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第398話 魔法学園3

 実技試験を終え、魔法学園は定員(三十名)の倍の六十名、魔法研究所は定員(二十名)よりずっと少ない四名が残った。う~ん、魔法研究所の絞り込みを厳しくし過ぎたかな? でも魔法学園の上位機関だし、研究生という身分ではあるものの、ある程度の即戦力も見込みたいので、しかたないだろう。どの道、将来、魔法学園から魔法研究所へ卒業生が移ってくるので長い目で見るとしよう。



さて、今日は面接だな。先ずは魔法学園の方からだ。


面接は成績順だけど、一番は誰だ?


コンコン!


「お入り下さい」

「トアラ・サングローネ・ギルフォードです!」


おおっ!トアラか!さすが我が子だ。おっと声に出そうになった。

いかん、いかん、冷静に。


「お座り下さい」

「はい」


六才でもしっかりした対応、さすが王宮で礼儀作法を学んできただけはあるな。


面接管は僕とレネアだが、僕が中心に質問する。レネアは補佐みたいな感じ。


「当学園を希望した理由は何かな?」


「父上とレネア姉様がいるからです! それと魔法に興味がありました」


なるほど、予想通りの答えだな。


「王立学園は希望では無かったのかな?」


「いえ、王立学園も素晴らしい所ですが、父上とレネア姉様がいるなら、こちらの方が良いです」


「入学したら、どんなことをしたいかな?」


「いっぱい勉強して、いっぱい友達をつくりたいです」


「君のお父さんとお母さんをどう思う?」


「二人とも大好きですし、素晴らしい方です」


う~ん、完璧な受け答えだな。こりゃ合格だな。一応、真贋鑑定しておくか。


「【鑑定】!」


嘘偽りがまったくない。さすがテネシアの子だよ。(僕の子でもあるけどね)


「はい、今日は以上です」

「ありがとうございました!」


「では次の方、お入り下さい」


「はい、テセルス・べネサス・ギルフォードです」


イレーネの子だな。さきほどと質問を変えてみるか?


「君は休みの日は何をしてるのかな?」


「はい、剣と魔法の練習をしてます」


「試験問題は難しかったかな?」


「はい、難しかったですが、頑張りました」


「君の一番の友達は誰かな?」


「はい、トアラです」


やはり、イレーネの子だ。しっかりしてるし、はきはき答えてる。


これも合格だな。一応、真贋鑑定しとくか。


「【鑑定】!」


うん、問題ない。成績も優秀でトアラとほとんど変わらないな。


この二人が魔法学園のツートップになりそうだ。


「よし、終了だ」


「ありがとうございました!」


こんな感じでその後も面接を続けたが、その後も無難に続いたので、

誰を落とすか迷った。う~ん、どうしよう。みんないい子達なんだよな。

とりあえず、一旦、保留にして魔法研究所の面接に移ろう。



◇    ◇    ◇



 魔法研究所の面接が始まる。と言っても、今回、四人しかいないので、四人同時にやることにした。目の前に四人が横並びに座っている。


【鑑定】でざっと見るとこんな感じだった。


ジリーネ  種族 ドワーフ   性別 女 得意スキル 土魔法 生産職

クーシャ  種族 狐獣人    性別 女 得意スキル 火魔法 妖術

レスティ  種族 ダークエルフ 性別 女 得意スキル 闇魔法 精霊術

ルイーズ  種族 人間     性別 女 得意スキル 電気魔法 冒険者


なんだか、濃いメンツが集まったような気がするなぁ。

あれっ? ルイーズは雷魔法だと思っていたが、電気魔法となってるなぁ。

雷魔法がレベルアップしたのだろうか? それとも元々なのかな?

ひょっとして凄い希少なんじゃ……いや、ひょっとしなくても凄い希少だ!

なにせ照明器具の電化事業は国策で力を入れているからな。


取り敢えず始めようか。


嘘だとすぐ分かるよう常時【鑑定】スキル発動!(無詠唱)


「先ずは今回の応募理由を教えてくれるかな?」


ジリーネ「魔法の研究に興味がありました」

クーシャ「私も同じです。魔法の研究に興味がありました」

レスティ「私も同じです。魔法を研究したいと思っていました」

ルイーズ「私は雷魔法だけしか使えないので、もっと広げたいと思いました」


う~ん、嘘ではないんだけど、通り一遍な答えだな。少しアレを使うか


【読心術】!(無詠唱)


ジリーネ(ずっと生産職をしてきたけど、いくらスキルを高めても、下請けみたいな扱いで嫌になっちゃう。このまま飼い殺しみたいになるなら、専門性を高めて自分の可能性を試してみたい)


クーシャ(スキルを使って、町で占いや人生相談みたいな仕事をしてたんだけど、自分の力を悪用しようとする者がいて、その度に逃げてきた。ここの国王陛下のつくった施設なら、そういう変なことはないだろう。安心して仕事がしたい)


レスティ(以前、エルメス帝国の侵攻から逃れて、この大陸に来ましたけど、なかなか落ち着くことができません。そろそろ落ち着きたいです)


ルイーズ(雷魔法で敵を脅すのも飽きました。もっと有効な活用をしたいです。それに自分は大人しい性格なので、冒険者は合わないと思っていました。ここで魔法研究の仕事ができればいいなぁ)


う~ん、みんな、それぞれちゃんとした理由があるんだな。


レネア「あの……、父上?」


僕「ああ、すまん、ちょっと考え事をしてしまった。四人とも、この魔法研究所はその名の通り、魔法を研究する所だが、先ずは体系的に魔法を学んで欲しい。その体制は整えてある。最初はレネアの手伝いみたいになってしまうが、いずれそれぞれで自由に研究できるようにしたい。それと研究の他に、生活魔法アイテムの制作、魔法図書の編纂も進めてるから、一緒に手伝って欲しい」


