第399話 卒業と入学 ※子供達の年齢付き
レネアが王立学園を卒業し、ついに成人となった。誕生日基準で言ったら、既に十五才になっていたが、学生の場合、卒業したら成人とみなすようなので、それに従ったのだ。
王立学園の卒業式後
僕「レネア、卒業と成人、おめでとう」
メリッサ「おめでとう、レネア」
レネア「ありがとうございます。父上、母上」
僕「ようやくこれで魔法学園と魔法研究所の始動だな」
レネア「はい、頑張ります!」
メリッサ「しかし、この娘が魔法学園の学園長、魔法研究所の副所長なんて、本当に大丈夫なのかしら?」
僕「ははは。これまで入念に準備してきたし、そのあたりは僕もフォローするから大丈夫さ。それに場所が王宮の近くだから、いつでも気軽に行ける」
メリッサ「まあ、あなたがいれば大丈夫と思いますけど、生徒の皆さんの身元は大丈夫なんでしょうね?」
さすが、メリッサ、王族として身辺警護に気が向いている。
僕「うん、そこは真っ先に調べたよ。ミア内務大臣に住民情報を確認してもらったし、ロルアス行政調査庁長官に身辺調査もさせたからね」
メリッサ「さすがはあなたですね」
魔法学園も魔法研究所の城壁の内側にあるから、リスクのある人間は絶対に入れられない。実は王立学園のように城壁の外側に設置することも少し検討したんだけど、魔法研究は王国の重要機密情報と判断し、情報漏洩を防ぐために、城壁の内側に設置することを決めたのだ。
この世界では魔法は一般的に知られてはいるが、本当に正確に把握してるかと言えば、そうでもなく、いい加減な流言飛語も多い。はっきり言って玉石混交と言っていいだろう。魔法研究は玉石の中から玉を見抜く作業でもあり、正しい情報を上書きして、それを管理していかなければならない。そして世に出せる情報、出せない情報も分別しないといけないだろう。
僕「ミローネ、この後、早速打合せしよう」
ミローネ「はい、父上」
――――
――――――
<魔法研究所・所長室>
今日から僕が魔法研究所の所長だが、あくまでレネアが就任するまでの期間限定だ。そのためには、なるべく早くレネアに成長してもらわないとな。
「レネア、これから君に魔法を【伝授】しよう」
「以前、おっしゃっていた魔法の伝授ですね」
先ずはチートスキル【超級回復魔法】だ。これはレネアが成人してからと、現象神様に言われていたんだよな。それではやるか。
「レネアに【超級回復魔法】を【伝授】!」
「ううう!凄いエネルギーです。ううう、体が熱くなってきました!」
「大丈夫か、少し休もうか?」
「……はい」
普通の魔法の何倍もきついのは自分でも知ってるからな。休憩しよう。
~~少し休憩~~
「もう大丈夫かな?」
「はい、父上」
「よし、ここからはまとめていくぞ!」
「レネアに【飛行】【身体強化】【変身】【透過】【スリープ】【停止】【状態異常無効】を【伝授】!」(レネアならいけるだろう)
「ううううぅ!」(やりすぎたか!?)
