表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
421/1912

第421話 連邦再編3(聖王城)

連邦聖王ライフの始まり

「まっすぐ剣を振れ――!」

「この後はランニングだ――!」


連邦総司令官になったテネシアが連邦陸軍の訓練を積極的にしている。

彼女はエネルギーが有り余ってるからな。訓練役はぴったりだろう。


 ここはギースの聖王城近くにある広場(訓練場)だ。今回、陸軍はほとんどシバ領の鉱山出身者だから、軍隊未経験者が多いが、未経験者の訓練は昔から慣れている。連邦軍就任を条件に三百人ほど恩赦させたが、スタート時の陸軍はこれぐらいでいいだろう。


 恩赦は新王(聖王と国王)就任を祝って実施されたが、きちんと候補者は絞っていたのだ。最近は出所後、教会にいく殊勝な者も増えたが、まだまだ荒くれ者は多いので、血気盛んで気の強い者はなるべく軍隊へ勧誘している。ただ、ここに来れば、そういう者でも大分大人しくなってしまうけどね。くくく。


 こういうのは考えようだが、子供の頃、きちんと躾や行儀を習わなくて、大人になって悪さした者が、今こうして、躾されてるようにも見える面もあるんだ。躾や行儀を習ってる間は、意味が分からないので、内心、不満や反抗心が増えるだろうが、いずれ、その経験が自分の成長になり、社会で役に立つことが分かると、やがて感謝するようになる。だが、そこに達するまでは一定の時間がかかる。


「こら――! しっかりしろ!」


「だらだら、するな――!」


テネシアの声がよく響いてるな。


 連邦軍の主力は海軍だ。ロナンダル王国には海軍の兵力として、軍人三千五百人、軍船二百隻ほどあったが、そのうち軍人三千人、軍船百五十隻を連邦軍に移管したのだ。バハナ将軍によると、仮想敵国であるエルメス帝国の保有軍船が百五十隻程らしいので、それに合わせたのと、残りの五十隻(王国側)は大陸の沿岸護衛用に温存したかったので、その数で振り分けした。


 この海軍なら、エルメス帝国に負けることはないだろう。僕の軍隊はあくまで防衛目的なので、相手が攻撃を躊躇するぐらいの兵力があれば十分なのだ。普通に考えて、軍船百五十隻が軍船二百隻に攻撃をしかけてこないよね。


 仮想敵国は海の向こうのエルメス帝国なので、海軍主力で準備してきたが、今後のこと、例えば、敵が上陸してきたり、逆にこちらが上陸することも考えて、最低限の陸軍を整備することにしたのだ。現時点では敵地に上陸して戦闘することは、あまり想定(希望)していないが、さすがに陸軍無しじゃ格好がつかないからね。短期集中でどんどん鍛えていこう。


剣の訓練はこれぐらいでいいな。


「テネシア総司令官、これの練習も頼むよ」


「はっ! 了解しました!」


部下達の見本になるよう、テネシアの動きが軍人らしい。

(でも目の奥は優しい感じだな)


 テネシアに渡したのは“鉄砲“、エルメス帝国から戦利品として頂戴した物だが、少し細工した。実は【加工】スキルで、銃弾の殺傷力を大幅に弱めて、中に【スリープ】を入れている。簡単に言えば“睡眠銃“だ。エルメス帝国はこちらよりも総体的な兵力(特に人員)があるので、以前から、敵の兵力を奪って、こちらで再利用する「草船借箭の計」を推進してるんだよね。敵であっても相手を殺すなんて勿体ない。ぜひともこちらの一員に加わってもらおう。


「向こうの的を狙え!撃て――!」


バン!バン!バン!バン!バン!


