第420話 連邦再編2(戴冠式)
今回で大きな節目になります。
<王城・執務室>
これから御前会議を開く。
出席者は僕、メリッサ(王妃)、ライナス(王太子)
ラーシャ(王太子妃)、ミローネ(商会副会長・王女)
テネシア(元帥)、イレーネ(宰相)、ミア(内務大臣)
カイル(将軍)、バハナ(将軍)、サラ(連邦放送局長)だ。
今回は重要会議だから、いつもより多め。
前回の会議で連邦再編案について提案済みだ。
僕「この前、話した件だが、連邦会議の承認をもらった。それを受けて、今後の国内手続きについて打合せしたい」
メリッサ「あなたが国王を退位して、連邦聖王に専任するのですね」
僕「そうだ。それでライナスが国王に、ラーシャが王妃になる」
メリッサ「あなたが聖王になるのは分かりましたけど、私はどうなるのかしら?」
僕「王の母だから王太后になるのかな? それなら僕は上王か。でも僕は連邦聖王に専任するから、君は連邦聖王妃にもなるな。僕がこのままここにいたら変だから、ギースを聖王城にして、そちらに移るつもりだけど、君はどうする?」
メリッサ「当然、一緒にいきますわ」
僕「ありがとう。まあ、僕らは【転移】が使えるから、ここ(王城)と行き来になるだろうけどね」
テネシア「私はどうなるんだい?」
僕「君は連邦軍の総司令官に就任してもらいたい」
テネシア「わかった。当然、一緒についていくぞ」
イレーネ「私はどうなるんでしょうか?」
僕「君は連邦組織の取りまとめだな。連邦事務局長でどうだろう?」
イレーネ「ありがとうございます。一緒についていきます」
ミア「私はどうしましょう?」
僕「君はそのまま内務大臣で、イレーネの宰相職も兼任してもらいたい」
ミア「わかりました。そうなるとテネシアさんの元帥職も後任を考えた方がいいですね」
僕「宰相の仕事はミア内務大臣へ、元帥の仕事はカイル将軍に移管しよう。そして宰相、元帥の役職名は廃止とする」
ミア「わかりました。他に変更はありますか?」
僕「連邦軍はこれまで我が国の海軍が兼任していたが、これも連邦軍の専任とする。連邦事務局の職員は連邦各国から、教育、農業、経済、軍事に通じる者を派遣してもらうので、我が国からも選抜しておいて欲しい」
ミア「連邦組織の運営資金はどうされますか?」
僕「各国から連邦分担金を納めてもらう。我が国からも予算計上して欲しい」
ミア「わかりました」
ライナス「今後の御前会議のメンバーはどうしましょうか?」
僕「正式メンバーはライナス(王)、ラーシャ(王妃)、ミア(内務大臣)、カイル(将軍)だな。必要に応じて、ロルアス(行政調査庁長官)、サラ(連邦放送局長)、ハークレット(娯楽広報部長)、レネア(ギルフォード商会副会長・王女)等も参加させるといい」
ライナス「わかりました」
ラーシャ「魔法学園と放送学園はどうなるんでしょうか?」
僕「教育は連邦の主要事業(教育・農業・防衛・経済)の一つだからね。これまで通り、いや、これまで以上にしっかりやるよ。ギースから【転移】で参加しよう」
ラーシャ「それを聞いて安心しました」
メリッサ「私は放送学園の学園長ですけど、そのままなのね」
僕「そうだな。僕も魔法研究所の所長、王立療養所の所長になってるけど、そのまま続けるつもりだよ」(いずれはレネアに引き継ぎたいけどね)
メリッサ「そうすると、これまで以上にギースと王都の往来が増えそうですわね」
僕「そうだな。それなら、ギースの聖王城と王都の王城の間を『転移扉』でつなげようか。これなら、関係者みんなが王都とギースの間を気軽に移動できる」
王城とギースのお城の間はもっと早期に『転移扉』を設置しても良かったのだが、いかんせん、ほとんどの関係者が【転移】スキルを使えたので、後回しになっていた。今後はもっと移動回数が増えるだろうし、いい頃合いだな。
ライナス「ギルフォード王国の王太子になったアレクと同じような感じですね」
僕「ふふ、そうだな。これなら家族がバラバラになる心配がまったくない。ライナス、悪いけど、退位後もこのまま王宮に住んでて構わないか?」(わざとらしくお伺いを立てる)
ライナス「当然ですよ。父上! その方が心強いです」
僕「昼間、ギースで働くのは、僕、メリッサ、テネシア、イレーネ、それとバハナ将軍だな。テネシアとイレーネは連邦軍司令官と連邦事務局長にするけど、元帥、宰相の時と同様に、それぞれ両方の仕事ができるようにしておいてくれ」
テネシア「ああ、わかった」
イレーネ「わかりました」
この二人が両方の職務を覚えれば、お互いに代替できるし、休むこともできる。
ミローネ「受信機と教科書も他国へ販売開始して宜しいんですね?」
僕「うん、各国の了承をもらった。受信機は値下げして、国内と同じ金貨一枚(十万円)でな」
ミローネ「わかりました。農業アイテムはどうされますか?」
僕「農業アイテムは国内では無償で配布したが、他国で無償配布はさすがに過剰サービスなので、有償にしよう。いくらがいいかな?」
ミローネ「本来であれば、あれは金貨十枚(百万円)でも安いぐらいでしょうが……」