「どうだい?」
「ふぅ、大丈夫です。落ち着きました」
「よし、確認のため【鑑定】するぞ」
「はい、父上」
「【鑑定】!」
~~~~~~~~~~~~
レネア・ロナンダル
女性 十五才 種族人間
ロナンダル王国の第二王女
魔法学園の学園長
魔法研究所の副所長
獲得スキル
【風属性魔法】(中級)【火属性魔法】(中級)
【水属性魔法】(中級)【土属性魔法】(中級)
【光属性魔法】(中級)【闇属性魔法】(中級)
【収納】(レベル1)【転移】(レベル1)
【加工】(レベル1)【複写】(レベル1)
【ヒール】(スーパーヒール)
【鑑定】【結界】【浄化】【解毒】【隠蔽】
【飛行】【身体強化】【変身】【透過】
【スリープ】【停止】【状態異常無効】
~~~~~~~~~~~~
「うん、ちゃんと獲得スキルに入っている」
「自己【鑑定】してみます。【鑑定】! 凄いです。一気に獲得スキルが増えました!」
「今回、君がスムーズにスキルを獲得できたのは、これまで君がアイテムで十分練習して、体にスキルをなじませていたからだろう。やはり普段の練習が重要だ」
「そうだと思います。父上、スキル伝授ありがとうございます」
「それとこれを成人のお祝いにプレゼントしよう」
「水晶玉ですか?」
「手に持ってごらん」
「はい、うううう! 何ですか、この水晶玉! 凄いエネルギーが流れ込んできます!」
「長時間持つと危ないから、すぐ【収納】しなさい」
「【収納】!」
「これはね『魔力増大の水晶玉』と言って、持つと、どんどん体に魔力が入ってくるんだ。大きな魔法を使う時、もしくは魔力が不足した時に使うといいが、平時に持つと、魔力が入り過ぎて体調を悪化させてしまう。だから普段は【収納】しておくといい」
「父上、貴重な魔法アイテムを頂き、感謝します」
「君の場合、これから、魔法アイテムをたくさんつくらないといけないから、その時に使うといいな。どう? 光魔法を利用した照明器具はできたかな?」
レネアが収納から照明器具(光魔法アイテム)を取り出す。
「これです」
「おお、これはいいデザインだな! うん、いいぞ! 早速これを販売するか」
「しかし、父上、確か、現在、電気の照明器具を設置している最中ですよね?それとバッティングしないですか?」
「そうだな。確かに電気の照明を国中に広げているところだけど、実は郊外の住宅街(平民居住地区)を優先して工事してるんだ。彼らは裕福でないため、油代や光魔法アイテムの負担も大変だからね」
「と言うことは、中心街や貴族のいるエリアはまだ電気が来てないんですね?」
「その通り。この王城や王宮も全部、僕の光魔法アイテムを使ってるだろう」
「それでは、貴族や富裕層には光魔法アイテムを販売することを計画されていたんですね。流石です。父上!」
「実は最初は全土に電気照明を通そうと計画したんだけど、貴族の屋敷は電気工事が大変ということが分かってね。しかも王軍隊(陸軍)が工事で中に入るのを嫌がるみたいなんだよ。それに電気の照明器具は彼らには安っぽく見えるみたいでね。特に配線工事は露出で外見に影響が出るからと不評なんだ。それで逆手に考えて、貴族の屋敷も王城のように光魔法アイテムにしたらと思いついたんだ」
「なるほど!」
「今後、商会のミローネ副会長と光魔法アイテムの貴族向け販売について、商談しよう」
「ミローネお姉様とですね!」
「商談のセッティングは僕がしておくから、君はいくつかサンプルを用意しておいてくれ。貴族向けに洒落たデザインがいいな」
「わかりました」
「魔法学園は魔法研究所の付属機関だから、収支を一緒にするよう考えている。魔法学園単体では採算は取れないが、その分をこの魔法研究所で稼いでいこう」
「しかし、父上は先の見通しといい、本当に商売がお上手ですね」
「王国でも領地でも、商会でも学園でも、結局は採算が取れないと長続きしないからね。理想を追い求めるのは大切だけど、足元の現実を忘れたらダメと言うことさ」
「はい、肝に銘じます」
「それでは、今度は魔法学園の入学式の準備をしようか」
「はい、父上、あっ、魔法研究所の方はどうしますか?」
「そうだな……四人しかいないから、後で歓迎会でもするか?」
「そうですね」
さて、準備をしていこう。