 海軍の訓練は常に実践形式で、ダルト王国とロナンダル大陸のまわりを軍船で警戒航行している。もし敵と遭遇したら、そのまま戦闘態勢だ。そちらはバハナ将軍に任せきりにした。まあ、海軍は彼に任せておけば大丈夫だろう。(僕は海軍のことはあまり知らないしね)


「連邦軍の方は大丈夫だな。それじゃ次に行こう」


――――

――――――


<連邦事務局・職員室>


「農業、教育、経済、防衛の担当者はそれぞれ役割分担しますので、集まって下さい」


イレーネが職員達と打合せする。


 連邦職員は連邦各国から選出された者だが、主に農業、教育、経済、防衛方面の専門家だ。当座やることは、農業では『農業アイテム』の推進、教育では『放送学園』の推進、経済では連邦通貨の普及だな。防衛では各国との連絡窓口(犯罪、戦争情報等)が中心かな。


 ちなみに連邦事務局、職員の宿舎、軍人の宿舎等も聖王城の近くに僕がスキルでサクッとつくった。先ほどの広場(訓練場)も実はそう。外敵の侵入を防ぐため、これら重要施設をすべてひとまとめにして、それを塀で囲ったのだ。このあたりはロナンダル王家方式だな。関連施設を城壁で囲った方が管理も楽だし、防衛しやすい。


それにこのつくりだと、【結界】で囲みやすいんだよな……


もしかして、ロナンダル王家の初代王はそういう考えもあったんだろうか。

二十才で国王になった伝説の王、情報が少ないけど、

どうやら「勇者」と呼ばれていたらしい……


 ちなみにこのギースの王城は王都の王城と違う点がある。それは王宮が別棟でない点だ。この城は最初から上層階に王族のプライベートエリアが十分確保されてるので、建物として分ける必要が無かった。どうしてこうしたかと言うと、上層階からの海の景色が素晴らしいからだ。


 以前、僕、メリッサ、テネシア、イレーネが住んでいたから、上層階の部屋もそのまま使える。一応、夜は王都の王宮に帰る予定にしてるが、遅くなったら、そのまま泊まれるから安心だ。それにここの夕食は海の幸をふんだんに使ってて大変美味しい。個人的には内陸の王城より、ここの方が性に合っているかな。


 朝に夕にオーシャンビューを楽しみ、海の緩やかな風に吹かれて、ペースを落として仕事をする。ふふふ、これから第二、第三の人生を満喫しますよ~



ポンポン



職員室を出て、城へ向かう廊下を歩いていたら、後ろから肩を叩かれた。


連邦聖王の僕にこれができるのは……


「おお、メリッサか」


「視察ですか?」


「うん、さっき、連邦軍と連邦事務局を回ったところ。順調に動き出してるね」


「ふふ、今頃、王都のライナスとラーシャは頑張ってるかしらね?」


「ふふふ、これまで十分、王太子として準備期間もあったし、面倒な案件は僕の時代でだいたい片付けたから、大丈夫だろう。それに向こうは義父上、義母上もいらっしゃる。引退したけど、ザイス内政顧問(前筆頭大臣)もね」


「そう言えばそうでした」


「何かあったら、いつでも【念話】できるし、【転移】もできるからね」


「私も先ほど、王都に戻って、放送学園の打ち合わせをしてきました」


「そうかい。ご苦労さん」


「それで内務省にいったついでに、ミアさんと話したんですけど、連邦でも広報部門を持った方がいいと思いまして」


「ああ! そう言えばそうだ。連邦放送局はロナンダル王国内務省の所属だったな。それなら後で連邦放送の撮影室スタジオをここにも設置しておくよ。それと放送時間の調整だな」


「もし良ければ、私が広報担当になりましょうか? どうせ内務省にはちょくちょく行きますし」


「ああ、ぜひ頼むよ。それと番組進行用に王国芸能人の語り部(司会者)も手配したいね」


「ふふ、それも頼んでおきましょう」


 メリッサは五人の子供を生んだが、末っ子のシルエスも十才になり、子育てに手がかからなくなった。しかも王宮運営もラーシャに引き継いだので、かなり楽になったことだろう。ぜひ連邦運営に協力してもらおう。広報は彼女に適任だ。


「ミアさんを向こうに残して正解でしたね……」


「確かにな……。君、イレーネ、テネシアを連れてきたから、誰かが王都に残る必要があった。それにミアの子供メルーシャはまだ三才だから、母親が近くにいた方がいいと思ってね。僕も一日一回は必ず、ミアのところへ行くようにするよ」