四人「「「「はい」」」」


僕「それでは続けるよ。以前はどんな仕事をしていたかな?」


ジリーネ「金属加工等、生産職をしていました」

クーシャ「占いや人生相談の仕事をしていました」

レスティ「内偵調査の仕事をしていました」

ルイーズ「冒険者をしていました」


これも【読心術】を使おう。


ジリーネ(金属加工以外に、なんでも生産したな。この仕事は天職だよ。でも、もっと視野を広げたい)


クーシャ(スキルで多少、心を読んだり誘導したりできるから、対人折衝は向いてるけど、それだけじゃ虚しい。もっと自分の可能性を広げたい)


レスティ(内偵って言いましたけど、エルメス帝国に徴兵されて諜報活動もしたから、危ないことも多かった。闇魔法のせいかもしれませんけど、もっと日の目を浴びる仕事がしたいです)


ルイーズ(冒険者では敵に雷撃を撃ち続けてきましたが、もういいかな。それに聖王様に雷撃を封じられた時は心底焦った。このスキルしか無いというのは依存し過ぎだ。もっと他のスキルも身に付けたいな)


う~ん、他のみんなもそうだが、特にレスティは苦労してそうだなぁ。


僕「みんな、見たところ、いろいろ苦労してそうだけど、ここに来たからには安心だ。伸び伸びと仕事をして欲しい」


ジリーネ「えっ!それって」


僕「全員、合格だ!」


ジリーネ「嬉しいです!」

クーシャ「良かった!」

レスティ「ありがとうございます!」

ルイーズ「聖王様、感謝します!」


四人とも心から喜んでるなぁ。取り敢えず良かった。


「ところで、君達は住むところはあるのかな?」


ジリーネ「これから探します」

クーシャ「今のところは出る予定です」

レスティ「決まっていません」

ルイーズ「ええと、宿に泊まっています」


「それなら、魔法学園のある建物の上階に住居区画があるから、そこへ入居したらいい」


レスティ「えっいいんですか!?」


僕「ああ、部屋はいっぱいあるからな」


四人「「「ありがとうございます!」」」



これで魔法研究所の準備はできたな。

さて、次は魔法学園の方だ。



◇    ◇    ◇



 後回しにしていた魔法学園の合否選定だが、定員(三十名)に対し、六十名が残った。全員、僕が面接したが、悪い子が一人もいなかったので、落とすのが忍びない。


「どうしようか……」


 今回、魔法研究所の定員(二十名)で、四名しか採用しなかったから、相当余裕があるんだよな。しかも折角来てくれた芽のある子供を落とすのは勿体ない。ううむ。


「よし!六十名、全員、合格にして、二クラスつくろう!」


 年齢は6才だから、これからみっちり勉強してもらう。クラス分けはやはり学力別かな?Aクラス、Bクラスみたいな。適当な時期に試験を実施して、クラス替えしたり、優秀な子は十五才前でも魔法研究所へ行けるようにしてもいいかもしれないな。



◇    ◇    ◇



魔法学園前 合格発表


掲示板に合格者の受験番号が記載されている。


受験生「やった!合格したぁ!」

受験生の親「良かったわねぇ」


リーベ「合格者はこちらで説明します!」

ロッツ「合格された方は受付へお願いします!」


 リーベとロッツは魔法研究所の職員だけど、付属の魔法学園ができてしまったので、なし崩し的にこちらの仕事もしてもらっている。まあ、魔法研究所の方は研究員四人だけだし、当面の仕事の比重は魔法研究所より、魔法学園が大きくなるだろうな。


さて、ちょっと第二王宮にいくか。


「お~い、テネシア~、イレーネ~戻っているか~」


「おお!あるじ、受かっていたか?」

「受かってますよね?」


二人とも真剣な眼差しだ。


「ああ、トアラもテセルスも合格だよ」


「良かったあ!」

「受かるとは思っていましたけど、ハラハラしてました」


 僕が合否の最終判断をするから、本当はもっと以前に分かっていたが、地位を利用しての抜け駆け発表は避けたいと思い、今日まで待ったのだ。


 しかし、二人とも子供の教育への関心が以前より高くなっているなぁ。ひょっとしてメリッサの影響が多少あるのかもな。ちなみに魔法学園が一クラスから二クラスに増えたので、王立学園には教員手配の増員を依頼しといた。学園長は少し頭を抱えていたが、仕事量が増えた教員への俸給増額で補填することとした。来年以降になれば新人教員が入る予定なので、それまで急場凌ぎだ。


これでほとんどの準備が完了した。残るはレネアの卒業だな。

彼女は卒業後、魔法学園の学園長、魔法研究所の副所長に就任する予定だ。

彼女へのサポートは当面続けていこう。



※参考※


魔法学園  応募六百人 合格六十人 倍率十倍

魔法研究所 応募千人  合格四人  倍率二百五十倍


魔法学園 

・二クラス(入学六才)

・王立学園並みの一般科目を履修しつつ、

 大陸最高の魔法科目も合わせて履修する。

・十五才で併設の魔法研究所へ入所予定。

・魔法能力の向上により、王国の発展に寄与する。


魔法研究所

・魔法の探求を通じ、王国の発展に寄与する。

・魔法探求、魔法書の編纂、生活魔法アイテムの制作等。

・魔法の平和利用、魔法教員の育成。

 最後までお読み頂きまして、誠にありがとうございました。もし拙作を気にいって頂けましたら、いいね、評価、ブックマークをして頂けると大変有難いです。

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