――――
――――――
<魔法学園・大広間>
これから、入学式をする。生徒は全部で六十人、みんな椅子に座り、緊張した表情。それもそのはず、ここは城壁の中だからな。城壁内を城内と解釈すれば、城の中みたいなものだ。後方の親御さん達も緊張した様子だな。新入生達はみんな刺繍入りの上品な制服に身を包んでいる。これなら王立学園にも負けないだろう。上品な制服を選んだのには訳がある。
先ずここは城壁内なので、制服が身分証明になること、みんな同じ服なので、一見すると貴族と平民の区別がつかず、差別が発生しづらいこと、ダルト王国産の棉をアピールしてること(商会の流通品)、それと王立学園を意識してである。特にトアラ(王女)、テセルス(王子)が入学したんだから、王立学園に並び立つ存在であって欲しい。
「それでは学園長からの挨拶です」
「コホン、皆さん、ご入学おめでとうございます。私は魔法学園の学園長、レネア・ロナンダルです。皆さんと一緒にお勉強できることをずっと楽しみにしていました」
レネアの挨拶が始まったな。んん、後方の親御さんがコソコソ話してるなぁ。何て言ってるんだだろう。気になる。
「【遠聴】!」
ひそひそ話
「あらっ、学園長、すごく若いですわね」
「よくご覧下さいまし、レネア王女様ですよ」
「レネア王女様が学園長なんですか!?」
「資料にも書いてましたわよ」
「あれって、ただの名義貸しかと思ってましたわ」
「それに、この学園は国王陛下が御自らおつくりになったそうですよ」
「へぇ~そうなんですの!」
この二人は貴族の夫人のようだな。こっちはどうだろ。
「お父さん、しっかりして下さい!」
「ここって、国王陛下の王宮の近くだよなぁ」
「そうですよ」
「普通は入れないぞ、こんな場所!」
「でも、こんな凄い学園に入ったうちの息子は凄いですよ」
「ああ、本当にな」
こちらは平民の夫婦ようだな。緊張してる様子が伝わってくるな。
「それでは、新入生を代表して、トアラ・サングローネ・ギルフォードさんから挨拶をしてもらいます」
おおっ、トアラが挨拶するぞ! 実は今日、僕の左右にテネシアとイレーネも来ている。二人も子供の晴れ姿に感動しているようだ。
テネシア「あの娘もこんな立派になって……」
しばらくトアラの挨拶が続く。でも、これで終わりでは無い。ふふふ。
「次にテセルス・べネサス・ギルフォード君からも挨拶をしてもらいます」
イレーネ「あれっ!うちの子も!」
本来、挨拶は代表一人みたいなんだけど、今回は一期生であり、お迎えする側(在校生)の挨拶が無いので、僕の権限(独断サプライズ!)で新入生挨拶を二人にした。僅差の首席と次席なんだから、これぐらいいいよね。
イレーネ「うう、テセルスぅ……」
イレーネも喜んでくれてるみたいで良かった。
サプライズ成功だな。ふふふ。
幾多の魔物を討伐した二人も子供の前では母親なんだよな。
あれっ?僕まで目から流れるものが……
気が付いたら三人とも涙ぐんでいるよ。はは、参ったね。
今回、六十人が魔法学園に入ったが、当初一クラスにする予定が、定員を増やして、二クラスにし、Aクラス、Bクラスで分けようと思ったけど、どうせなら、少数精鋭を意識して、もっと分けてもいいだろうとさらに考えを改め、Aクラス、Bクラス、Cクラスの三クラスに分けることを決めた。これは入学試験の学力順で分けたものだが、途中の試験で入れ替えするし、生徒増加に伴い、学年も増やしていく予定だ。
あくまで皮算用だが、一クラス二十人が三クラスで一学年六十人、これが九学年できれば、合計五百四十人だ。それでも王立学園やクライスナー学園よりはずっと少ないからね。少数精鋭で教育の質を向上させていきたい。
それと、制服だけでなく、衣食住、日用品等すべて王国負担にしている。カバン、教科書、文房具等も支給してるから、外見上は貴族も平民もほとんど差が無い。王立学園は貴族の比率が圧倒的に高いが、魔法学園は貴族と平民が半々ぐらいかな。亜人種も結構いる。実はこれは結構画期的な試みではないだろうか? これまで平民はクライスナー学園、貴族は王立学園とすみ分けしてたけど、今回、魔法学園ができたことで、その垣根を取り払う契機となることを期待したい。
