよ」
「何で、そんなのあんたにわかるのよ」
「見えますので・・・
今のままでは貴女の死は何の意味も無いどころか親族の方に多大な迷惑をかけますよ。
それでよろしいのですか?」
「ど、どういう事よ?」
「どうやら、虐めをされた方達は、貴女に濡れ衣を着せて、ご家族から賠償金を取ろうとしている様ですよ。
貴女の死は何とも思っていないどころか、自殺にし向けて、利用しようとされています。
貴女はそれでよろしいのですか?
まんまとその方達の手のひらで踊る事になりますが?」
「そんな訳・・・」
「ならば、聞かれますか?
その方達の声を?」
「聞ける訳・・・」
と言ったが、本当に【虐めの加害者】達の薄汚い声を聞いた。
「あいつ多分死ぬよ。
バカだよねぇ~」
「ホント、クソバカ。
死んでも私達に搾取されるなんて夢にも思って居ないんでしょうね」
「遺書を回収しておいて良かったわ。
あいつ、私達の事、書いてたわ。
燃やさなきゃ、私達が危なかった。
絶対に許さない。
徹底的に家族も潰してやるわ」
「きゃはっ。
どんな方法で追い詰めるか、楽しみだわ」
「偽物の遺書作ろうよ。
あいつが悪いことしてた見たいに書いとこうよ。
あいつの筆跡真似てさ」
などと言う声を映像が、女性の脳に直接響いた。
女性は、
「うぅぅ・・・
何でよ?
何でこうなるのよ?」
と絶叫した。
そして、
「どうせ、私は主人公にはなれない運命なのよ。
こうして絶望のままに死んでいくしかない。
何て不幸な人生。
夢も希望も無いわ」
と言った。
【眞宵】は、
「でしたら、【主人公】されますか?
貴女の物語、【敵】は貴女を虐め、貶めた方達。
その方達を倒すまでの物語・・・紡ぎませんか?
私は【主人公】になる力を譲り受けております。
貴女さえ良ければ、その力をお貸ししてもよろしいですよ。
どうされますか?」
と言った。
女性は、
「何を言っているのよ?
主人公になったから何だって言うのよ?
それで何とかなる訳・・・」
と言うと、
「・・・なったらどうされますか?
試されますか?
まずは、簡単な物語からやってみますか?」
と答えた。
【眞宵】は何を言っているのだろうか?




