プロローグ編014/EHIMES(エヒメズ)メモリー4
小さい頃から、【笑姫】は【祥吉】の事が好きだった。
正直、【祥吉】以外、好きになった事がない。
彼女にとって、【祥吉】は初恋の相手であり、かけがえのない大切な人だった。
そんな彼との突然の別れが訪れたのは、【笑姫】が15才になった時だった。
【笑姫】は、
(後、一年で結婚が出来る年になる。
そうなったら【祥吉】に告白しよう。
振られても良い。
ずっと好きで居る。
一生、好きで居る。
こんなの気持ち悪いと思われるかも知れない。
でもどうしようもない。
好きで好きでたまらないんだもん。
この気持ちだけは譲れない。
ずっと愛している【祥吉】)
と思った。
この誕生日の時は朝から女優の仕事だったが、早めに終わらせて帰宅する事にした。
なぜなら、家族の居る自宅には【祥吉】も誕生日プレゼントの【発明品】を持って来てくれているのだから。
【笑姫】は、
「15才の誕生日だから、15品頂戴。
そして来年はもっと良い物が欲しいな」
と冗談で言ったが、【祥吉】は、
「わかった。
15品だね。
ちょっと考えてみるよ。
何かリクエストとかある?」
と言って居た。
冗談で言ったのに、本当に15品持ってくる。
それが、【祥吉】と言う男性だ。
【祥吉】からの【プレゼント】ならどんながらくたも【宝物】となる。
【笑姫】にとってはそう言うことになる。
【笑姫】は、ウキウキしながら帰った。
が、そこには【笑姫】の家族と共にズタボロにされて虫の息だった【祥吉】が倒れていた。
【笑姫】は、
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ・・・」
と絶叫した。
家族の息は既にない。
絶命している。
かろうじて、【祥吉】だけは息をしていたが、既に手遅れだ。
もうじき死ぬだろう。
【祥吉】は、
「ご・・・めん・・・ね・・・
君の・・・ご家族をま・・・もれ・・・なか・・・た・・・」
と言った。
【笑姫】は、
「いやぁぁぁぁ・・・
誰が・・・誰が・・・こんな事・・・」
と涙ながらに言った。
【祥吉】は、
「ごめん・・・ね・・・誕生日プレ・・・ゼント・・・も取られ・・・ちゃった・・・
多分・・・僕の・・・発明品・・・が・・・原因・・・だ・・・強・・・盗に・・・取られ・・・た・・・」
【笑姫】は、
「だ、誰が、こんな酷い事を・・・」
と言うと、【祥吉】は、
「た、たぶ・・・ん・・・15・・・人・・・
発明品・・・と同じ数・・・」
と言った。
「15人ね?
絶対に許さない。
殺してやる・・・」
「無理・・・しないで・・・
危ない・・・よ・・・
幸せに・・・なって・・・欲しい・・・
ずっと好き・・・だった・・・君の事・・・が・・・
でも・・・年が・・・離れているから・・・無理・・・だと思って・・・いた・・・
最期だから・・・言う・・・よ・・・愛してる・・・
君だけの・・・幸せを・・・願って・・・い・・・る・・・よ・・・」
と言って事切れた。
【笑姫】は、
「あぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
と絶叫した。
最期の最期で、両思いだった事がわかったのだ。
もっと早く。
もっと早く言っていれば。
もっと何かが出来たんじゃ。
その事を後悔する。
しばらくして、警察が来て、
「通報したのは貴女ですか?
お名前を聞いてもよろしいですか?」
と尋ねて来た。
【笑姫】は、
「【井上 笑媛】・・・
この人の妻・・・です。
今日は実家で、私の・・・誕生日を祝ってくれるはずでした・・・」
と警察に伝えた。
この瞬間、【笑姫】は、【大槻 笑姫】では無く、【井上 祥吉】の妻、【井上 笑媛】として生きる事を決断した。
【笑姫】改め、【笑媛】は、
(15人・・・
絶対に追い詰めて1人残らず殺してやる・・・)
と決意を固めたのだった。
復讐系の【吟侍】の後継者が誕生した瞬間だった。
それから1年間、【笑媛】は表舞台から姿を消す。
再び、世に現れた時はほとんどの人がわからないほど、顔つきや人相も変わり、【大槻 笑姫】ではなく、【井上 笑媛】として再デビューしたのだった。
【復讐鬼/笑媛】は、憎悪にまみれた本心を隠し、演じ続けるのだった。