僕が平民出身の国王というのはみんな知っていると思うが、僕がつくった学園で平民への差別は許さないつもりだ。学園の経営方針にもそう書いてるからね。これは種族差別等もそうだ。
「それでは、最後に国王陛下からのお言葉です」
ああ、僕の番になったな。
壇上に上がる。
ふぅ~生徒達が全員、僕を見ているな。みんな期待にあふれるいい表情だ。
それなら、僕も真剣に答えないといけないだろう。
「新入生諸君、入学おめでとう。国王のアレス・ギルフォード・ロナンダルだ。この魔法学園は魔法に特化した学校だが、それだけでなく、一般科目でも決して王立学園に引けを取らない教育をしていくつもりだ。
皆さんはしっかり勉強して、将来、王国の貴重な人材になってもらいたい。私の目指す王国は平和で、自由で、平等で、豊かで、楽しい王国だ。おそらく皆も同じ気持ちだろう。
だけど、それを叶えるためには、それぞれが与えられた役目をしっかりこなす必要がある。学生の君たちは、先ずは勉強、それに加え、心も豊かにしなければいけない。それには多くの友人をつくることだ。ここには貴族、平民、人間、亜人種と様々な立場の者がいるが、お互いに手を取り合って仲良く進んで欲しい。君たちのさらなる躍進を願う。以上だ」
シ――――――ン(沈黙)
ふぅ~挨拶が終わった。んん?なんか、会場が静かだなぁ。
何か、変なこと言ったか?
パチパチ!
一人が拍手をしだす。
するとそれを契機に――
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!
割れんばかりの拍手が鳴り響く。
その後には――
「国王陛下!万歳!」
「国王陛下!万歳!」
「国王陛下!万歳!」
国王陛下を称える合唱も響いた。
どうやら生徒の親御さん達も共感してくれたようだ。
良かった。どうやら僕の気持ちが伝わったみたいだな。
※子供達の年齢※
◇メリッサの子供
ライナス 二十四才(王子) ロナンダル王国(王太子)ラーシャと結婚済み
ミローネ 二十一才(王女) ギルフォード商会(副会長)
アレク 十七才(王子) ギルフォード王国(王太子)
レネア 十五才(王女) 魔法学園(学園長)魔法研究所(副所長)
シルエス 八才(王子) 王立学園(学生)
◇テネシアの子供
タイタス 八才(王子) 王立学園(学生)
トアラ 六才(王女) 魔法学園(学生)
◇イレーネの子供
ディオネ 八才(王女) 王立学園(学生)
テセルス 六才(王子) 魔法学園(学生)
◇ミアの子供
メルーシャ 一才(王女)
※補足説明※
王国の重要施設として、王城、王宮以外に省庁(役所機構の本部)、軍施設(三軍の本部)、薬事研究所、魔法研究所、魔法学園等も城壁の内側に設置されています。省庁の一部である内務省娯楽広報部、連邦放送局、行政調査庁もそうです。これらの建物は王城と別棟ですが、部署間で移動しやすいよう、それぞれ外廊下で繋がっています。中には宿舎、食事所、休憩所等もあり、多くの者がここで生活しています。一方、王都に住む者はこの中に数多く通勤しています。
王都では城壁の内側全体を指して、「城の中」と表現する場合があります。また漠然と「城」と表現した場合、王城単体を指す場合と城壁内の全体を指す場合があります。「王城」と言った場合はお城単体の意味合いが強くなります。
ちなみに城の外(城壁外)にある重要施設は王立学園、クライスナー学園、王立療養所等があります。少し前にギルフォード商会が開設した技術研究所もそうですね。
上記(漠然としたお城の定義)のようになった背景としては、城壁内(王城以外)に通勤している者(主に貴族)がまわりへ自慢するため、「お城の中で働いてるんだ」「お城で国王陛下にお仕えしている」と言い出したことが一因にありました。この世界では「お城勤務」と言うのは極上のステイタスだったんですね。それと城の壁が大変高く、事情を知らない者が外から見れば、みんな「お城」に見えていました。まあ、一番の理由は代々の国王がこだわっていなかったからでしょう。もちろん主人公もそうです。
最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、いいね、評価、ブックマークをして頂けると大変有難いです。




