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第924話 ガス欠&ガスタンク自壊作戦の成否

924


「よし、狙い通り」

「しめしめですわあ」


 額に十字傷を刻まれた少年、出雲桃太いずもとうたと、彼と共に戦う赤い髪を二つのお団子状(ダブルシニョン)に結わえた少女、六辻詠ろくつじうたは、スケートボードのように足元に展開した衝撃刃に乗って、フィギュアスケートめいた華麗な回避を繰り返し、敵に消耗を強いた。


「くそ、くそおおおっ。なぜだっ、なぜわしの攻撃が当たらん!」


 象と蠅が入り混じった使い魔、〝聖職者級人形エピースコプ〟に憑依した悪漢、六辻剛浚ろくつじごうしゅんは触腕を乱れ撃ち、足を巨大なギロチンのように変えて大地を引き裂き、自らの肉体を無数の蠅として爆発させるなど、さまざまな術をばらまきながら二人を追いかける。


((これなら勝てる!))


 桃太と詠の狙いは、剛浚に〝鬼の力〟を浪費させて汚染の自爆をさそい、あるいはガス欠へと至らしめることにある。

 ここまでは思惑通り、順調に進んでいるかのように見えた。


「あーっ、ひょっとしてそういう作戦。それ、意味ないわよ」

「はい?」


 されど、意外なところから、計画の穴を指摘される。


「何を誤解しているのかと思えば――。まあ、仕方がないかしら。貴方達が似たような真似をすれば、〝鬼の力〟の悪影響で鬼に堕ちること必死よ。でも、今の剛浚は私、蠅王鬼ベルゼブブが食べたから、既に〝私と融合している〟の。つまり、〝鬼の力〟による悪影響そのものが存在しないのよ」


 口を挟んだのは、言葉通りに剛浚を喰らって一体化した全長三メートルの空飛ぶ怪異、蠅王鬼ベルゼブブだ。


「あっ」 

「コケエっ」


 そうなのだ――通常の冒険者なら鬼に堕ちる危険があるが、もはや鬼となった剛浚に何を恐れることがあろう?


「あと、エネルギー消耗をかけた、我慢くらべもオススメしないわよ。〝健在な片方を目印に、疑似的に時間を巻き戻す〟のだから、肉体的な負傷だけじゃなくて、〝鬼の力〟の回復だって当然できるもの」


 桃太達のもうひとつの目論見。

 鬼の力を無駄遣いさせることで枯渇させるという計画も、蠅王鬼ベルゼブブから黒い光が剛浚に向かって光を発したことで、その思惑は崩された。


「おわかりかしら? 私と剛浚が揃っている限り、理論上は無限に〝鬼の力〟が使えるのよ!」


 蠅王鬼ベルゼブブは、肩から生えた二本角の人間の顔で晴れ晴れと笑い、勝利宣言もかくやとばかりに真実を口にした。


「なん、だって」

「い、インチキにもほどがありますわあ」


 桃太と詠は、作戦が順調だと誤解していたこともあり、あまりに絶望的な事実を知って愕然とした。

 蠅王鬼ベルゼブブが張った結界、腐敗領域ソドムが生み出す禍々しい瘴気が、二人の肩にのしかかる。


「フェフェ。力が湧いてくる。わしは無敵DAああ」


 一方の剛浚は、上機嫌で二対四枚の翼で飛翔し、急降下と急上昇を繰り返しながら襲いかかってきた。


「執事さん、防御はわたくしがします。反撃をっ」

「ああ、カウンターを受けてみろ。我流・|鎧徹し!」

「ぬおおおっ」


 しかし、詠が光の刃で攻撃をギリギリで逸らし、桃太は剛浚の顔がついた腹へ衝撃刃を突き立ててぶち抜いた。


「はいはい、今度は傷ね。ほい、回復」


 しかし、蠅王鬼ベルゼブブが万全な自分を基点に、〝聖職者級人形エピースコプ〟の損傷を即座に上書きして全回復させたために、やり直しになった。


「コケーッ。力を浪費させても回復。負傷させても回復って、これじゃあきりがありませんわ」

「邪悪竜ファヴニールはなんて迷惑な鬼術を遺したんだ」


あとがき

お読みいただきありがとうございました。

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