プロローグ編012/EHIMES(エヒメズ)メモリー2
【大槻 笑姫】は今日も【井上 祥吉】の店に来ている。
【祥吉】は、
「やぁ、【笑姫ちゃん】。
今日も可愛らしいね」
と言った。
【笑姫】は、
「そうでしょ?
やっぱりわかる人にはわかるのね。
超一流の発明家に褒めて貰えるって事は私も大した物だと言うことね」
と言った。
「僕が超一流ってのは首を傾げるけど、君が可愛らしいのは本当さ。
流石は大女優の卵だ。
いや、卵っていうのは失礼かな?
もう、立派な役者さんだ。
いつも見てるよ。
本当に上手だよね」
「そうでしょ?
私はね、心でウソが付けるの。
気にくわない相手でも心から愛しているって思いこめるの。
これは女優をする上でこの上ない才能だって監督が褒めていたわ。
凄いでしょ」
「凄い凄い。
でも、大丈夫?
こんな店に入り浸っているって知られたら評判に傷がついちゃうかも知れないよ?」
「何を言っているのかしら?
ここは知る人ぞ知る。
超一流の店よ。
そこに出入りするのは当然の話でしょ。
私はね、ブランド品とか宝石とかで身を着飾るより、実益を重視するの。
そこへ行くと、この店は超実用的。
便利グッズの宝庫じゃないの。
私が来るのに相応しい店だわ。
宣伝もいっぱいしておいたから感謝してよね」
「本当かい?
ありがとう。
感謝するよ。
これでまた、人の役に立てるんだね」
「人の心配をする前に、まず、自分の心配をなさい。
自分を幸せに出来ない奴は他人も幸せに出来ないものよ。
と俳優の先輩が言っていたわ。
だから、【祥吉さん】は、自分を幸せにしなさいよね」
「ありがとう。
優しいね、【笑姫ちゃん】は」
「そうよ。
でも、誰にでも優しい訳じゃないわ。
私は私が認めた人にしか優しくしない。
悪い奴は懲らしめる。
だって私は正義の味方だから」
「なるほど。
正義のヒーロー、ヒロインって訳だね。
凄い凄い」
「それより、【祥吉さん】。
貴方、好きな人とか居るの?」
「好きな人?
【笑姫ちゃん】の事は大好きだよ」
「それは愛してるって意味で良いの?」
「愛している・・・か。
・・・広い意味では愛しているって言えるけど・・・
結婚したいかって言うとちょっと違うかな?
とにかく、誰よりも幸せになって欲しい。
こんなに優しい子、僕は他に知らないからね。
僕なんかにかまって居ないで良い人が居たらその人と幸せになって欲しい。
心からそう思うよ」
「(そうじゃない。
私は貴方が良いの。
貴方じゃなきゃ駄目なの・・・)
・・・そう。
ありがとう。
一応、お礼は言っておくわ。
でもね、誰を愛するかは私が決める。
私は、今は7才だけど、10年後には結婚出来る年になるわ。
そしたら【祥吉さん】とも結婚出来る年になるわ」
「いやぁ~。
10年後って言ったら、僕は40才だよ。
僕は君には不釣り合いだよ。
君にはもっと相応しい男性が現れると思うよ」
「む・・・相応しいって何?」
「あ、ごめん。
気に障った?
何か良くない事を言ったのかな?
ごめんね、その事にも僕は気付かない。
本当に駄目な大人だね」
「違うわ」
「え?違う?」
「・・・何でもないわ。
帰る・・・」
「本当にごめんね・・・
気の回らない僕は本当に駄目だね」
「駄目とか言わないで。
私は、【祥吉さん】の事、一番尊敬してる。
その【祥吉さん】自身が自分の事、駄目とか言うとムカツクの。
私の尊敬する人を侮辱しないで」
「ご、ごめん。
僕なんかを尊敬してくれてるんだね」
「僕なんかって言わないで。
貴方は凄いの。
本当に凄いの。
この世で一番尊敬出来るの。
貴方は自分の凄さを知らない。
本当に凄いんだから。
帰ろうと思ったけど、やっぱり帰らない。
じっくりと貴方の凄さを教えてあげるわ」
「あ・・・ははっ・・・
こりゃ、参ったなぁ・・・」
と話した。
【祥吉】が自分を否定すればする程、【笑姫】は、【祥吉】の事を肯定したくなる。
だって、【祥吉】は凄い人なんだから。
世界で一番凄い人。
世界で一番愛する人。
世界で一番大切な人。
なんだから。
あぁ、この時間が凄く楽しい。
いつまでもこの時間が続けば良いのに。
愛に目覚めた【笑姫】はずっと思っていた。