「ふふ、午後のお茶の時間ですか?」


「ああ、そうだな」


 彼女ミアと夜の会話頻度は元々少ないけど、少し増やすようにするかな。寝る前に一緒に話すだけでも癒しになると思う。僕もメルーシャと過ごしたいし。


「私が言うのもあれですけど、女の人は繊細ですからね……」


「うん、わかったよ。気遣いありがとう」


「しかし、あなたも魔法研究所と王立療養所の所長、大変ですわね」


「ああ、早くレネアに引き継ぎたいけど、もうしばらくかな」


「そう言えば、ギルフォード王国もありましたね」


「それはアレクだな。こちらももう少しかな」


「そう言えば、ギルフォード商会もでしたね?」


「ギルフォード商会はすでにほとんどミローネが動かしてるから、タイミング次第かな」


「確か、受信機テレビと農業アイテムの特需で大忙しらしいですわね」


「そうそう、ミローネ副会長とメラル本部長が大陸全土を飛び回ってるよ」


「飛行船ですよね」


「そう、だから、本当に飛び回ってるよ」


「ふふ、あれができてから、商会の売り上げが一気にあがったそうですね」


「そうだな。あれさえあれば、どんな場所でもすぐ行けるし、非常に便利だ。連邦軍でも監視用に使ってるからね」


「そう言えば、ここ(連邦運営)の経理はどうされるんですか?」


「収入は連邦加盟国からの分担金だから、とりっぱくれは無いね。支出はほとんど人件費だから、僕が取りまとめして、連邦事務局はイレーネ、連邦軍はテネシアから支払ってもらおう」


「お城の使用人はどうしますか?」


「執事のバイアスから支払ってもらうおう」


「あなたの負担が大きくありませんか?」


「一応、これでも商人の端くれだから、当面、僕が経理をやるけど、ずっとは面倒かな」


「それなら、私も一緒に経理をやりますわ」


「本当かい? それは助かるよ!」


「ふふふ、これで放送学園、広報、経理の仕事を頂きました。前々から子育てが一段落したら、仕事をしたいと思っていましたからね。希望通りです」


「こちらこそ有難い。よろしく頼むよ」


「ふふ、お任せ下さい。それにあなたと過ごせる時間が増えるのは私の幸せでもありますから」


「……ありがとう。メリッサ」



 ロナンダル王国の王位を退任して、聖王に専任することになり、業務の負担は大分少なくなった。体感で半分ぐらいだろうか。これで以前よりスローライフ度があがるだろう。妃達と交流する時間も増えそうだな。ふふふ。


あとはエルメス帝国さえ、余計なことをしなければいいんだけどな……



※補足説明※


~主人公のお役目(肩書)まとめ~


ロナンダル連邦の聖王(本業)

ロナンダル王国の上王(ほとんど呼称されませんが)

ギルフォード王国の国王(次男アレクに引継ぎ中)

ダルト王国の国王(宰相トーマスに内政を任せる)

エルスラ共和国の総督(月数回、中央議会に出席)


ギルフォード商会の会長(長女ミローネに引継ぎ中)

魔法研究所の所長(次女レネアに引継ぎ中)

王立療養所の所長(ヒーラーのレベル向上により、負担大幅に軽減、月数回)


魔法学園の臨時教師(道徳と魔法科目、週数回)

放送学園の臨時教師(道徳、随時)


永久SSランク冒険者(気が向いたら活動)


 主人公はロナンダル王国の王位を長男ライナスに引き継いで、海と港のギース領に移り、スローライフ気分を満喫してますが、お役目はまだまだ多いので、一般的に見たらスローライフの状態ではないでしょう。(あくまで主人公基準です)

 最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、いいね、評価、ブックマークをして頂けると大変有難いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] スローライフは単に現役引退後に田舎で暮らすというのではない。本当の意味でのスローライフを実現するにはまず高速移動手段のようなものは手放す必要がある。そう言う便利な物をフル活用する前提の生活様…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