僕「そうだな、あれがあれば、仕事が半分以下になってしまう。でも農民に金貨十枚は厳しすぎるな」
ミア「それなら、農業アイテムは、受信機、教科書と合わせて買ったら、金貨一枚(十万円)にするという条件にしたらどうでしょう。それなら、農業アイテム、受信機、教科書で金貨(二枚)を少し超えるぐらいになります」
僕「そうだな。それなら教科書代はサービスしよう。うん、農業アイテム、受信機、教科書のセットで金貨二枚(二十万円)だ」
ミローネ「もし、いっぺんに払えない場合は、分割後払いですね?」
僕「教育普及が最大の目標だから、分割後払いOKだ」
本当は出世払いでもいいぐらいだが、そうもいかんか。
ミローネ「あと、会長、一つ提案したいのですが」
僕「なんだい?」
ミローネ「以前、連邦通貨で錫貨(十円)を流通させましたが、あれで郊外や農村部での取引が上向いてきてます。良ければ銅貨(百円)も流通させてみてはいかがでしょう?」
なるほど、銅貨なら、まだ少額通貨だから、インフレの懸念は少なそうだな。
僕「わかった。今度、連邦会議に提案してみるよ」
メリッサ「ギルフォード王国の方はアレクのままでいいんですね?」
僕「ギルフォード王国の方はもう少し僕が王位でいよう。君もギルフォード王国では王妃のままだな」
これで国内の方も大筋が決まった。次はライナスの王位就任の準備だ。
思えば、ここまで長かったよな。もう少しだ。
――――
――――――
<王城・謁見の間>
これから戴冠式だ。ライナスの頭に王冠を乗せる。
「ライナス王太子、そなたに王位を引き継ぐ」
「有難くお受け致します!」
ついに、ロナンダル王国の王位を長男ライナスに引き継いだ。まわりには国内国外からたくさんの王侯貴族が参列している。
「「「おめでとうございます!」」」
「「「ライナス国王陛下万歳! ラーシャ王妃殿下万歳!」」」
ここまでは前々から予定通りだったが、その後、追加の儀式が加わる。
クローネ王妃「今度は聖王陛下の番ですわよ」
クローネ王妃が近くで囁く。そしておもむろに夫であるヒルロア王が宣言する。
「私が連邦各国を代表して、聖王陛下に戴冠する! 聖王陛下、どうぞ、こちらへ」
先ほどのライナスと同じように頭を下げると、僕の頭にも聖王冠が乗った。
「「「おめでとうございます!」」」
「「「ギルフォード聖王陛下万歳! メリッサ聖王妃殿下万歳!」」」
僕は既に聖王に就任していたんだけど、専任するということ、大陸全土に知らしめるという意味で、僕の戴冠式まですることになった。確かに王侯貴族や自国民には知られていたけど、他国の庶民には十分知られていなかったからな。周知徹底の意味ではいいかもしれない。ちなみに今回の戴冠式は連邦放送局により、生放送している。これでもっと僕の顔が広まってしまったな。他国の視察でも【隠蔽】【変装】スキルの必要性がより高まったようだ。
悪いことは絶対にできないね。ははは。
ちなみに僕(連邦聖王)への戴冠をヒルロア国王にしてもらったのは、クローネ王妃(義姉)の夫で、僕の義兄にあたるし、パンタ領の温泉外交で家族のような付き合いをしていた点が大きい。先王(義父)からの戴冠だと、ロナンダル王家色が強くなってしまうので、連邦色を出すため、あえて、連邦各国(他国)の王族から戴冠をしてもらったのだ。こういう外交的配慮は欠かさないよ。
さらに今回の戴冠式に合せ、銅貨(百円)の連邦通貨を発行し、連邦各国の国庫に納入した。これで一段と経済取引が活発になることだろう。庶民は銅貨を使う機会が多いからね。
今後、連邦聖王の仕事があるとは言え、王国の王位を退任できたことは僕にとって、大きな一区切りだ。メリッサと結婚して以来、ロナンダル王家の血統を守り、次世代に引き継ぐことが大きなウェイトを占めていた。胸をなでおろすというのはこういう感じなのだろう。そう言えばメリッサもそんな感じだな。彼女は僕以上に王家を守ることに意識があったから、感慨と安堵もひとしおだろう。
とにかくお互いお疲れ様だ。これでギアを少し落とせるかな。
※参考※
~ロナンダル連邦まとめ~
代表 聖王 アレス・ギルフォード・ロナンダル
加盟 七カ国(ロナンダル王国、ギルフォード王国、エルスラ共和国、
バナン王国、ハロル王国、ヒルロア王国、チルザーレ王国)
目的 加盟国の平和、友好、平等、協力、発展
本部 ロナンダル王国のギース聖王城
組織 連邦事務局(代表イレーネ事務局長)、連邦軍(代表テネシア総司令官)
備考 意思決定は七カ国による合議制。但し教育、農業、経済、防衛について
は連邦に委託事項あり。
委託事項としては、『農業アイテム』による農業改革、『放送学園』による教育改革、連邦通貨発行等の経済改革、防衛軍の整備・訓練・実践、等がある。
防衛軍は海軍を主力とするが、陸軍も整備中。今回の戴冠式にあわせ恩赦を施行し、シバ領の鉱山労役者から三百人ほど連邦陸軍に入隊する予定。連邦軍は海上、陸上の防衛にあたるため、戦争や犯罪等が発生した場合は速やかに実力行使可能。
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